池上家住宅 Ikegami |
伊那市指定文化財 (昭和62年7月14日指定) 長野県伊那市高遠町西高遠1724-1 建築年代/江戸時代 用途区分/商家(醤油・酢醸造販売)・町問屋・町名主 指定範囲/主屋 公開状況/公開 【商家民俗資料館】 伊那市の東方、内藤家33000石の高遠城下に所在する商家建築である。桜の名所として知られる高遠城址から藤沢川を挟んだ対岸の段丘上に拡がる一画は西高遠と称され、その西端のJRバスの高遠駅がある辺りは鉾持町と呼ばれた鎌倉時代より町場が形成された高遠の中心街であった。当住宅は駅の西脇の街道筋に東面して建つ間口5間程の中規模な町家で中世末の古文書から瀬戸物や小間物を商っていたことが判っている。藩政期には醤油や酢の醸造販売を行い、問屋や名主などの町の重職を務めたという。町内最古の町家造建物とされているが、内部は喰い違いに間取りが配され、各部屋の造作に視覚的な演出が施された幕末期らしい風情である。 天保10年の家筋軒別帳に屋号・金屋、池上本右衛門、武田氏に仕え、城の造営に優れた技術を持つ番匠・池上清左衛門より別家)文禄年間(1594)瀬戸物、小間物の商売名となっている。また、酢、醤油の醸造販売も行っていた。代々町問屋、町名主を務めて明治に至っており、此の間70年の歴史の詳細な記録及び古文書等数百点が所蔵されている。桁行9間、梁間5間、妻入縦割型、座敷型体をもつ町家造の家屋は、組物が格に出来ている飛騨高山の日下部邸に類似した和風構造である。庭は観賞用のみでなく、醸造場、商品収納所として多目的に利用したが、それに続く大倉庫2棟、奉公人の部屋等別棟は、取り壊して現在駐車場になっている。旧藩時代、幾度か火災に遭ったが再建され、町内では一番古く、近世における典型的な商家で、家の構造、所蔵されている古文書等は貴重な文化財である。(現地案内看板より) |