後藤正治郎家住宅
Gotou


岩手県指定文化財 (昭和60年5月4日指定)
岩手県奥州市前沢区生母字天王53-1
建築年代/18世紀初期
用途区分/農家
指定範囲/主屋
公開状況/外観のみ公開

前沢牛の産地として全国的に知られる奥州市前沢区。中心市街から北上川を挟んだ東岸の田園地帯に点在する小山の内に隠れるように所在する農家建築である。天王集落の中心部に屋敷を構え、かなり広範に平地部分を確保していることや、浸水対策として主屋部分のみを盛土して嵩上げするなどしている点から集落内でも相応の地位にあったことを窺わせる。この地域は江戸期には仙台藩領に属し、越屋根付きの直屋建は地域に典型的な建前である。軒が低く、内部は座敷廻りを除いて手斧削の栗材の柱となっており、土間には独立柱が林立するなど古式を醸している。嘗ては「中崎屋敷」と称されており、享保10年に没した当家初代は水沢郊外の姉体から兄弟で当地に移り住んだと伝えられていることから、住宅はその初代が元禄年間頃に建てたものと推測されている。約300年前の住宅が未改修の状態で保たれていることは驚異的で、是非とも妙な修理は行わずに、このままを維持してもらえたら嬉しい。


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