瀧田家住宅
Takita



 
常滑市指定文化財 (平成12年指定)
愛知県常滑市栄町4-75
建築年代/嘉永3年(1850)
用途区分/商家(廻船問屋・木綿業)
指定範囲/主屋・土蔵・離れ
公開状況/公開

南北に細長い知多半島の中程の伊勢湾を臨む段丘中腹に所在する屋敷型の商家建築である。ちょうど平成年間に開港した中部国際空港の対岸に位置する場所で、空港への連絡橋が眼下の沖合を通る形で架橋されている。常滑の中心市街は、今でこそ海岸部が埋め立てられ、十分な平坦地が確保されて、発展の余地を残す風情の土地柄であるが、嘗ては緩やかな丘陵地を無理に開削することで拓かれた土地柄であったことが周辺の風情から容易に読み取ることができる。
常滑は、その名のとおり常滑焼の産地として全国的な知名度を誇る土地である。常滑焼は侘び寂びといった芸術性とは全く無縁の赤茶けた無味乾燥な壺や瓶などの陶器として知られるが、昭和世代には、むしろ土管として利用されていた筒状の陶器といった方が理解は早いかもしれない。今でも栄町や北条町といった町域では製陶業社の工場が散見されるが、こうした立地条件にあっては、大規模な工場建設には不向きなようで、資本力のある製陶業者は埋立部の工場地帯に移転し、嘗ての家内生産的な中小の製陶業者の町という風情は急速に失われつつある。
そもそも何故にこのような丘陵地に集落が形成されたのかを考えるに、当然のことながら粘土質の陶土は海浜部からは採れない。良質な陶土確保のために丘陵地に陶工達が住み付き、集落が形成されたのも自然の成り行きだったに違いない。


地元自治体も「やきもの散歩道」という名称で、周辺を整備して観光面で後押し中のようであるが、その中心施設ながら当家は陶業とは全く関係のない廻船問屋を生業とする商家てある。



 

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