旧新井家住宅
Arai



 
国指定重要文化財 (昭和46年6月22日指定)
埼玉県秩父郡長瀞町長瀞1164 (長瀞町郷土資料館内)
旧所在地・埼玉県秩父郡野上町中野上121
建築年代/延享2年(1745)
用途区分/養蚕農家(名主)
指定範囲/主屋
公開状況/公開

渓谷美の景勝地として名高い長瀞の駅から宝登山神社に至る参道脇に所在する長瀞町郷土資料館内に移築されている養蚕農家である。嘗ては現在地の北方2km程の荒川の河岸段丘状の平坦地に所在し、江戸期には名主、維新後には戸長を務めたとのことである。茅葺屋根が主流の県内農家建築の中で石置き板葺切妻屋根の住居は珍しく、嘗てこのような例は児玉郡から秩父郡にかけてのみ散在したとのことであるが、現在では殆どが失われている。また外観的な特徴として大戸口から入った土間東側に差し掛けで茅葺の脱穀場と馬屋を付属させており、直屋建物で主棟を板葺屋根とし、付属屋を茅葺屋根にして両者を混在させる様は類を見ない。建物は桁行10間半、梁間5間の中規模なもので、内部の部屋境には1間毎に柱が林立し、床の間の古形式とされる押板が設えられる点などは建築年代の古さを感じさせてくれるが、一方で土間上部の梁組の豪壮さや建物前面に貫を多用し、縁側上部には欄間状に格子を入れる点など意匠を意識的に整える先進的な様子も窺われ、なかなかに味わい深い建物となっている。


 

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