抜かれた魂


ひんやり冷たい手の感触。誰?私の両足を持つのは。

枕の位置が、ズレて行くのが分かる。

またもや金縛りに遇った。

私の、長い髪の毛がズルズルと引きずられる。

このままではベッドから落とされてしまう。

私は今までにない体験をしている。

「ちょっと!あんた何すんのよ!」

私の心の叫びが届いたらしく、次の瞬間に金縛りが解けた。

私はベッドの真ん中の位置で、ガバッと起き上がると

時計は深夜2:05を指していた。

私は5分前に眠りについたはずだったのだが・・・


BAD MORNINGで目覚めた今朝。

私の両足には、まだあの手の感触が残っていた。

両親は、私が寝ぼけていたんじゃないか?

ますますバカになったのではないか?夏のせいだね。などと

言ってマトモに相手にしてくれなかったが

この様な経験のある先生の話によると

「今日も、体験するよ!」←キッパリと言い切った。


ちょっと待て!なんでよ!先生は霊感の強い人で

当時の私達の間では、ちょっとした相談相手お兄さん的存在であった。

15歳の夏、私は夏期講習で塾に通っていた。

こんな時期だからか?受験勉強のし過ぎか?

セミの音が、教室中に響く熱い夏であった。


私はその夜、自分の部屋で寝るのが怖くて

父親と寝る場所を交換してもらった。

私のおバカ絵日記と、

当時の下ネタ雑誌「おちゃっぴ〜」

見られ、怒られるのも嫌だが、そんな事より

オバケに足を持たれ部屋中、振り回される方が

怖くて怖くて仕方ない。

私は父の寝室で寝る事にしたが、場所が変わっても怖い。

先生が「御札を貼るといいよ」と言ったが、何処で購入するか分からず

私は、気がつくと次の日の朝を無事に迎えていた。

父も、何事もなかったと言う。

オバケの方が「ノー サンキュー」だったのだろうか?


私は先生に今朝は無事だった事を伝えた。

「布団を通り越して、両足を掴まれてたんだよね?」

そうだ。どう考えても不思議だ。


「二日続けて、同じ事に遇わなくって良かったけど、

あんたの魂を引き抜こうとしてたんじゃないかな?」

・・・・・え。(='□'=)

肉体を通り越して、精神を引き抜きたかったのか?

どうしたら、そんな事が出来るのだ?

セブンティーン アイスの溶け具合を忘れ

友人達が
「こわ〜い!!」と叫んだ。

私は、自分の足に落ちたバニラのアイスの汚れにさえ


気づかない。この頃から私の魂の半分は引き抜かれ(?)

脳天気な大人になったらしい


魂が、全部引き抜かれていたら、本当に
「夢みる脳天気」だったと思う。

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