東京研修旅行事件そのA


2024年1月23日(水)

今日は東京研修の二日目。

夕方には東北新幹線に乗って帰れる。


誰もがそう思っていた。

誰も、新幹線が動かなくなるなんて

思わなかった。



★★★★★ ★★★★★ ★★★★★


朝は、ホテルのバイキングで

みんなで朝食をする。

見渡す限り、白人の外人さんが多い。

日本人の方が少なく思える。

私は朝からあまり食べれないのだと思った。

良く私は「色々食べる女」と思われていたが

それは、小分けして食べているのだと

勝手に自己判断した。

ここはパンケーキも美味しいらしいが

順番待ちで、20人も並んでいたので

諦めた。

6人中5名が「あまり眠れなかった」と言った。

このまま研修で寝てしまったら

どうしよう!?

試験もそもそも受かる自信がない。

みんな同じ事を思っていて、

同じ悩みを持っていた。

そして、会場に向かう。



AM9:00から講義スタート。

まずい。眠くなってきた。

私の前に座ってる見知らぬ女性が

もうすでに頭がカクンカクンしてる。

こ・・この人、まずいのでは?←あんたもね。

そして休憩時間、トイレに行く時に

悲劇が起きた。

「東北新幹線、停電で動かないって!」と

スマホ片手に見せられた。


ええ!?なんで?こんな日に限って?

うそでしょう?新幹線が動かない?

トイレに並んでいる間、私達は

「大丈夫、きっと夕方には復旧してる」と

言い合う。


所が、時間が経つにつれて

更新されたヤフーニュースには


「東北新幹線、上越新幹線、

北陸新幹線がストップ。

架線のトラブルにより復旧中」と言う表示。

なになに!?これ大丈夫なの?

受講中はスマホが見れないけど

確実に情報が更新されるので

休憩時間の度に、新幹線情報をチェックする。

「東京駅、大混雑」

「新幹線に3時間閉じ込めれた」

と言う文字が目に入ってくる。


ちょっと待って。今日に限ってなんで?

私たちは研修どころじゃない気分になる。

変な胸騒ぎがしてくる。




お昼時間には、

みんなでコンビニで買ったランチを

一緒に会場で食べる。

研修の内容よりも、新幹線が動かな話題で

持ち切りになる。

「大丈夫、きっと私らが帰る頃には復帰してるはず」

みんなそう願っていた。

ところが、新幹線情報は

「復旧には長時間かかる」と

書いてある。


え?え?なに?

私、頭の中真っ白。

「復旧には長時間かかる」の

「長時間ってどの位の事を言うの?」

もしかして、一週間とか?

帰れる確率が低くなってきた。

どんどん、不安が強くなってきた。

自分の笑顔が・・消えていくのが分かる。



午後は実習講義と最後に試験だった。

この実習時間はかなり気が紛れた。

隣の見知らぬ人や、講師のアドバイスを

聞いたりするから「新幹線が止まった事」に

意識を集中しないで済んだ。

元々は研修に集中しろって話なんだけどね。

最後に試験が終わった人から退場なのだが

私ら6名は、終わったら会場の入り口で待ち合わせを

する事にしていた。

試験もほぼ、分からないまま4択から答えを

一つ選ぶものだった。


私達6名のうち、Oさんから退場した。

私は3番目に退場した。

次々と込み合ったエスカレーターに

人が上に上がって行く。

ここに居る人達のうち、どの位の人が

新幹線の事で頭を悩ませているのだろうか。

そして、入り口付近で私はOさん達を見つけた。

すると、Oさんが

「みかさん、新幹線、

先程運休を決定したって!!」と

言った。


えええええ〜〜〜!うそ〜〜〜〜!!

私達が試験を終えた丁度そのタイミングで

「運休が決定」だって。

なにそれ〜〜!お〜まいがっ!!


会場の外の庭は、何事もなかった昨夜のように

イルミネーションが黄色に光っていた。

もう、ここで写真を撮る気分にならない。

会場の外には、先程まで試験を受けてた人達。

電話をしている集団は、私らと同じで

新幹線が動かなくなった人達だろう。

あちこちに同じ状況の人達が居ると思われる。

まもなく、私達と一緒の3名も試験が終わり、

私達6名全員が集合し、

新幹線運休の件について話をする。

こんな状況は、生まれて初めてだった。

会社の研修で東京に
東北から出て来て、

帰りの新幹線が動かない状況。

帰れない!
帰れない!!帰れない!!


リーダー格Oさんは、

即、会社に電話をしてくれた。

とりあえず、東京駅まで行って

ネット以外でのリアルな情報で

帰ってくる手段があるかどうか確認を

する事になった。

それと、新幹線が復旧するのが

東京駅に居たら情報が早いかもしれないとの

会社の指示により

私達は東京駅を目指して動き出す。


昨日、来た西新宿駅を目指す。

相変わらずの高層ビルは

暗い空にも映えている。

「LOVE」の建物も発見。

私はここで

「今夜、帰れないわ〜!いぇ〜い!」と

言って写真を撮ってもらった。


東京駅に着いたら、

臨時の電車やバスは出てないだろうか?

この様な時に大活躍する「ひたち号」は

期待出来ないだろうか?


