金岡家住宅 Kanaoka |
登録有形文化財 (平成10年7月23日登録) 富山県富山市新庄町1-5-24 建築年代/明治初期 用途区分/商家(薬種業) 登録範囲/主屋・新屋・土蔵・門・塀 公開状況/公開 富山駅から東へ伸びる富山地方鉄道の東新庄駅を下りて北へ300m程のところに所在する町家建築である。富山と云えば売薬の町として全国的に知られるところであるが、当住宅は郊外に位置していたため、戦災に遭うこともなく、意外なことに往時の売薬に係る商家として唯一残された建物である。当家は江戸末期に金剛寺屋又右衛門の長男・金岡又左衛門が分家し薬種業を営んだことに始まるが、その後の明治32年には上新川郡塩村の神通川に県内で最初の水力発電所となる大久保発電所を完成させ、北陸で最初に電燈を灯すとともに、明治28年に県議会議長、同30年には衆議院議員など公職を歴任、その後は富山軌道鉄道の敷設や常願寺川の治水工事に尽力するなど、薬種販売で得た資本を元に地元・富山県の近代化に大いに貢献したことで知られる。また2代目も第一薬品や富山合同無尽(㈱)を設立するなど幅広く活躍した。屋敷は、道路に東面して建つ主屋と、その北側に前庭を介して建つ新屋から成り、主屋内部は売薬に関する資料展示のため、当初の間取りがよく判らない程であるが、新屋は桧造の贅を尽くした18畳の本座敷と15畳の次の間を主体とする大振りな近代和風建築となっている。 |