ピアスの穴〜その2〜


私が1万円も出して開けたファースト★ピアスは、

惜しくも夏の日差しに負けてしまった。

そう。膿んでしまったのである。

夏にピアスを空けると言うのは、無茶な話だった。

湿度も高く、膿みやすいこの時期にピアスを空けるより、

真冬に開けた方が安心だ。

だけど、冬まで待てない。

今が冬だったら良かったのに。

↑余談だが冬を夏に変えて、

夏まで待てない。と書いてみる。

夏まで待つな 
なつまでまつな(←後ろから読んでも一緒。)

どうでもいい事を書いてしまった。


まあいいか。

私はその日、従兄の結婚式に呼ばれていた。

着物で参加する事になっていた私は

「和服の時は、ピアスは外すんだよ」と

言われたので、外した。

(毎回の怪しいコスプレ会ではない。)

そして、この時にピアスの穴が

埋まってしまったのである。



初めの一ヶ月は穴がしっかり出来ていないので

外さず、オキシドールで消毒しながら生活するよう

言われた。

そして、一ヶ月経過したので私は念願の

自分のしてみたいピアスを用意した。

もちろん、引っ掛けるタイプのホルダーは没。

ストレートにただ、飾りが付いていたピアス。

18Kのスワロフスキー。

ピアスの穴を見つける為、耳を引っ張る。

初心者だと、急いでいる時に限って

穴が見つけられず、イライラする事を経験した。

耳の後ろのキャッチで止める。これで完成。

これからは寝る時もピアスを外せる。

しかし、ピアスの穴の寿命が短すぎた。

一度開いた穴が塞がってしまった。

もう一度どうだろう?と、ピアスの先を通す。

しかし、半分までは通るが、後半(耳の裏)は

閉じてしまったようだ。


私は深いため息をついた。


本当は第一希望の、耳の穴をスルリと

一直線に通って行くチェーンタイプ。

それがしたかった。

耳の下で、表と裏に細長いチェーンが

長さが別に二つ揺れている。

表側を短くして、後ろを調整して長くする。

揺れる度、シルバーに光る耳が魅力的。

やれなかった事をする為に生まれてきたのなら、

このピアスもしないと私は生まれた甲斐がない!

私は夏が通り過ぎるのを待って

またピアスを空ける事にした。




また痛い思いをするのだが、この痛みを

乗り越えないと、私の願望は達成されない。

痛みとは人生の通過点である。

今度は美容室ではなく

耳鼻科に向かった。

結構早く行ったのに、

目的がピアスの穴を空ける事だったので

一番最後にされた。

名前を呼ばれて診察室に入っていくと

私の好みの男性が先生だった。

あら、ちょっといいかも〜。と見とれている私。

当時30代前半くらいで、ちょっと硬派な感じの先生。

先生は私の耳に手を当て一言。

「・・・みみたぶ、薄いね・・・」

きゃ〜!そのまま耳の中に舌入れてくださっても

良くってよ〜〜〜!!(←バカ)

余談だが、みみたぶは、下の方がぷっくりしていると

金運がいいらしい。私は耳たぶが薄いからダメか!?

私は前回の痛みを忘れ、

また穴を空ける事にワクワクしていた。

今度は吐き気はなく、医者が処方した塗り薬ももらった。

金額は保険が利かず、13.000円だった。



お陰様で、あれ以来膿まなくなった。

ピアスの種類も増えた。

その分、紛失もした。

この後、半年後に私は念願の

チェーンになったピアスをする事が出来た。

しかし、これは耳を引っ張って

長さを調整するのに、耳の穴を通るチェーンが

いづい。(←方言。)

ついでに言うと、耳の穴を通す出だしは

まっすぐで、通りが良いのだが

途中でボコボコの触感になるので

そこに神経を集中すると、

ズリズリと音がするようである。

落ちにくいと思っていたけど

踊っていて失くした事があった。


今もそのチェーンタイプはあるが

何故かあまりしない。

沢山ピアスが集まってきたのに

今、手元には数えるくらいしかない。

一時流行った大きなリングのピアス。

今、あまり見かけない。

ピアスのデザインにも時代と

自分なりの思い出があるのだと思う。