新幹線内での出来事 18:00を過ぎても、すぐには やまびこの新幹線は動かなかった。 彼女の後ろの席に、私は座った。 窓際には大阪のお土産を持っていた男性が 座っていた。私は真ん中の席に座り その男性に「お隣失礼します」と声を掛けた。 「どうも」と言う40代くらいの男性。 通路側にはご年配の女性が座った。 席はあっという間に埋まり、 私は自由席になった 8号車の入り口付近に座れて胸をなでおろした。 しかし、新幹線内はどんどん人が乗ってきて 座る席がなくなる。 通常なら、座れない場合はデッキの方に 立つらしいが、今回は席のあるところの通路まで しっかりと人が埋まっている。 「もっと奥の方まで詰めてください」と アナウンスが流れる。 正面を見ると、目がバチと合ってしまった。 年配の男性と。 その男性も「そこもっと詰めてください まだゆとりあるでしょ?」と言う。 さらにその男性は、ドアが閉まる前にホームに向かい 「こちらはもう一杯です。乗れません」と言っていた。 あれ?駅員の男性なのかな? でも普通のスーツ姿だな。 そして、15分後やっと新幹線が動き出した。 私は隣の女性がお弁当を食べてるのを見て そう言えば何か食べたいかもと思い Yさんにもらったクッキーを食べようと思った。 こういう時、クッキー1個でも助かる。 新幹線はスピードを上げて、どんどん進んでいった。 これで無事に帰れる。 私はまたインスタのコメントに返事を書こうと アイフォンを見た。するとバッテリーが59%になってる。 ガーン。これはちょっと不安と思い 初の!「モバイルバッテリー」の登場! アイフォンのお尻の方にポチと差し込んで 充電をした。今まで使った事なかったけど こういう困った時に本当に便利だね。 私は「やっと新幹線が動いたのです。 帰れます!ご心配おかけしました」と コメントに返事を書いた。 さて。東京の次に停車するのは「上野」。 ここで人が下りれば、少しは新幹線内も広くなる。 「上野駅」に到着した。 所が「上野」で下りる人はいなかった。 みんな無言だった。まだこの狭く 空気も薄い空間を過ごすのか。 さらに「大宮」も同様。 東京付近の人達は別な手段で 帰宅したのだろう。 今、ここに居る人達は9割が東北人か。 やっと「小山」で 「はい!下ります!」と数人の人が手を上げた。 先程の駅員並みの男性が 「はい、そこ下りますから通路開けてください」と 指示をしている。 少し、人が減った?でもあまり変わらないな。 私は人が下りる事ばかりを考えていたが それは間違いだった事に気づいた。 次の「宇都宮」では、なんと!下りる人ではなく 「乗ってくる人達」が沢山いたのです。 窓から見える宇都宮から乗ろうとする人の列。 「こっちはもう無理です!」とホームに向かって 声を掛けている駅員並みの男性。 乗れなかった人達は、次の新幹線を待つのか。 次の新幹線って、何時なんだろう? 下りる人は居ないけど、乗る人が居る。 良く考えてみたら当たり前の事なんだけど 私は「帰るモード」だが、「これから東北に向かう人」も 居るのを忘れていた。 そして、私の座っていた所の通路に 若いカップルが乗ってきた。 宇都宮から乗ってきたカップルが この新幹線遅れの事も 何事もなかったような顔をして 普通の「旅行良かったね」の会話をしている。 こんな狭い空間でストレスが一杯だと むしろ耳障りに聞こえるはずの会話が むしろ、周りを穏やかにさせているように思えた。 みんな疲れ果てて東京駅から乗ってきたから しゃべりたくない人も多い。 こういう時、明るい会話やどうでもいい世間話が 周りにも安心感を与えるのかと思った。 さらに「那須塩原」で「下ります!」と 手を上げる人達。 お次の駅「新白河」を過ぎ、 さらに「郡山」に着くと ここで人が沢山下りた。 わああ。一気に通路に立ってた人達が居なくなった。 私の隣に座っていた年配女性も下りて 席が空いた。 すると、先程までJRスタッフ並みに指示してくれた 年配男性が、私の隣に座った。 「やっと座れた〜」と言いたげな顔をして 腰を下ろした年配男性。 私は「なんだかいろいろ新幹線内の 下りる人達を指示をしてくださって 駅員さんかと思いました! ありがとうございます」と 声を掛けた。 (私は知らない人と話をするのが好きだ) すると、男性は「貴方、東京駅のホームで 友達と一緒に居たよね?」と言う。 「え?ああ!友達ではなく その場でお互い一人だったから 帰り道一緒になって話をしたんですよ」と 伝えたら、ホームで私を彼女の キャリーケースの上に座らせてあげていた事を 見ていたらしく 「彼女、えらいよね!」と言ったのです。 そんなに私ら、キャーキャーうるさかったかな? 逆にみんな「まだ新幹線来ない」と思っていたから バンドの話に花を咲かせていた私らが 明るく見えたのかも!? 私は、隣に座った駅員並みの男性に 「今日はお仕事だったのですか?」と 聞くと「いえ。今日は息子夫婦と 孫と家族でスカイツリーを観に行ってね。」