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トイレでの悲劇


その日の私は、友人と あるファミレスにいた。

長居の好きな私達は、ジュースを飲み、話込む事3時間。

私は、トイレに行きたくなった。


誰もいないと思った、そのトイレには、従業員が掃除をしていた。

入ってもいいか尋ね、個室に入った。

私は、困った。何故ならば、
用足しの音をごまかす「音姫」がないのだ。

この洋式のトイレなら、音が気にならずに済むのか?

私は「水は便器を離れると勝手に流れます」と

書いてある文を見つけ、

トイレットペーパーを丸めて投げ、ドアまで離れてみたが、水は流れない。

従業員は、このドアの向こうで掃除をしている。

私は、我慢も限界で便器に腰を下ろし、このまま用を足す。

・・・・音がする・・・・

このドアの先には、掃除をする従業員がまだいるのだ。

私は、用足しを途中で止めた。半分くらいで止めた。

一滴も漏らしていない。これはもう「技」である。

ドアの向こうの従業員がいなくなるのを、じっと待った。

息を止めて物音を聞く。私の
膀胱も呼吸を止めている。悲劇である。

このまま、ドアを出て何気ない顔をしたいが、無理な話である。

トイレを我慢する事は出来ても、

中途半端に、
尿の流れを止めたら無理だ。

従業員よ!早く掃除を終え、消えてくれ〜!!

今の私の願いは一生モンである。


幸い、私の後に来た、隣の人が上手い具合に水を流した。

ああ、私も用足しが出来る。流れ落ちる音はかき消されるか?

暫しの間、膀胱の深呼吸、ああ、良かった・・はずなのに!

3時間のファミレス滞在が良くなかったのか?

まだまだ音が響いている・・・チョロチョロ・・(←音)


ドアの向こうには、従業員。隣の個室には見知らぬ女性。

私の用足しは終わった。トイレットペーパーを手にすると

お掃除従業員は「失礼しました」と言い、消えた。

・・・残るは、お隣さんである。


顔を合わせて、たまるか〜!!

私の用足しが「長い」と思われてたまるか〜!!

排出の音も、さんざん聞かれて「ああ、貴方だったのですね」と

思われて、たまるか〜!!!

ああ、そうだ、友人にも「長い・・」と思われるのもイヤだ。

お隣さんは手を洗い、消えた。それを確認して私は個室を出た。


この辛い出来事を、必死の思いで友人に語ると

「トイレットペーパーをガチャガチャ回して音を 

ごまかせば良かったじゃない?」

そう言い、彼女はアイスティーを飲みほしたのであった・・・・



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