R18内容


私とKさんはそのままVIP ROOMに戻った。

先ほどまで愛ちゃんが座っていた場所に

私とKさんは腰を下ろし、

ちょっと冷や冷やしていた。

「私、ちょっとトイレに行って着替えてくるね」

Kさんはそう言って、

VIP ROOMのトイレに行った。

(後から私も入ったけど、トイレの個室まで

金色なんだね!もうビックリした。)

Kさんは今日は女の事情で、

頭痛や腹痛もあったかもしれないのに

ギリギリまでキャンセルしなかった。

テレビと聞いてもビクともしなかったKさん。

それとも、本当はビクビクしたけど、


私がギャーギャー騒ぎ立てたから、

何も言えなくなったのかな。

私は、Kさんが戻って来るまで

目の前にあるテレビ放送になっている

今、フロアで行われているコンテストを

観ていた。

1番目の姉さんは、私に「カトウ マナミ」と

名前を付けてくれた女性。

流れている曲は、テクノの激しい曲。

ほとんど歌の部分がない曲。

司会の人が「これはこれは激しい!

激し過ぎる!」と姉さんの踊りを言っている。


カメラアングルは、足元から腰、胸と

どアップで、どんどん上に上がって行き

最後に顔が見える感じ。

こうして客観視すると、エロい。

どこをどんな風に

撮られているか分からないもんだ。

参加者姉さん達に

「正面なるべく観ないで、うつむいて

いればいいのよ!」とか

「でも、あんまり下向いてると

返って目立ってしまうよ!?」と

アドバイスをされたが、


30秒の踊りの間は、横顔すら

まともに映っていない感じ。


2番、3番。。。次々と進んで

Vフロント姉さんが画面に映った。

「ついにここまできたか〜〜!」と

打ち合わせ通りの内容で放送されている。

すごい、ほぼ裸に黒いヒモ。

なんだかイヤラシイと言うより

その度胸に圧倒されてしまい

言葉を失くしてしまった。


そして、Kさんと私の番号は

ドタキャンしたのだけど

テレビの方には伝わってなかったのか?

(キャンセルですって言ってくれたのにな)

私の後ろ8番、9番の

お二人が出てきた時、すでに紹介文(?)と


全然噛み合っていない。

私とKさんが抜けた事で、紹介文が

ずれてしまったのです。

8番姉さんの

「貴方の好きな色に染めて」と言っている言葉に対し

踊っている女性は花柄のワンピースだし。

9番姉さんの

「ギリギリの所を見てね!全然見えねえ!」と

言っている言葉に対しては

Tバック姿見えているし。

それで、本来だと参加者が9名だったけど

今、ステージで正面を向いている全員集合7名が

しっかりとテレビに映っております。

私とKさんを覗いた7名の、

素晴らしい姉さん達が!!



Kさんがトイレから戻ってきて

一緒にテレビの内容を見る。

私達は言葉が出なかった。

ふと、その時、私らに

何回かお会いしている中年の男性が

「あれ!?コンテスト出なかったの?」と

声を掛けてきた。

「はい。」と私が答えると、すぐ隣に座って

「なんで出なかったの!?

二人とも出てば良かったのに」だって。

そう言って、チケットを3枚程もらってしまった。

「今度また踊りに来た時、


これで何か飲んだら?」だって。

「いつもどうもありがとうございます」

私は軽い笑顔でお礼を言った。

なんだか、こういう感じで

テレビで放送されているのを

見ると、
出なくて良かった・・と思えてきた。

全員集合のステージの様子が

正面から、顔と全身が

しっかり映されているの。

これは私がここに居るの分かられたら

マズイわ。

これから優勝する人が決まるんだけど

そこで愛ちゃんがマイクで言う。


「なにか、エッチな事言ってみてください」

えええ!なにそれ!?

私はビックリしてしまった。

いくら深夜番組とは言え、

そう言う事をテレビで言うの?うそ〜。



1番の姉さんマイクを渡され

ためらう事もなく、とっさに

「ああ〜ん。〇っちゃう〜」と言った。

一瞬、フロアは静まり返り、


その後、男性陣の盛大な「おおお!!!」と

言う声がテレビから聴こえる。

このテレビの音と、ドアの向こうで

繰り広げられている内容が同時進行。

私は気分が沈んだ。

その後、2番、3番、4番・・・と

マイクを渡され、皆さん

「あ〜ん」「いい〜」とか、そういう言葉を

発しております。


誰一人拒否する事もなく、

マジメに答えているその姿!!

これが自分に関係がないテレビなら

普通に観ていられるけど

私も、このステージに居たら

愛ちゃんから「なにかエッチな事

言ってください」と言うのに

答えなくてはいけなかったんですよ。

消えずに、その場にずっといたら。

そして、この「エッチな事」の件では

1番の姉さんほどの、観客の歓声は出ず

優勝はこの姉さんになった!

