岩瀬家住宅 Iwase |
国指定重要文化財 (昭和33年5月14日指定) 富山県南砺市西赤尾町857-1 建築年代/19世紀中頃 用途区分/煙硝上煮役 指定範囲/主屋 公開状況/公開 当住宅は加賀藩の煙硝上煮役を務めた藤井長右衛門氏の居宅を明治期に岩瀬氏が購入したもので、桁行11間半、梁間7間、高さ14.4m、4階建の建前は、合掌造民家のうち最大規模を誇る。合掌集落が分布する庄川上流部の五箇山最奥部に位置し、同じく岐阜県側の合掌集落として著名な白川郷に隣接するため、入口を平入とするなど白川側の影響を垣間見ることができる。煙硝上煮役は地域から集めた煙硝を金沢城下へ運ぶ役儀を負った地役人のような存在で、収納巡検で訪れる藩役人への応対の必要性から座敷部が極度に発達している様子は他の合掌民家では見られぬ造作である。また下手の居住部にのみ禁制木である欅材が用いられる点なども、何やら普請にあたって藩との間に曰くがあったのではないかと想像され、興味深い。 (聞きとり) 最大規模の合掌造。 硝煙の製造は荒煮、中煮、上煮の3工程から成るが、当家は上煮役を務めた。 当家は五箇山の全ての硝煙を集めて金沢城下に運んだという、云わば硝煙製造の元締的な存在。 住宅は藩の役人の宿泊所に充てられたことから、極度に座敷が発達。用材についても特別に欅の使用が許されたとのこと。5階建の建物で、1、2階は住居、3階以上は養蚕に使用された。 座敷東側には土縁が設けられ、そこに置かれた沓脱石から上級役人は出入りした。 座敷の落し掛けが床だけでなく、書院にも設えられており、そこに長押が張られている、少し変わった造作である。 玄関を正面に構え、左手は土間となっているが、現在は非公開。 |