中村家住宅
Nakamura



 
国指定重要文化財 (平成30年8月17日指定)
滋賀県長浜市八木浜町809
建築年代/宝暦14年(1764)
用途区分/農家(代官)
指定範囲/主屋・表門・土蔵・馬屋・土蔵・(附)厠
公開状況/非公開

琵琶湖の北東岸、奥伊吹山塊を源とする姉川が長い旅路を経て琵琶湖に注ぎ込まんとする河口北側の八木浜集落に所在する旧代官屋敷である。恐らく周囲は琵琶湖の沼地であったところを灌漑により干拓化して拓かれた土地柄なのであろうが、見渡す限り全くの平坦地である。集落中央部に位置する当屋敷は、東西約60m、南北115mにも及ぶ広大な敷地を有し、今は北西辺にのみ残る石垣と水路は、嘗て屋敷全周を廻り、威容を誇っていたとのことである。主要な建造物は屋敷の北側に集中しており、現在は畑と化している屋敷南半の土地は、嘗て「馬駆け場」と呼ばれる馬の調練場であったらしい。また西側には一般の民家の表門としては相応しくない程に立派な欅普請の三間藥医門を構え、その背後に控える長大な東西棟の主屋は桁行12.間半、梁間5間にも及ぶ巨大な建築である。主屋は地域に特徴的な余呉型に分類される建前で、余呉型民家としては最大級の規模を誇る。ただ余呉型に典型な大戸口を妻入とせず平入としている点については、表門から主屋に至る動線を考えたとき、妻入とした方が表門側に面して素直なところであるのに、わさわざ回り込むようにして平側に大戸口を設けたのか少し合点がいかぬところがある。同じく余呉型民家として国重文に指定される安土町の風土記の丘に移築された宮地家住宅も、修理前には平入となっていたが、修理後には妻入となっていることから、同様に本来は妻入であるのではないかと勝手に想像している。

土間と床上部の境にニウジと称する土座が設けられている。また床上部は六間取となり、余呉型民家としては最大規模となる。




【参考文献】
滋賀県緊急民家調査報告書 (昭和44年 滋賀県教育委員会発行)
月間文化財 平成30年8月号 (第一法規㈱発行)
 

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