私は、この時、泣いてました。

隣に座った中年男性が

「どうしたの!?大丈夫?」と声を掛ける。



私は、今回最後までこのステージに

居たら、
ここまで(喘ぎ声)を出して

テレビ放送されないといけないのか。

そんなエッチな事は、ハッキリって

彼氏か本気で好きな人の前でしか

言いたくない。


それに、Tバック姿で踊った上に

「ああ〜ん」なんて言って

テレビ放送されやら


親が泣くような気がしてきた。

年頃の弟に観られたら

これもかなり恥ずかしい。


弟が私のせいで

「学校に行きたくない!」って

言ったらどうしよう。

こういう状況で、私は改めて

飯島愛ちゃんは、親にも友人にも

顔出してお尻出せる姿を見て

別な意味で尊敬した!!

そして、今回参加された強者の


姉さん達は、私とは別世界に住む人だと

実感した。


もう、泣き出している私は

完全場違いの女。

すみません、私AVみたいな事

出来ません。


もう早く帰りたい。最終電車なくなってしまう。

お母さ〜〜ん!!(泣)

私の涙のワケは、今回の件で

スタッフSさんにも迷惑をかけてしまい

自分の事だけ考えた我まま女と言う

印象を与えてしまった事の反省もある。

とにかく複雑な気分で流れた涙。

VIP ROOMで私が泣いていると

「どうしたのこの人。。こんな派手な

格好してなんで泣いてるの?」と


不思議そうな顔してみている人もいた。

私、もう今日はいい。帰る。

「Kさんすみません、お先に失礼します。」

私が立ち上がると

中年男性は私に言った。

「貴方は純粋なんだね。またね。」


テレビと、フロアの向こうでは

愛ちゃんが「ナイショDE アイアイ」を歌っていた。

この曲を、まさかこのような形で聞けるとは

夢にも思わなかったのですが

私のウラハラな気持ちと心境とは別に

なんて陽気なテンポな曲・・。



私はそのままVIP ROOMを出ると、

目の前に黒服お兄さんたちがいた。

私は「今回の件は、

本当にすみませんでした」と

頭を下げると「ああ!Tバックコンテストに

出る予定の娘(こ)だったよね。」と

笑顔で声を掛けてくれた。

もう化粧を直す気分にもなれなく

出口に向かって歩き出すと、先ほどのコンテストから

戻ってきた姉さん達がワイワイと賑やかに

VIP ROOMに向かって歩いてく所だった。

なんでそんなに笑顔でいられるのか

私には分からなかった。

テレビ出演が楽しかったのでしょうか。

人からの視線が、いつも以上に感じられて

快感だったのでしょうか。

それと、やり切った感ですか?

私は気づいて頭を下げたのだけど

コンテストに参加された姉さん達の

視野に入らなかったんじゃないかな。

私はもう着替えていたし、

分からなかったのかも。

あんなに人ごったかえしていたらね

腕捕まえて声掛けないと分からないよね。

スタッフSさんに挨拶も出来ずに

私は顔を上げ、最終電車に向かって

一番町を歩いた。

入店した時は、道路もあんなに人がいたのに

今はまばらになってる。





次の日。私は仕事。

最終電車で帰宅して、睡眠不足で仕事。

「みかりんさ〜ん!昨日のディスコ

テレビやっていたね!」とご近所売り場の人に

声を掛けられた。

「昨日、ディスコに行くって言ってたでしょ。

観客の席の所とかで、

みかりんさん映るかな?って

思って観ていたけど、

あんなに人いたら

分からなかったね」と言われた。

私はその言葉を聞いて

「うわああああ」と思った。

職場の人にも

「あのコンテストさ、もしかして

みかりんさんも出てたらどうしよう!って

思って観てたよ」と同期入社のOさんに

言われました。

「うわあああああ」とここでも思う。

そして、女の先輩にも

感づかれ←

「実は・・・」と事情を話したら

「ま、出なくって良かったじゃない。


あのね、普通の感覚を持っていたら

そんなのに出れないんじゃない!?」
だって。

その日、私は仕事に来たけど

心は上の空だった。





そして、私は元彼と言う名のお友達に

今回の件を電話してみた。

彼も「ええ!そうだったの!?でも待って。

その話って本当なの?」と言われた。

本当だよ。
貴方の元カノが

あやうくお尻フリフリでテレビに

出る所だったよ。

また、憧れのサーファー彼にも

連絡をしたら、私はここで泣き出してしまった。

「大丈夫だから!もう終わった事だから。」て

慰められました。そして

「あのVフロントの女に、俺の事

知ってるって言った?」と聞かれ


「はい。言いました。」と私は答えました。

「知ってるよって言ってたでしょ?」

「所が、 え〜?どうだったかな?って

言ってはぐらかされました」と伝えた。

この二人は、どんな関係なんだろう。

本当に普通の踊り場仲間なのかも

しれないけど、この時の私には

「怪しい関係かも」と勝手に妄想していた。


サーファーの〇△※さん・・

私は、貴方の彼女にはなれないのですか?

・・・聞きたくても聞けなかった。

私も踊り場で会う人の一人なんだろうなと。



さらに次の日。

Kさんが電話をくれた。

普通に、テクノを踊っているいつもの

ディスコが一番好きだね。と言う話をした。

Kさんも出なくて良かったよね。

また今度、普通の時に踊りに行く事にしようと。

それで、私とKさんは一か月もしないうちに

踊に行く。そしてスタッフSさんに

「Sさん、こないだのTバックコンテストの件では

本当にご迷惑をおかけして、すみません」と言った。

すると、Sさんは「気にしなくていいんだよ!

