佐藤家住宅 Satou Yokoya Brewery |
登録有形文化財 (平成15年1月31日登録) 岩手県一関市千厩町千厩字北方134 建築年代/明治34年(1901) 用途区分/酒造業 登録範囲/主屋・西洋館・呑切り場・旧車庫・新蔵・文庫蔵・味噌蔵・浴室手洗場・小蔵・正門及び石塀・庭門及び石塀・原田門・造り蔵・正面蔵・東蔵・釜場・麹室・タンク置場・蔵人炊事場・物置・ビン詰工場・枯し場・精米所・旧精米所・通用門及び石塀 計25棟 公開状況/公開 横屋酒造 佐藤家住宅 主屋 土蔵造2階建 切妻造 瓦葺 建築面積252.07㎡ (敷地面積9000㎡) 明治34年(1901)旧暦11月2日上棟 棟梁 佐藤新四郎 脇棟梁 佐藤丑吉・千葉米作 家主 白石惇造 (主屋棟札より) 当初、白石惇造(司馬屋)建築中の建物を千厩横屋初代・佐藤秀平が譲り受け、仕上げたものである。 摺沢横屋(現大東町摺沢)の佐藤秀蔵の三男・佐藤秀平は、大正元年(1912)に合資会社横屋酒蔵店を創業。 主屋・西洋館の設計は、建築家・小原友輔(大東町摺沢出身)。友輔は、東京駅や日本銀行本店を設計した日本建築界の第一人者であった建築家・辰野金吾や岩手銀行中ノ野橋支店を設計した葛西萬司(平泉町出身)に師事し親交があった。友輔は秀平の従兄弟にあたり、酒造業の基盤充実に務める傍ら普請道楽と伝えられた秀平の意を受け携わったといわれている。 佐藤家主屋は敷地のほぼ中央西寄りに南東を正面として建つ。明治34年(1901)上棟の棟札が残る土蔵造風2階建、切妻平入、瓦葺の建坪約77坪。 この建物は、伝統的和風建築と西洋風の意匠を見事に融合させた建築物である。現在では入手困難なケヤキ材をふんだんに使い、石材も部位により仕上げ方法を使い分けた丁寧な仕上げを見ることができる。 玄関の板戸(雨戸)は、ケヤキの一枚物が使われ。左右対称に作られている。現代では手に入れることが殆ど不可能な材料である。 玄関のタタキは全面イタリア製モザイクタイル張りで当時としては非常に珍しい貴重なもので、斬新な花模様が配置されている。友輔と秀平が直々に貼ったと伝わっている。 玄関入口の踏み石、靴脱ぎ石は花崗岩の一枚物をピシャン叩き仕上げしたもの。 玄関屋根を支える2本の柱も同じく花崗岩製で重厚さを醸し出している。 正面玄関は角柱、裏庭側は丸柱に仕上げられている。 建物内のカ゜ラスも建築当時のものが多く残っており、北海道小樽で作られた手吹き板ガラスと伝えられ、指物等も当時のままに保存されている。 細部に亘り気仙大工の優れた技と気概を感じさせる建築物である。 2階の大広間は、摺沢横屋が工事に多大な協力をした大船渡線千厩駅の開通に合わせ、昭和2年(1927)に改装したと云われている。 主屋を始めとする建築群の殆どは、明治期から大正期にかけて整備されたもので、銘酒「玉の春」の醸造場として利用されてきたものである。【現地案内看板より】 原田門について 元田村藩家老・原田家の屋敷から大正末期に移設されたと伝えられている。1間1戸薬医門で、二手先繁垂木、鉄板葺であるが、もともとは木端葺であったとされている。扉は両面開き板唐戸で左側に潜戸が設けられており、両脇の土蔵と一体となった品のある雰囲気を醸し出している。 |