伊藤家住宅
Itou



国指定重要文化財 (昭和51年2月3日指定)
岩手県花巻市東和町田瀬1-170
建築年代/18世紀後半
用途区分/農家
指定範囲/主屋
公開状況/公開

北上市から遠野方面へと向かう国道107号線の途中、田瀬湖の南側の覚間沢の山間にある農家建築である。沢の奥へと続く緩やかな登り坂に沿って雛壇状に造成された田畑の一画に所在し、道を挟んで建つ本家から江戸中期の天明年間以前に分家したことが過去帳より判明しており、住宅もその頃の建築と推測されている。この付近は盛岡藩南部領に属するが、仙台藩伊達領との藩境に接する南限に位置しているため、仙台藩領に多く見られる直屋と南部藩領に多い曲屋の混在地域となっており、当住宅も昭和51年の民家緊急調査時には曲屋であったが、解体調査時に建築当初は直屋で、明治年間に馬屋を増設して曲屋となったことが判明したため、現在は直屋の状態で復原されている。建物は桁行7間、梁間4間半の小規模なものながら、土間が全体面積の3分の2を占め、柱の間隔密度が高く、開口部も袖壁付片引戸が多用されるなど閉鎖的で、古式な民家的特徴を多分に持つ建物である。


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