あのね、これ!
VIP ROOMに無料で

入れるパスカードをあげるよ。」と言われた。


Kさんと私に渡されたその豪華なカード。

あのコンテストには

優勝しなくても参加者には

半年間VIP ROOMフリ―パスと言うカード

と言う事だったらしいが、まさかの

棄権をした私達にまでくださるなんて。

「うん、ただね、ごめんね。有効期限が

三か月なの。この間、一杯遊びに来て」って。

三か月だけでもいいですよ!

迷惑をかけたのに

そのような

嬉しい事が待っているなんて。

ものすごく感動!!

「いいよ、いいよ!またお立ち台を

盛り上げに来てね」

そうSさんが言ってくれた事が

とても嬉しかった。

この会員カードは、なんだか自分の中で

ディスコの常連さんの仲間入りをさせて


もらった気分と、ちょっとランク上の扱いを

された気分にさせてもえらえて

10代の私には、自慢のアイテムになった。


その後もSさんの気遣いと、大人の対応の為

気まずいなあ・・行きにくいなあ・・と思う事もなく

またまた我が物顔で、ディスコ通いでした。


そして、昼間見ている自分のいる社会、

(いわゆる接客業)でも、

夜にお会いする人達の世界でも

どんな事にもルールがあり、

それをちゃんと守らないと

社会人として、失格・・と言うのを感じました。

またお客さんだから・・と大目に見てもらえるのも

勿論限度があると言うのも。

あのコンテストは9名も参加者がいたから

2人抜けても、まだ番組に穴は開かなかっただろうけど

人数が少なかったら、コンテストにもならなかったよね。

そう思うと、あのメンタル強めの姉さん達に感謝です。




私が昼間見ている社会・・・

仕事に行って、話をするお客さん達は

まだお友達の延長で話が出来る世代が

その当時の私には多く、普通にお友達化してました。

30代以上の男性は、「お兄さん」と「おじさん」の

中間で、微妙な位置づけでしたね。

40代以上になると、もう親世代に近いので

その頃の私の恋愛のストライクゾーンは

同世代から39歳まででした。

(昔からストライクゾーンは広かった。)

だけど、夜に出逢う人達は(フロアやVIP ROOM)

同世代より上の世代の人ですかね。

私が昼間話を聞くトークのノリとは違う

欲望丸出し!の人などにも出会えたり

…怖かったですよ。

まあ、そういう所でしか世代が違う男女は

あまり出会えないのかも〜・・なんて思ったり。

・・と言うより!当時のお立ち台で踊る女性の

ファッションが、だんだん露出度が

上がってましたからね。


飲み屋の姉ちゃん相手にするより

GETしやすそう!と思われたんでしょうかね。

さらに、私らは意外と思われましたが

こういう所では、太ももガッチリ見えるミニスカートだけど

此処を離れたら、着替えてもう少し露出抑えるよ

・・と言うのがありました。

あと、恋愛するなら、

こういう所でのナンパはノーサンキュー。

でも、私がこの頃好きな人は、こういう所で

踊るのが好きなサーファー。



世の中(社会)に出て、昼間と

遊ぶ夜の世界を見て

色んな人を見て

笑ったり泣いたり、感動したり

目まぐるしく変わって行く感情と日々の流れ。

横の、同世代がメインだった、

今までの私の世界から

縦の幅広い世代の人達と出会えて

視野も広がり、知らない世界にワクワク。

ヒールが馴染んで、歩くのも楽になって

こんな毎日がこれから先も

何年も続くんだろうなと思っていました。

車でのBGMも、自宅でもテクノを聴いて

ディスコに行くのを中心に

私の生活は回っていると。



★★★★ ★★★★ ★★ ★★ ★★★★ ★★★★



あれから27年が経ち

私も社会の厳しさを知り、まさかあの当時

東大震災が起きたり、コロナ禍の世の中に

なっているなんて想像する事もなく。

2021年、自分の立ち位置が見えてきた時に

この様な大昔に思い悩んだ、

「どうしよう・・どうしよう」と頭を抱えた出来事が

懐かしく感じて。

その当時の感情が、この歳になって


日常を生きる私の

励みになるなんて思いませんでした。

やっぱり私、おかしいでしょ?

昔の出来事を書いている事で、

何故か生きるエネルギーが

体の芯からムクムクと湧きあがってくるのです。

「私、もうどうしたらいいの。あんなに

大好きな空間で迷惑かけて!」と思った事が


先行き不安な今の自分の、励みに転換されるとは

夢にも思いませんでした。




さて。・・そろそろ疲れてきましたか?

長文、第一話から最後まで

飽きずに読んでくださって

本当にありがとうございます。

「突っ込みどころ満載で

どこから突っ込もう?と

思っているうちに、どんどん

違う話しになっていくよね」と

友達に言われます。

この話も、どんどんズレてますが

私自身が、ズレてる女なので

許してね♪