西新宿駅から、東京駅まで地下鉄に乗る。

不安な気持ちが、電車と共に揺れる。

みんなで東京駅まで着いた。


東京駅は思ったよりも

ごった返してなかった。

私達が18:00頃に着いたので

すでに引いていたのだと思われる。

普通に行き来をしている通行人の方が

目についた。

私らみたいに集団で、これからどうするか

話している人達は

居たのかもしれないけど

目に入らなかった。

新幹線の時刻表の所は

真っ黒になっていた。

復旧の見込みはなく、やはり今日は運休。

Oさんがこの件を会社に連絡。

「旅行会社に直接連絡を取り

新幹線の切符の事や、

今日の宿をどうするか連絡して欲しい」との事。


旅行会社の指示につき

今回の帰りの切符はハンコを押してもらう。

後日、返金をするとの事。

そして、帰りの新幹線の分を

新しく各自切符を用意して欲しいとの事。

私は6名の分の切符を集め

みどりの窓口にハンコを押してもらう。

ここに並んでいるのも数名で、

前の人達も仙台方面だった。

そして、みどりの窓口の人が言うには

「ひたち号」が臨時で出たが

20:22分東京発で、

仙台着が23:00との事。

今からでは乗れる可能性は低いとの事。

私は、上記の話をOさんに伝える。

Oさんは会社に「帰れないので泊まります。

明日、仕事の人4名居ますが

全員休みでお願いします」と言ってくれた。

そうなのだ。私達は次の日、

仕事の人もいる。

幸いにも私は休みだったのだが

店(職場)によっては、休みを変わって

もらうようになり、迷惑がかかる。

でも、緊急事態なのだから仕方ないよね。

そうそう、肝心のホテルの件なのだが

旅行会社は「各自探してください」と言ったそう。

私は、旅行会社で手配してくれるものかと

思ったよ。
違うんだね。

まあ、こういう状況だから

仕方ないのかもしれないけど。


これが、旅行などの経験値が少なかったり

ご年配者とか、受験に来た10代だったら

どうするのだ?と思った。

旅行会社に丸投げできない!?と、

分かった時点で、見捨てられた気分にならないか?

幸いにも私は、ボッチじゃなかったから

6人で居たからまだ
新幹線が動かなくても!

いつ復旧するかめどが立たくても!

今夜はどこか泊まれるかホテルはあるのか

不安になってきた
けど、みんな一緒だったから

心強かったよ。

最悪、みんなでネットカフェ!?と思ってた。


みんな、各自職場や自宅に

帰れない件を連絡した。

ホテルはみんなでご飯食べてから

探そう。とりあえず、

どこか入ろうと言う流れになった。

そんな中、リーダー格Oさんが

東京に住んでるお兄さんから連絡が来て

「みんなでこれからご飯食べて

ホテル探す」と言った。すると

「この状況だぞ!?
そんなゆっくりしてたら

ホテルなんてすぐに埋まるぞ!

いいか?今、ホテルは奪い合ってるぞ!

6人でみんなで一気にスマホで

ホテルを大至急探せ!」


電話口で言われたと言う。

そうなんですってね。

今回の新幹線が運休になって

9万人への影響があったらしい。

まさか、その中に私達も巻き込まれるとは。



6人がそれぞれ、一人部屋になれるホテルを

探してみる。

東京駅の道案内の看板の所で

6人で輪になってそれぞれスマホとにらめっこ。

「東京 安いホテル」で検索をするが

どこも満員。2名、3名と言う部屋ならある。

でも、出来れば各自一人部屋がいい。

行けそう!と思った所をOさんが発見。

問い合わせの電話をすると、

6名ではダメとの事。

人数が多すぎるらしい。

各自1部屋と言うのは、条件がきつい?

その後も3件ほど断られる。

私達は途方にくれた。

山手線から少し離れてもいい?

六本木のアパホテルはどう?

(↑自分が六本木に魅力を感じている。)

12,000円では高い?と私が聞いたら

みなさん、あまり乗り気じゃないモード。

そんな時、「5,000円くらいで泊まれる

カプセルホテルがある!」と言われた。

しかも、6人各自の部屋をKEEP出来そう。

早速Oさんが電話をした。ホテル側の答えは

「大丈夫です!」との事。やった〜!

ただ、テレビがないらしい。

でも、ワイハイは無料だから

いいのではないか?と。

6人、各自の個室だし良かったね。

私はもう、今夜はこのまま行ったら

ネットカフェか、

野宿かと思ったもんね。


東京に慣れてない私達は

そのカプセルホテルまでの道のりを聞いた。

ホテルの受付の人の説明だと

「東京駅から、山手線の内回りに乗り、

秋葉原で下りたら中央改札口から歩いて

徒歩5分」との事。

おお!凄い!それはいい物件だ。

みんな、胸をなでおろした。

このような流れで、秋葉原に行くようになるとは

誰も想像しなかった。

私はカプセルホテルと言う存在は知ってたが

泊まった事はないので、どんなものなのか


初めての体験になる。

どうやら女性専用らしいよ。

テレビも無くても困らないわ。

スマホが見れれば。

私達は今夜、泊まれる場所がある。

雨風をしのげる場所が出来た。


ここで一安心していたら、

タイミング良く

「明日、始発から

新幹線が動く」と言う情報をゲット。

わあ!そうなんだ〜!やった〜!


私達は東京駅で

「かごめかごめ」をするみたく輪になって

宿を探しているうちに、色んな物事が

動いてくれていて良かった。

新幹線の切符も買えるね。

ここで私達はゆとりを持って

お昼ぐらいに帰れる新幹線切符を買った。


とりあえず、今夜は

秋葉原のカプセルホテルに

泊まり、明日はお昼に帰れる。

良かった。本当に良かった。

この時、私はまだカプセルホテルと言う

場所が、どんな場所なのか知る由もなかった。

不安が少なくなった私は

のんきに「秋葉原には

クリィミーマミみたいな人

駅付近にいるかな?」と思っていた。

そして、重い荷物を再び持ち上げ

私達は歩き出した。


今日は教材が増えて、荷物がさらに重い。

左腕がすでに筋肉痛。

早く、この荷物を安心できる場所に

預けたい。