ツメが割れた。


「グキッ」と曲がった感覚がした。

痛みはないのだが、

ツメが前に折り曲がった。

左の人差し指を見たら、

ツメが半分割れている。


白いツメの部分より下の

ピンクの場所が半分割れている。


ネイルのお蔭なのか

直接的な衝撃は受けずに済んだ。

私はその半分に割れたツメを

触ってみた。



剥がれている右半分は

プラプラと揺れる事が可能である。

一方、まだへばりついている左半分は

細胞が生きているのか痛みを感じる。

この割れた右半分と

割れてない左半分を合わせると


私のツメは一つに戻るのである。

しかし、もう半分に分かれてしまったツメは

元に戻らない。

これは、壊れた皿が元に戻らないのと

同じ現象である。

壊れた皿を戻そうと、

接着剤を付ける手もある。

しかし、溝は深まるばかり。

私のツメもそうである。

ばんそうこうを貼ってみようと思う。

だが、ばんそうこうを貼るにも

指を怪我したかのようなグルグル巻きでは

ダメなのである。

私は仕事上、ばんそうこうの指では

仕事が出来なくなるのである。



10年前にもツメが割れた時

職場の人から「ばんそうこうの要らない

固まるばんそうこう」と言うのを

勧められた事があった。

液体状になっていて、
怪我した部分に

塗る事で、固まると言う優れもの。


いわば、皿が壊れた時に付ける

接着剤である。

私もそれは大変助かったので

随分お世話になった。

しかし、この頃ツメ割れもしなくなったので

その固まるばんそうこうを

持ち歩かなくなった。

あれは確かに便利だった。

そして、女性の味方だった。

何故なら、剥がれてしまったツメと

まだ生きている部分を繋いでくれるだけじゃなく、

ちょっとした振動で、残っているツメが

剥がれそうになった時も

痛みを最小限に抑えてくれたのである。

ちなみに、応急処理として

試したネイルのトップコートは

一瞬着くけど

持ちは良くないのである。

あの「固まるばんそうこう」が欲しい。



ツメが割れた経験のある方なら

ご存じだと思いますが

「かろうじて引っ付いているツメ」の部分が

ジワリジワリとヒビが入る時


3ミリも動かないくせに、痛いよね!?

そのヒビが、ジュース飲む時とか

顔を洗おうとした時など

日常の事をこなすときに、

徐々にヒビ割れていくのだ。

え?分からない?

じゃあ、説明するわ。

どの位痛いかと言うと、

寒い部屋で、足の小指をぶつけて

「痛い!」と言う位の痛さよ。

通常モードで、足の小指をぶつけるより

寒い場所の方が痛さ倍層するでしょ?

それと同じ位、ツメが割れるとイタイのだ。


とりあえず、私は

セロハンテープを小さくカットして

ツメに張り付けた。

これは意外にも応急処理には良かった。

ちなみに、何処の家庭にもある

あのばんそうこうは

茶色の部分をカットして

ツメに付けてみたが、接着力なしだった。


私は、通常の生活をする上で

こんなに左の人差し指のツメを

気にして生きるととは思わなかった。

ああ、健康は有難い。

お風呂に入る時もイタイのだ。

お湯に触れるとイタイので

指先をお湯に入れないようにしたら

指が寒い。やっぱり抹消部分の血管は

温めないとダメなのだなと痛感。

痛みと、温かさを選ぶなら

温かさである。



私のツメは、お昼すぎから

半分割れて、もう寝る時間になった。

その間、ジワリジワリとヒビが入り

夜は更け、このまま明日まで持ち越すのか。

今日だけの辛抱と思ったのに。

私は明日目が覚めたら

ガッカリするだろう。

どうせなら、今夜中に

まだ引っ付いているツメが

取れてほしい。

そう思って、引っ張ろうとすると

痛みが襲う。

これは、もう自然に任せるしか

方法はないのか?

思い悩んでいるうちに

寝てしまって、朝が来た。



「グッドモーニング」が

「バッドモーニング」!!

朝からツメがイタイ。

昨日より進歩して、ツメが取れそうな部分が

増えてきた。あと2ミリ位だろうか。

たかが2ミリ!されど2ミリ!

「2ミリ」って言ったら、

どうって事なさそうだけど

自分の肉体から剥がれる細胞が

2ミリでも、痛みは感じるのだ。

何故なら、それが人間だから。


車の運転をするのにも

左の人差し指のツメが気になる。

無意識のうちに

そのプラプラした爪を触っている。

昨日貼りつけたセロハンは


四角の面積が縮れている。

新しいセロハンを付けて

気分が変わった。


今日も何かの拍子に

「グキッ」となって

残っているツメが取れますように。

祈りを込めて、今日も生きる。

・・・と、その瞬間に

プラプラしていたツメが

あとちょっとで取れそうになる。

私は軽く、プラプラのツメをひねってみた。

すると、ポロっと落ちた。

おお!!取れた!


やった〜!これで私は

いつもの生活に戻れる!

神様、ありがとう!

こんなに早く私のお願いを

叶えてくださるなんて!

私は喜んだ。

こんなに、普通に生きれる事が

喜びに満ち溢れているなんて

気づかなかった。


ところが。

ツメが取れて、完了!と思ったら

今度は、ピンクのツメの部分が

実は何十層にもなっているみたいね?

その上の層が剥がれて

赤くなっている。

しかも、ちょっと痛いわ。

私は、もう1日位

ツメの痛みを感じないといけないのか。


こういう時、人のツメなら

怖くて見たくないけど

自分のだと平気である。

早く治って、綺麗なピンク色に

戻って欲しい。