笠石家住宅
Kasaishi



 
国指定重要文化財 (昭和48年2月23日指定)
青森県十和田市奥瀬字栃久保80
建築年代/18世紀後半
用途区分/農家
指定範囲/主屋
公開状況/公開

県中央部の十和田湖に端を発し、東岸の太平洋に注ぎ込む奥入瀬川を遡った上流部の山間地に所在する農家建築である。その立地から嘗ては十和田神社に詣でる人々の参詣宿を営んでいたこともあったらしい。建物は桁行9間半、梁間5間半の中規模なもので、土間部の殆どを馬屋に割く様子は馬産が盛んな旧盛岡藩領の民家らしい特徴である。床上部は全て板敷で、正面以外に開口部は無く、他の三方は全て竪板張の板壁となっている。内部も含めて壁には土壁が無く、間仕切りも全て板戸とするため、薄暗い室内の風情は土俗的かつ根源的な風情に満ち、ある種の力強さを感じずにはおれない。良い家である。

【覚え書】
 ★没後50年が経過する御先祖様は、仏壇から梁上の御位牌筺に移され、家の守り神となる。
 ★十和田神社の参詣者の宿になっていた。
 ★豪雪地帯にも関わらず、全体に柱は細く、土間は通路分しかないほどに小さい。
  代って馬屋は大きく、7頭も飼えるように仕切柱が立つ。
 ★直屋であるが、馬屋と居室部の構造的な繋がりが弱く、まるで分棟型の住居のようである。
  本には当家の所在地が盛岡藩領に属するため、曲屋と一脈通ずるところがあると記している。
 ★下手表側のニヤと呼ばれる部屋は、床が一段落ち、80mmもの栗材の厚板を床に敷く。ここで作業を 行うためと想像されるが、
   実質的には土間代りとして用いられたのだろう。そのためニヤ前面は蔀として開口部を大きく取り、採光に配慮した形となっている。
 ★屋根の棟はクレグシとなっており、野芝が植えられている。 



 

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