図書館で本をもらった話


自分の部屋と言うのは、

誘惑が多すぎる。


いざ勉強をしようと思っても

目の前のお菓子の本に気を奪われる。

ついでに目の前のチョコも食べたくなる。

「今日こそこの問題を!」と思うのだが


問題集を広げて、ペンを持つまで

30分もかかっている。


これはまずい!

学生時代の私と何も変わっていない。

そんなある日。

「図書館で勉強してきた」と

言っていたSさんの

言葉を思い出した。

おお!そうだそうだ。

図書館で勉強なら静かだし

快適だ。それに勉強に飽きたら

雑誌も本も読み放題。

せっかくだから、休みで何も予定がない日は

わざわざ図書館にお出かけして

勉強するようにすればいいのだ!


私は、以前利用していた図書館を

スマホで検索してみた。

「10月のカレンダー」と言う所を見て

図書館が休みじゃない日を

チェックするのだ。

せっかく行って、

休みだったら意味がない。

私が行きたい日は、

良かった!やってる。

朝10時からか・・・とその時


私が行きたい日は

なんとイベントの日らしい。

そのイベントとは

「古くなった雑誌を無料配布しております。

整理券を発行するお時間は

9:30です」と書いてある。


ええ!なにそれ〜。

ちょっと興味ある!

どんな雑誌がもらえるの?

古いと言っても、

ここ1〜2年くらいでしょ?

「なお、午前中で雑誌はなくなる事が

多いので、早めのご来店を

お待ちしてます」との事。

私は、その日に図書館に

勉強をしに行く予定だったので

雑誌をもらうのに9:30に並ぶ事にした。

思わぬ所でもらい物が!と鼻息を荒くしていた。




そして、当日。

休日の朝なのに

私の目覚めは

仕事の出勤と同じ時間。

愛車のシロを走らせ、

9:25分にその図書館前に行くと

すでに列を作っている。

私は、ビックリしてしまった。

「無料で雑誌がもらえる」のを期待していたのは

私だけじゃないのは当たり前だと思ったが

私の前に列を作っていた7名の男性らが

全て、
退職後のご年配者だけだったからだ。

彼らおじいちゃんたちは、

それこそ現役時代の名残で


「朝早く起き、

会社出勤する」感覚を持ったまま

この図書館に来たのではないか?

昨日、テレビでみた

「健康で長生きの人達」同様

朝から仕事に行く習慣を

変えないでいてくれるので


家では「おじいちゃんが

朝から居なくていいわね」と

言われているのではないか!?


私は、黒とオレンジの

リュックを背負った男性の

後ろに並んだ。

最前列にいる男性はどうやら

9時に並んだらしい。

前列3名は常連さんなのか

和気あいあいと話をしている。

私はてっきり、自分と同世代か

ちょっと上くらいの女性が並ぶのではないかと

どこかで思っていた。


なのに、私以外、レディーがいない。

私の後ろに並んで来た人も

70代の男性だった。

図書館のドアが開き、

女性スタッフが出てきた。

「おはようございます。

これが整理券になります」と言い

順番の書いてある整理券を配布する。

私は「8」と書かれていた。

「では、10時にまたここで

お集まりください」と言った。

そして、私も並んでいた男性たちも

その場から去った。

おお・・なんだこの今まで感じた事のない

変な感覚。


とりあえず、30分どこで時間を潰そう?



適当に駐車場に戻り、車で待機。

他にする事もないので

試験対策の問題集をボケーと見る。

所で、どんな雑誌がもらえるのだろう?

時々買う「美人百花」があるといいなあ。

私、あの雑誌の服は好みなのだ。

私らの世代が読む雑誌ではないけど

(アラサ―向けらしい)

服の好みが合わない雑誌って

疎遠になっていくよね。

そんな事を思っているうちに

集合時間5分前。


私は再び図書館に向かう。

そして、先ほどの列に並ぶ。

私の前で「俺の番号6か9か

分からなくなった〜。あ〜あんた←

8番なのか?じゃあ俺は9番なんだな」と

言っている男性は

私の後ろに並んでいたおじいちゃん。

さらに、そのおじいちゃんの奥さんも

一緒にいる。

10名が雑誌をもらいに並んだ。



そして、10時になった。

ドア、オープン。

20冊位の雑誌を並べた台を

女性スタッフが押してきた。

みんな「おお、あれだあれだ」と指を差す。

1台目が出てきて、さらにもう1台が

出てきた。

そして、横一列に並んだ。

さらに私達が並んだ列と

雑誌を乗せた台の間に

ロープを張られた。

こ・・これは、一体・・。

私達は、このロ―プを堺に

本を物色するのだろう。

図書館の人の説明はなく

「はい、では1番の方からどうぞ」と

それだけ。

え?ここから順番に

本を見て取れるのね?

取れるのは1冊だけなのかな?

1番の男性が素早く

「カメラ」の雑誌を手に取り

そのまま私らの列の最後に

並んだ。

2番目の男性は「野菜の本」を手に取り

そしてまた並んだ。

おお・・そう言う事か。

まず、1冊欲しい雑誌を選び、

また後ろに回って、

次にもいいのがあったら

ゲットするって事ね!

了解。

私は待っている間、なんとなく

女性向けの雑誌を目を付けていた。

幸いにも男性ばかりだから

狙われないと思って安心。

やっぱりね。ちゃんと残っている。

女性向けの雑誌を1冊ゲット。

あまり見た事のない雑誌だけど

40代向けっぽいな。

さらに私ももう一回並び

今度は母が欲しがる様な


「素敵にハンドメイド」の本を選んだ。

そのグルグル回る動作を

10名で繰り返す。


皆さん、4周になるとそろそろ

お目当てもなくなってきて

後ろに並ばず、

図書館に入って行くおじいちゃんたち。

私は、「素敵にハンドブック」がまだ

残っていたので、母用の雑誌2冊ゲット。

そして4周で、これまたあまり手にしない

雑誌をゲット。

私も、もう別にないかな〜と思い

輪から離れ、図書館に行こうとした。



すると一部始終みていたこれまた70代の

杖を付いた男性が

「なに?なに?なにしてるの?」と

声を掛けてきた。

「あそこに並んでいる雑誌、もらって

いいんですよ」と私が答えると

「ふ〜ん。それでみんなグルグル回って

いたんだね」と言った。

うん。確かにグルグルだね。

あ、もしかして今のナンパじゃないですよね?←


こうして、生まれて初めて

図書館で不要になった雑誌を

もらえるイベントで

お会いする人達が予想外だった事。

もらえる本も、限りがあるけど

必ずしも自分の読みたい雑誌ではない事。

そして、毎月1回、このイベントがある事。

それを知って、体験できたのが

面白かった。

まさか私のHPのネタになるとは

夢にも思わなかった。


そして、私ももらった4冊の雑誌を抱え

図書館にそのまま入った。

もらった雑誌はゆっくり家で読もう。

ちなみに私のもらった雑誌は

主婦向けの雑誌だった。

節約や、今が旬な具材の料理が載っていた。

そして、私と同世代か少し若い世代の

ママさんたちの生活のやりくりが載っていた。

あまり読まない内容だったが

参考になる事もあり、読んでいる。