角海家住宅
Kadomi



国指定重要文化財 (平成28年7月25日指定)
石川県指定文化財 (昭和47年8月23日指定)
石川県輪島市門前町黒島町ロ94-2
建築年代/明治5年(1872)
用途区分/廻船問屋
指定範囲/主屋・家財蔵・塩物蔵・小豆蔵・米蔵
公開状況/公開

能登半島北西の北前船の寄港地であった黒島集落に所在する旧廻船問屋である。平成19年の能登半島地震によって甚大な被害を受けた当集落は、重伝建地区に選定されることで町並の保全を果たす道を選び、半壊状態にあった当住宅もその中核的な存在として公有化され復活を遂げた。集落を縦貫する外浦街道に東面して建つ住宅は、海に面する風雨の強い土地柄ゆえに開口部を最小限に留め、壁面の大半を下見板張りで保護する。特に土蔵は鞘囲いをする念の入れ様で豪雪地域以外では珍しい造りである。

黒島集落は北前船の船主や船員が居住する集落として栄え、当家の初代・孫左衛門も、そもそもは当地区の船主・中屋藤五郎の船頭であったとのことで、幕末の嘉永年間までには船主として独立して角屋を名乗ったとのことである。黒島集落は明治4年に大火に見舞われたという記録が残り、当住宅も大火後に順次整備されたものと推測される。明治中期頃より船舶の近代化により北前船による取引は低迷を始め、明治後期からは土地経営や漁業、金融業を生業とした。
屋敷地は集落を南北に縦貫する通りに東面して建ち、屋敷南側は通りから海へと続く路地が通じているので、角地となる好立地に所在する。海へと続く路地は緩やかに下る坂道になっており、この路地に沿って当家の蔵群が東より塩物蔵、小豆蔵、米蔵の純に一列に続く様は実に美しく見応えがある。現在、屋敷の西端は国道に面しているが、嘗ては海岸だったそうで、屋敷の裏手を出ると、そこはすぐ海という環境にある。各建物の建築は、主屋が明治5年と最初に整えられ、続いて家財蔵、小豆蔵が明治中期、塩物蔵、米蔵が明治後期とみられる。


 

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