TOO アダルト


「自分が大人になったんだなあ。と思う瞬間って

どんな時?」
と言う会話をしていた。

「高校生を見た時ですかね〜?自分はもう

働いているんだなあって思うので。」と

21歳のMM2は言う。

仕事帰り一緒に歩きながら

唸るような暑さの中、

駐車場へ向かっていた私達。



私は高校生を見ても

自分が大人だとは感じない。

比較の対象が高校生でない事に

今更気づいた。

こういう場合、
自分と同じ年齢の人や

ちょっと年下の人との比較で

「ここが違う」と少し上目線で言える事が

大人と思うのだろう。


・・きっと私も高校卒業したての頃なら

同じ意見だったと思う。





36歳の私が

大人になったんだあなあと思う瞬間って

大人と言うより、老化してきたんじゃ?って

思う時のような気がする。

例えば、33歳過ぎたら脂肪が付いたとか。

1キロ落とすのが、苦痛であるとか。

これって老化現象じゃないのか?

はっきり言って体の変化と言った事だろう。

いや、これではダメだ。

もっと前向きな大人の瞬間を探さないと!

自分から話を振っておいて

なんてマイナスな意見なんだ。



これがもっと

36歳平均値(そんなのあるのか?)だったら

「子供を産んだ時」とか

「家のローンを引き落とされた

通帳を見た時」と言うのだろう。

でも独身で、20代の延長で生きている私には

環境が違う為、家庭に入って大人を感じると言う

感覚がないのだ。

そうなると「大人になった瞬間」が

同世代の人と違った意見になってくる。


思い起こしてみると

自分は大人なんだなあ、と思ったけど

実はまだ
大人じゃない事に気づいた事は

あった。


「二十歳を過ぎたら大人」と言うけど

いつから大人になったのか分からなくなる。

二十歳の時は確かにあった。

通り過ぎただけで、「二十歳です」と

言った時は存在していた。



仕事をしていたら十分、大人じゃないの?

お金もらっているんだから

プロなんだから。

これで食べているんだから。

(あら仕事みたい)

車、運転出来るんだから。

一人で歯医者に行けるんだから。

・・・・などと考えているうちに

実は大人になっていく行動を

いつのまにかクリアしていたのではないか。

「未成年なんですぅ」と言った事が

言えなくなった時も大人になったと

思ったが。

改めて考えてみると

大人と反対にある子供とは

どんなものか?を考える。

一人で何も出来ない。

すぐ泣く。と言ったところか?

それをクリアしていたら


自分は大人か?

大人の基準が分からない。

冠婚葬祭の手順も分からない。

役場での面倒な手続きも分からない。

大人になるとは

自分の生きる専門分野には

マニアックになっていけるけど

知らない事は知らない。

もしかしたら、自分の関心のある事だけを

吸収して過ごせるのかもね。



あ、大人になったなあと思う事あった。

「この人、合う、合わない」と言った直感。

大人になると、一瞬で見抜けるようになるね。

これって職業病?

目を肥えたのは貴方もだと思うけど

人生勉強が増えると

ムダな事しなくなりますね。


世の中が分からなくて

色んな体験や経験を重ねて

思い悩んだりする。

それを通り越したら大人なのかな。

後先が見えるようになった25歳を

過ぎた頃から

大人だと思った事もあったが

大人になるって、ひねくれていくよね!?


駐車場の車が見えてきた。

約10年乗った私の車とも

お別れしそうだ。

私の成長を

時の流れに乗せてくれていた愛車。

10年前に比べたら

少しは大人よね私。


高校生が自転車で通り抜ける。

背中が汗でびっしょり濡れていた。

あの頭は野球部なのだろうか。

「部活しているんだなあ。若いなあって

思います!」

MM2は懐かしそうに後姿の

男子高校生を見る。

私は言った。

「甲子園に行ったら大人!って

あの高校生達は思うかな。」

毎日、ポカリやアクエリアスで

水分を補っているのだろう。

きっと、部活辞めるまで

飲み物は死守するつもりだろう。

絶対にジュース類は飲まないだろう。

そんな青春の少年を見て

私は言った。



「炭酸水のジュース1本、

残さないで全部飲めた時、

あ〜!私って大人!って思った」と。