お菓子の家


私の働く建物の中に

手芸屋さんがある。

服を作る為の

色取り取りの生地や

見本品として飾ってある、

子供のエプロン。

他にも、店内を覗き込むと

フェルト用紙で作った、

ケーキやパフェと言った

スィーツの飾りが

盛りだくさん飾ってある。

入り込んだらそこは女子力全開の


可愛い空間。

私も趣味にしたいけど、裁縫は苦手。

可愛いスィーツは、

本物の食べれる方が

好ましい!!


従業員だから、

その辺ですれ違ったりすれば

挨拶はしていたけれど

手芸屋さんは、私は無縁だろうと

思っていた。



ところがそんなある日。

エスカレーターを上がると

ちょっとした場所で


「お菓子のお家を作りませんか?」

勧誘している看板を発見!

その下にいる手芸屋さんのスタッフが

私の視界に入ってきた。

私は吸い込まれるかのように

お菓子のお家と言われるモノを

見に来てしまった。

そして私は

目を大きくしてみてしまった。

飾ってあるお菓子のお家のサンプルは

みるからに可愛い。

小さな一戸建ての家に

生クリーム風の粘土で絞りだしをしている。

そこに、小さなクッキーやキャンディー

そしてチョコ、マカロンなどの小物を

乗せて飾ってある。

数個も並んでいると、確かに人目を引く。

「わあああ!可愛い!」

誰が見てもそう言うと思う。

「お疲れ様です!良かったら

どうですか?オリジナルで

好きなように作れますよ。」

「いくらですか?」

「税込1,000円です。」

「1,000円ですか。

出来上がったのを1,000円で買うより

自分で好きな様に作って、

作る工程も楽しむとその金額はいいかも。」

「そうですね。

お菓子の家、実は飾りじゃなく

貯金箱になっているんですよ〜。」

そう言って、家の下を見せてもらった。

本当だ。ここに小銭入れて


本物のお菓子の材料買う時

ここから取り出すといいかも。

私は興味が湧いてきたので

このお菓子の家を作る事にした。

今、ちょっとトイレに来ただけなので

予約だけしておいた。



お昼休み時間になった。

私はいつもよりも早くランチを終え

ダッシュで手芸屋さんに行った。

「お待ちしておりました」と言われた。

まず、店内に案内される。

初めて中に入ったけど

沢山の可愛い物が並んでいる。

「お菓子の家は土台になります。

色は茶色、赤、ピンクとありますが

どの色がいいですか?」と聞かれた。

「ピンクでお願いします!」と

迷わずに私が言う。

「ピンクですね。はい。

探します」と言われた。

しかし・・・探しても探しても在庫がないらしい。

あまりにも人気で出てしまったそう。

「じゃあ、赤でお願いします」と言った。

この土台の家が、貯金箱になる。

この土台が700円するらしい。

そして私がトッピングするのは

屋根の上になる。

屋根の上に生クリーム風の粘土を絞り

そこに小物のクッキーなどを飾ると言う。

粘土を絞るのは後で、

とりあえず小物類を選ぶよう勧められる。



ガラスケースの中に

小さなチョコやクッキーなど60円と

書いているコーナーがあり

そこから5点ほど好きなモノを選んで

欲しいと言われる。

30種類くらいある。

キャンディーもいいな、

ドーナッツもある。マカロンもある。

ハートや星のクッキーもある。

どうしよう!5個好きなの選んでいいって。

ワクワク。


「一つ、大きなモノを選んでアクセントにして

残りを小さ目にすると仕上がりが綺麗ですよ」と

アドバイスされる。

へえ。そうなんだ。立体的に出来るのかな。

後は、色の具合も大事よね。

私はどうもピンクが好きで

甘い色合いになってしまから

緑も入れてみよう!

クリームソーダ―も屋根に飾ろう!

休憩時間なので、あまり

悩んでいる時間がないから

直感で5個選んだ。


ここで一度お支払。


そして、いよいよメインの作業!

先ほど選んだお菓子の家に

トッピングをする!

一番やってみたかったのは

生クリーム風の粘土!

これって本当に

ホイップされた生クリームと

同じ状態になっているの。

「白とピンク、

どちらも使っていいですよ」と


言われる。

ピンクが美味しそう。

ピンクを貸してもらった。

「普通にケーキの上に置くような

生クリームとは違って、

結構力入れて絞ってくださいね」と言われる。

パッと見た目は生クリームだけど

本当は粘土だからなんだね。

私は言われる通り、力を入れて

グッと押してすぐクリームを持ち上げた。


なかなかいい形のクリームが出来た。

「わあ!上手ですね」と褒められた。

まあ嬉しい。お菓子作り好きだからね〜

ショートケーキを作った時、

ホイップしたクリームでこの形

沢山練習したようなもんよね!

屋根にクリームを絞って

小物のお菓子を乗せて行く。

わあ。面白い。

クリームの上にくっついてる。

バランスを考えると

(小物の)四角のクッキーは

縦に置いた方が

見栄えがいいかな?とか

どうしたら可愛くみえるかな?と


結構頭を悩ますねえ。


とりあえず、全部小物を乗せてみた。

仕上がった!わ〜いわ〜い。

「生クリームがすぐに乾かないので

今日一日はこの箱から

取り出さないでくださいね。」と言われ

お菓子の家を箱に入れてもらえた。

私は1,000円で

オーダーメイドの貯金箱を

作れて楽しかった。

自分好みで選んで

好きなように作って

さらに完成したものは

自分の物。

一度で三度楽しい。



本当は最後にこの

「お菓子の家」の貯金箱を

お見せしようと思ったのだが

箱に入れて持ち帰りしているうちに

小物のクッキーなどが

ちょっと斜めになってしまい

残念な仕上がりに

なってしまったので

諦めた。