ポリープカット体験2


午後13:30も過ぎた頃

「では、手術室にご案内します」と

声を掛けられた。

キター!

とうとう本当にポリープを

カットする時間がキター!

ちょっぴり緊張してきた。

私はベッドから起き上がって、

ケイちゃんの本を閉じた。

案内してくれるのは、

ナースではなく

ボランティアの女性っぽい。

「手術後は、車椅子を用意しますので

それに乗ってお部屋まで戻りますね」と

言われた。


ええ!?車椅子!?

私、別に手術と言っても

切腹するわけじゃないし

内視鏡入れて、

ポチっと切るだけでしょう?

所が!

ハラを切っても、切らなくても

大腸に出来た物をカットするのは

同じ扱いらしいので

急に歩くと何かあった時困るから

車椅子で運ばれると説明された。

ふ〜ん。そうなんだ。

そんな会話をしていたら


ボランティアの女性にふと言われた。


「あれぇ!?なんかどこかで

見たことありますねえ。


もしかして、どこかの

お店で働いてませんか?」
と。

お〜い・・・お店って

どこの店じゃ〜〜〜!

まあ、確かに店にいますけど・・。

あ!でもそう言われてみると

私も、こちらのボランティアの女性

どこかで見たことがあるような!?

あれ?どこだろう?

すると「あああ!○×△◆!?」

「そうですね!○×△◆ですね!?」と。

なんと!15年前に私と

その彼女は同じ建物内で

働いていた事があったのだ。


私は、この彼女は

今日はマスクを付けていたけど

言われてみると、

なんとなく分かった。


そして、15年も前に居た私を!

しかも、15年後の今、

私はスッピンなのに

「会った事ある人!」って

分かられたのが

ビックリ!


眉だけ描いてて良かったね!

この様な場所で、思わぬ人と

再会できるなんて!

なんか嬉しいわ。



「Mさん、お元気ですか?

私、新人の頃ランチ一緒に食べたり

して話したんですよ〜」

「M!?もちろん元気ですよ!

私と一緒に遊んでますよ!」

普通の日常のようなやり取りである。

しかも共通する人が、この他にも

数名いた。

彼女は、以前介護の仕事をしていて

今は病院で働いているとの事。

そういう人の役に立つ仕事を

しているんだね。

まさかこの様なタイミングで

私がお世話になるなんて!

「世の中狭いですね〜!」と

普通の会話をしているうちに


自分が病人である事を

忘れてしまった。

手術室に案内されるまでは。


「では、こちらの服に

着替えてもらいます。

このパンツは、穴が開いている方が

後ろになります」

そう説明されて、一気に現実に

戻された。

「あ、私これから

ポリープカットなのね」と

改めて思う。

今度は手術用ファッションに

着替えて、下着も全部取る。

ビニールみたいな、

水を弾くような青のファッション。

上下が分かれている。

ズボン風のパンツは

相変わらず色気がゼロである。


着替えて、いよいよ

手術室に入る。

心臓がドキドキしてくるが

私の中では

「婦人科≧大腸の内視鏡」の

図式がすでに出来上がっていたので

怖い!と言う思いはあまりなかった。


手術台の上に乗る。

私の頭の上には

太陽のような照明。

あの良くテレビで見る、

あのピカピカしたライトである。

ナースが3名ほど居て

腸の動きを止める注射を打った。

あとは、右足を組んで

横向きになるように言われる。

「もっと頭を上の方にお願いします」

「こうですか?」

私が手術台の上で動く。

「手足が長いから、もっと上の方です」と

言われて


「ええ!?私、別に

手足長くないですよ!?」と

思わず言った。

するとナースは

「はい。おじいちゃん、

おばあちゃん達に

比べると長いんです!!」

おい。そっちかよ。


高齢になると、身長も縮むし

手足も短くなるのか〜と

思った。


大腸ポリ−プの手術は

年齢は70代くらいが多いらしい。

40歳の私で、若い方。

たまに30代の人が居るくらい

との事。


先日お会いした好青年の

ドクターに挨拶される。

横になったままで

私も挨拶をする。

2回目に会う人に

お尻の穴に指を入れられ

挿入場所をチェックされる。

(まあ、相手は医者だ)

