後ろを振り向くと・・


歩く私の姿が、窓ガラスに映っている。

私の後ろに、制服を着た男性も映っている。

この真っ直ぐな廊下は、今、私とこの男性しかいない。


昨日は、学校に泊まった。

文化祭に向けてのバンドの練習だ。日曜日の学校には

私達バンド関係の生徒しか、いない。

15歳の私は、昨夜、男の先輩に 貸りた雑誌を返そうと

たたみのある教室を訪ねたが

誰も居なかった。みんなコンビ二に買い物にでも行ったのだろうか?

私は、階段を下りて左に曲がると、長い廊下を1人歩く。

私の視線の先には、大きな窓ガラスがある。

ふと、私の後ろを歩く男性を発見。

「なんだ、たたみ教室に誰か居たんじゃない」私は、後ろを振り向く。

すると、そこには長い廊下が続いているだけで

人の姿なんて見えない。

「・・・あれ?誰もいない・・」

そうか、きっと横にある玄関に曲がったんだ。

私はそう思い、また歩きだす。

すると、また私の後ろに笑顔の男性が映る。

・・・あの男の先輩、私をからかっているな・・

試しに私が立ち止まると、先輩も立ち止まる。

私が走ると、先輩も走る。

私がしゃがむと、先輩もしゃがむ。

ああ〜、
私に付き合ってくれてるよ!

私が
WINKの振り付けを踊りだす。(←WINKって書くのが、時代を表している)

先輩は苦笑いをする姿が

窓ガラスに映っている。どうせなら私のマネするなら、一緒に踊ってよ!

そして振り返ると、やっぱり
誰もいない。

なんだろう?私をからかって!

雑誌、返すの止めようかな!・・・て、どの先輩から貸りたのか

分からなくなったけど・・・

その後も、スキップして歩く私の後を、着いてきた先輩。

突き当たりの窓ガラスを右に曲がると、姿が消えた。


そこへ私を呼ぶ男子先輩の声!

呼ばれたのは、後ろからではない。

正面からだった。「あ、先輩」と私が言う。

さっき雑誌を返そうと思って・・と一部始終を話した。

すると、「男供みんなで今、コンビ二から帰ってきた所だよ」と言う。

え・・・?部屋に誰も残っていなかった?じゃあ

私の後ろを着いてきたのは誰?


貴方も、後ろを振り返ると・・・

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