と言う。 「ホテルの食事も全部息子夫婦持ちだったんだ。 もう孫なんて疲れ果ててね」と言う。 「あら。そうでしたか。それは息子さん夫婦 太っ腹ですね!羨ましい。え?お孫さんは ちゃんと座れました?」 「ちゃんと一番前に座れましたよ。」 うそ〜。こんな満員電車並みの中 泣きたくなったでしょう? 「あの、これ、お孫さんにあげてください」と 私はセブンで買ったクッキー1袋を渡した。 「ありがとう。孫、喜ぶよ」と言い 息子さんの奥さんに「これ、もらったよ」と渡した。 おっと、私の窓際に座ってる男性にも 「クッキーどうぞ!」と言って渡した。 「ありがとうございます」と言われた。 再び、その駅員並みの男性と話をする。 私は「フジテレビ」で「ガチャピンムックの ミュージアム」を見たとチケットを見せた。 「お孫さんも楽しめそうですよ」と言ったの。 そうしたら、チケットを返してもらえない。 記念にしたかったのだが・・。 その変わり(?)男性の名刺をもらった。 見れば仙台のある企業の社長さん。 えええ!ビックリ。会長ではなくまだ現役。 この社長さんのお得様や取り引きとの 仕事の内容やら、仕事が大事と言う話を聞いた。 私と話し込んでいたら、息子さんの奥さんが 「誰と話してるの?」という目で見ていた。 私、接待してるようにでも見えた? それにしても、さすがオーナー。 私と一緒に居た彼女の行動を見てるなんて 凄いね。 こうして、どんどん新幹線は進み 「福島」を通り過ぎ、「白石蔵王」も 無事に過ぎて、いよいよ仙台に向かう。 やっと帰れる・・。 私は、前に座ってる彼女に 「もうすぐですよ!」と声を掛けた。 その後、私は駅員並みの男性に 「今回は臨時でやまびこが、 自由席が増えましたけど これって「はやぶさ」の切符の人でも今回は この臨時には乗れたんですか?」と聞いてみた。 「それは出来ない。やまびこはやまびこの 切符を買った人だけ」と教えてもらえた。 そうか。やっぱり「はやぶさ」を買わずに 今回やまびこで正解だったのか。 と、思った瞬間 「でもさっき、後から来た「はやぶさ」に 抜かされたね」と言われた。 そうか。でも今回は私はやまびこで 帰る事で、彼女とも楽しく過ごせたし このような駅員並みに行動してくれる社長さんと 話をする時間を過ごせるように なっていたんだと思った。 ハプニングが無かったら出会わない人だった。 「見習うといいよ」と言う事かな。 さて。あともうちょっとで、 仙台駅・・・と言うところで みんな席から立ち上がって通路に出ようと した所で・・・アナウンスが流れる。 「仙台駅に到着の前の新幹線が止まってる為 あと8〜10分お待ちください」との事。 えええ!それって、先程抜かされた 「はやぶさ」だろうか。 私は充電89%になったアイフォンを出し またインスタのコメント書きをする。 またみんな席に戻る。 すると、窓際に居た男性が 「あの、仙台で下りるんですか。 これ、飲みます?」とレモンサワーをくれた。 「わああ!嬉しい。ありがとうございます」 本当なら、昨夜、Yさんとお酒飲むなら レモンサワーかカルピスサワーのつもりで いたんだけど、レモンサワーが時間差で やってきた!嬉しいな。 そして、20分後にやっと 仙台駅に到着しました。 3時間15分くらいで着きました。 新幹線を下りて、私は彼女と一緒に ホームを出る。 その時、先程の社長さんが 彼女にも声を掛けていて 名刺を渡していた。 「貴方は偉いね。自分のキャリーケースの 上に、一緒になった人の荷物置かせてあげたり 座らせてあげたり!」とも伝えていた。 「これから仙台で宜しくね!」とも。 私には、社長さんのお孫さんが 「お菓子どうもありがとうございました」と 挨拶をしてくれた。 「いいえ。良く頑張って帰ってきたね。 またどこかでお会いしましょう」と私は言った。 そして、仙台駅の改札を彼女と歩く。 「長かったですね」 「あ、在来線はこっちじゃないんですか?」 「大丈夫です。どこからでも乗れます」と私は言った。 彼女は仙台駅のステンドグラス前で 妹さんが待っているとの事だった。 私は彼女の手を握り「本当に!本当に! 今日はありがとうございました! お陰様ですごく心強かったし バンドの話が出来て楽しかったです!」と伝えた。 彼女も「こちらこそ!それは私の方ですよ!」と 言ってくれた。 本当ならこのままお友達になって カフェとかバンド観に行ったりしたい所だけどね。 すると、彼女は「インスタされてるんですよね? 今度メッセージ送ります」と言ってくれた。 わああ!嬉しい。 私はIDを伝えた。名残惜しいけど じゃあ、また!と言う事で別れた。 インスタにメッセージが 本当に来たら 東京駅で新幹線待ちしてる時に 一緒に撮った写真を送ろうと思う。 新幹線が止まった事で 私はいい人達に出会えた。 貴重な思い出になった。 疲れて帰ってきたのに なんだか今日の出来事が 嬉しくなって、眠れないかも。 |