いよいよ、お尻の穴から

内視鏡のカメラが入って

スタートする。


私の目の前には

大きなスクリーンがある。

「大腸の中を、

出来ればずっと一緒に

見ていた方がカットする時

痛くないですよ」


アドバイスされる。

思い切って目をガッチリ開いて

自分の大腸のインナーを

みる事にする。



こうして見て見ると

私のインナーは、ピンク色♪

周りのシャボン玉みたいな

水に埋もれて、まるで

桃が洗われているみたい。

普通に、テレビでも見ているみたい。

しかも自分じゃない人が

検査した状態の。

「この、シャボン玉みたいなのは

なんですか?」

「大腸の中に空気を入れているんですよ」

そうなのか!知らなかった。

しかもこの空気を多くいれると

ポリープが隠れて

見にくかったりするらしい。

なので、要チェックする所は

空気をあまり入れないらしい。

自分のハラの中を

張っているカメラの存在を忘れる。

「痛くないですね〜不思議!」と

私が言ったら

「痛みを感じるのは、

婦人科系を患っているか

おなかを切ったりした人が多いですよ。

そのような人は、どんな名医がやっても

イタイって言われますね」
と言われた。


だけど、私もちょっと痛く

感じる所があった。

それは前もって

「次は角を通るので、

ちょっと痛いですよ」と

説明された場所。

大腸の検査とは、

四角のような通路っぽい。


まっすぐ入って行って↑

次は横にそれて→

今度は下に行く。↓

ゴールまで辿りついたら、あとは

バックしていくらしい。

角がちょっと痛いくらいで

まだ我慢できる痛み。


これは、内視鏡を体験する人

全国共通なのか。



さて。私の今回の内容は

ポリープカット。

見つけられたポリープは

デブだった。


画像で見たら、ものすごくデカい。

顔くらいあるの?と思った。

拡大されて画像に映っている為

ビックリするけど

実際は2センチくらいらしい。

「これをカットしますね」と言われた。

いよいよ
カット作業キター!

(腹に入っていた)カメラから

出てきたらしい、

三個の矢が、ぐっさりと

私のポリープに命中。


おお、なんだこれは。

見ている分には痛々しいが


矢のささった大腸は痛みなし。

本当に「他人事みたい」に

画像を見ている私。

このポリープに突き刺さ差った矢は

私の中では

タロットカード「ソードの3」のイメージ。


ご存じじゃない貴方への説明。

このカードは、ハートの絵が

ど真ん中に大きく描いてあるのだ。

その心臓とも思えるようなハートに

矢が3個突き刺さって

痛そうなカードなのだ。

ハードブレイク!と言うイメージ。

これの実写版が今の私か!?

言った感じなんだが

鈍いのか痛くない。

私はそんなに図太い女なのだろうか?

いや、これはみんな共通していて

大腸の中って、痛みを感じにくいらしい。


話を戻そう。

そのまま画像を見ていたら

この捉えたポリープを(ハートブレイク)

今度はカットするのに

輪みたいなの引っ掛けて

やっつけるみたい。

なんか、このポリープ、

捕らわれた猛獣が

打たれるみたいなイメージ。

この、ポリープをカットする時の

先生の動きは面白かった。

まるで、UFOキャッチャーでも

やっているような感じ。

いや、ファミコンのコントローラーを


握っている感じ!?

右に左にコントローラーを

両手で動かしている。

ハラを切らないで

(「メス!」と言われないで)

中からカットする場合は

こういうものなのか〜と

思ってみていた。

そして、カットされた瞬間を

じっくり見ていたら

私の体にも変化が!


なんと!ブチっと切ったと

同時に私も一瞬、

ちょっとした痛みが来た。

そして体が下に沈んだ感覚になった。

鈍いと思った大腸の中だったが

切られる時は、画面の映像と

連動していた。


私の手術はこれで終了した。

内視鏡のカメラは、

来た道をそのまま帰る事になった。

これだけで済めば30分らしい。

しかし、今回は念のため

もう一度、ポリープが隠れていないか

チェックしてもらう事になり

私は結果的に1時間、

カメラを大腸の中に

入れていた。

「私、なんだかお尻から

シッポが生えているみたいですね」


言ったらドクターは

「うん。」とだけ言った。

長いシッポだなあ〜。

1時間もくっ付けてるわ。

でも、そのお蔭で新たに

3ミリ程度の

ポリープも発見された。

これは5年後に

カットするであろうポリープだそう。

(あまり小さいとカットできないらしい)

それまで育てておくのか〜〜。

お尻から、カメラが抜けて行き

手術は無事に終了した。


そして着替えて初の

車椅子に乗る。

車椅子から見る視界は

低かった。

自分が小学生の頃のような

目線じゃないかなと思った。

それにしても、こう

後ろから車椅子を引いてもたうと

病人の気分になってくるし

介護されてる人みたい。


病室に着いた。

今日は、これから

点滴を1リットル打つらしい。

食べ物も食べれない。

飲み物は水とお茶ならOK。

私は丸一日、

何も食べれないのだ。

そんな生活イヤじゃ〜〜!

後は、カットした切口に響くと

出血するらしいので

腹には力を入れないように言われた。


「あの〜・・いつになったら

踊りに行けますか?」と聞いた。


するとドクターは

「そうですね。来週くらいですかね」と

言った。


明日はもう化粧してもいいか

どうかも聞いた。

お風呂は今日はダメだと言われた。

お菓子も食べちゃダメだと言われた。


普通の生活が恋しい〜〜!

自分の作ったお菓子が食べたい!

化粧して外に出かけたい!

踊りたい!

入院して、点滴打って

自分がどんな生き物なのか

良く分かった。