夏のオカルト話 ジジタンの四十九日が終わった後 食事会も済んで、私が昼寝をしていた時、 姪っ子のちぇりと、ゆなが私の部屋に 遊びに来ました。 「あのね〜。オバケの話しよう！」と 二人そろって遊びに来たのです。 え！？オバケの話し！？ うん！しようしよう。 私は一気に目が覚めました。 小学生は、オバケの話しが 大好きなお年頃。 ちぇりは、小学５年生です。 趣味は「ユーチューブで、 オカルトのサイトを見る事」らしい。 さすが私の姪っ子。 ゆなは、「お姉ちゃん（ちぇり）が話をするから 付いてくる」感じ。 だけど、コックリさんに 興味を持つ小学２年生。 え！？コックリさんやったりしてない？ 「うん。大丈夫。ママに ダメって言われてる」との事。 それなら安心。 そうそう。昭和６０年前後ごろ、 コックリさんやるな！って 新聞に載ったりしたよね？ 私らが子供の頃にも、 危険って言われた遊びだから しないでね。と伝えた。 ちぇりは「あのね、ユーチューブで 肝試しした動画みたんだよ」と言う。 ユーチューブで・・・肝試し動画・・・ この単語自体が、今時の小学生には 日常の事なのだ。昭和生まれの私が 小学生の時にはないアイテム。 スマホが私ら子供時代にあったら ドラえもんの世界だわ。 さて。ちぇりが言うには 「お化けには、服の色によって 区別がある」と言う。 ほほう。どんな区別？ 「白の服は普通のいいオバケ。 赤の服を着ているオバケは 驚かしたりイタズラが好きなの。 そして、黒の服着たオバケは 人間を呪い殺してしまうの！」 きゃ〜！怖い。 でも、言われてみると服の色で その性格の良さを示しているような。 ちぇりの言っている事、分かる。 いつかテレビで見た時 ビルのエレベーターに居るオバケは 赤い服で、人間を驚かせていたな。 そう言えば、ちぇり。 前、ジジタンのお葬式の時に 「この子供は霊感あるのか？」と 思った事があったのだ。 あれはジジタンが葬儀屋の部屋に アイスクーラーで冷やされながら 布団に寝ている時の時。 ちぇりは、「じいちゃんのいる部屋に 黒い煙みたいなのが居る」と言った。 私はビックリ。黒い煙？ それはジジタンから出ているの？ 「違うよ。この部屋にあって 時々私の横とか、他の人の横を 通り過ぎるの」と言う。 その黒い煙とは、ジジタンが発したモノではなく 葬儀をする部屋にあるのか？ ちぇりは言う。「私ね。この部屋に 前にも来た事あるの」 うそ！それは知らなかった。 「その時も黒い煙あったんだけど 今よりもっと小さかったの。 ２回目の今日見たら、大きくなっていた！」 うそ〜。黒の煙も成長してんの？ 私は試しにゆなにも その黒い煙の事を聞いてきた。 所がゆなは「見えない」と言う。 この黒い煙が「となりのトトロ」に 出てくるような「まっくろくろすけ」なら 可愛いよね。子供だからそういうの 見えるんじゃない？ でも、ちぇりが言うには 「黒い煙」は、本当にモヤモヤしていて 以前よりパワーアップしていると言う。 私は、場所が葬儀屋だし そういうのが部屋に住みついていても おかしくないのかな？と思った。 だけど「だんだん大きくなっていて怖い」と ちぇりが言うから私も不安になった。 黒いと言うのが、ちょっとイメージ的にね。 悪いオバケかなにか？と思ってしまわない？ そして、ネットで「黒い煙」について 何か載ってないかな？と検索をしてみた。 すると、ちぇりが言っているような事について 書いてあるサイトを発見。 これがもし、ちぇりの見た「黒い煙」と同じなら 決して怖いものではなかった。 どうやらその黒い煙は、人間の悲しみを 強く引き出すオバケらしい。 悲しみを表面に沢山出させるのが 目的らしい。 「どういう意味？」と私も思った。 要は、人間の悲しいと思う気持ちを 心の奥に閉じ込めたままにしないで 一気にこの場で感情を出し切ってしまった方が いいと言う事みたいね。 だからちぇりが「日に日にパワーアップして 大きくなった」と言うのも、悲しみを 早く爆発（？）させて 外に出して！と言う事かな。 だってね、この「黒い煙」って その場に居る人達を取り囲んでいるみたいで ご遺体を霊柩車で運ぶ時まで まとわりついているみたい。 （まあ、葬儀会場だしね） だけど、霊柩車が居なくなると、 そこで見送っていた人達の周りには 黒い煙がなくなり、 白の煙に変わるらしいのだ。 （これはちぇりが言ってたんじゃなく たまたま見たサイトに書いてあった。） 悲しみの気持ちを盛り上げて 涙を流させた後は、スッキリさせるのか？ そういう役割みたいな内容だった。 