坪川家住宅
Tsubokawa



国指定重要文化財 (昭和41年6月11日指定)
福井県坂井郡丸岡町上竹田30-11
建築年代/
用途区分/農家(名主)
指定範囲/主屋
公開状況/公開

北陸のような雪深い地域の、平野部と比較して更に積雪の酷い山間部には、あまり人は住まない、住めないものだと思っていたが、当家は福井平野の東に連なる山塊に僅かに拓けた谷間にひっそりと佇んでいる。
「まるで屋根が覆い被さるかのような」という形容が相応しい大きく、厚い茅葺の大屋根は、見るものを圧倒せずにはおかない。恐らくこの地方特有のべったりと貼り付くようなベタ雪に対する備えとして厚葺きしたことによる結果であろうとは思うものの、「千古の家」と別称されるように中世からの建前を連綿と保ち続けているような気配が、その姿から感ぜられるのも無理ないことである。
実際の建築時期は17世紀中頃ではないかと推測されており、千年は経ていないものの、我が国に残存する民家としては相当に古いものに分類される。内部に入ると荒削りな太い柱が林立し、囲炉裏の煙で燻され黒光りしている。同じ民家でも江戸時代中期以降に建てられる垢抜けたモノとは明らかに異なる風情である。
また、これに加えて当家の祖先は「北面の武士」で、源三位頼政の後裔であるという由来・伝承もあり、家の歴史につい伝奇的な物語や背景があるのではないかと想像してしまうのは已む無いことではなかろうか。(2009.5.12記)


 

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