だから、ちぇりが見た「黒い煙」が この類だったら、人間の見方なのかな？と 思ったのです。 純粋な子供だから この様ないいオバケに出逢えたのだろうか？ 「ねえ、ところでちぇり。 ユーチューブで肝試しの他に 何を見てるの？」と私は聞いた。 「うん。後はね、お化けが見えるようになれる シールが１万円で売っているのを見たよ！」と言う。 ええ！？お化けが見えるようになるシール？ ゆなも言う。 「うん。そのシールってね オデコに貼るんだって！ そうすると、お化けが見えるように なるんだって！」 うそ〜！ちょっとそれって 思いっきり詐欺じゃないの？ それにオデコにシールを貼るって・・・ なんか、私の中では「キョンシー」みたいな イメージなんだけど。 あ、キョンシーはオデコにお札か？ とにかく！１万円も出して シールを貼ってオバケみたいものなの？ ちぇりは、もうすでに「黒い煙」のオバケを タダで見たんだから、いいんじゃないの？ 今更お金を出して、オバケを見て 何の得をするのだ？ その１万円あったら、マンガ本沢山買えるよ？ 「うん。でも本気で１万円出して そのシールを買いたいとは思ってないよ」との事。 それは良かった。 ・・と言うか、小学生に１万円の感覚 分からないよね？ 「みかちゃんは、お化け見たことある？」 ※私は姪っ子たちに「みかちゃん」と 呼ばれている。（図々しい） 「うん。高校生の時に見た。」 「うそ！怖い！？」 「ううん。怖くなかった。 それより怖かったのは金縛り体験」 「ええ！？みかちゃん金縛りにかかった事 あるの？」 ちぇりとゆなは目を丸くして私に聞く。 「うん。中２から高２までかかったよ。 一番怖かった話聞きたい？」 「うん！」 「あのね、私自分の部屋にベッドがあった時 １２時ちょうどに寝たのね。 そして、金縛りにあったの。 金縛りにあうのはいつもの事だからいいんだけど その時に限って、私の両足首を捕まれたの！ ガッチリ！そして、下に引き落とそうとするの！」 「なにそれ〜〜！怖い！」 「私も怖かった。だって頭の方に 毛布と布団がモコモコって上がって行くんだもん」 「それで！？みかちゃんは大丈夫だったの？」 「うん。ふと金縛りが解けて、ガバッと 起きたら、布団がモリモリと被っていたよ。 手の後は残ってなかったけど 感触があってね。それがイヤだったの。」 「怖い。」 「うん。それでたまたま次の日は日曜日で 友達らと、先生のお家に遊びに行く約束してたのね。」 「うん。」 「その先生に金縛りの話しをしたら みか、それ今日もかかるから気をつけろと 言われたの」 「ええ！なんで？」 「なんかね、私の話しと同じパターンの人が 先生の知り合いに居て、 ２日続けてそう言う目にあったって。 そして私よりひどくて、足首持たれて 部屋中かき回されたって言うんだよ。」 「そんなのいや〜！」 「そう。だから私も自分のベッド怖くて その日、ジジタンに私のベッドで寝てもらうように したんだよ。」 今、思うと「身代わり」になってもらった。 当時私は高校１年生、 １５歳の感受性豊かな お年頃だったから ジジタンの寝室で私が寝たんだよ。 ジジタンに事情を言ったんだけど、あまり本気に されなかった。 そして、次の日目覚めて 真っ先に私は自分の部屋に行った。 「パパ（この時はジジタンと呼んでいなかった）！ 大丈夫だった？」と聞いた。 するとジジタンは「なんともなかったなあ」と言った。 オバケもジジタンがベッドに居て 「あれ？」と思ったのかな？ 私は相談に乗ってもらった先生に 連絡をしたのね。 そして先生が言ったのは 「俺の友達の件もそうだったけど おそらく美香の場合も、 魂を抜こうとしていたんじゃないかなあ？」だった。 ぎゃあああああ！怖い！ 魂を抜かれたら、今頃生きていないわ！ そう言った意味では、ジジタンは 命の恩人だね。 ちぇりもゆなも、 私の金縛り体験にビックリして 「今日、眠れないかも」と言い出した。 ああ・・・ユーチューブの肝試しの方が まだ眠れるレベルなのか。 それとも、実際にオバケに遭遇した人が 身近過ぎて、リアル過ぎて怖くなったのか。 「怖がらせてごめんね。 じゃあ、今度は占いしない？ タロット！」と私が言った。 「タロット占いってなあに？」 二人とも目をキラキラさせて聞いた。 「こういうカードで、占うんだよ」 私はタロットカードを見せた。 「わああ！初めてみた」 「何か占ってあげるよ」 「なににしよう？」 顔を見合わせてる姉妹。可愛いな。 これで、私の怖い話から 気が変わって無事に二人は 無事に眠れますように。