共同墓地のお墓 母方の従兄(57歳)が亡くなって 一か月が過ぎた。 母の姉(私にとっては叔母さん)と 母の弟(私にとっては叔父さん)と母は 三人で毎週、お墓に手を合わせに行ってる。 「次は日曜日行く」と言うので 私も仕事が休みだったから 一緒に手を合わせに行くことにした。 従兄のお墓は、先祖代々のお墓や 最近建てたお墓と言うワケではなく 諸事情により、 共同墓地のお墓になります。 私は今までのお墓参りとは 違う事を体験することになりました。 私の車で母を乗せ、お墓のあるお寺に 向かいました。待ち合わせしてた 叔母さんと叔父さんはまだ来ていませんでした。 私はそのお寺は初めて来たのですが コンパクトなお寺と、どこにでもあるような 個別になってる沢山のお墓がありました。 土地としては小さめな感じでした。 私は従兄のお墓はどこなのか聞いたら 「この建物の後ろにみんなで入ってるお墓がある」と 言うのです。 どうやら、大きなお墓になっているらしく そのお墓に従兄が眠っているそう。 まだ叔母さん達も来ないので、ちょっと 下見をしに車を下りました。 そして、「犬・猫」のペット用のお墓の 隣に、「共同墓地」のお墓がありました。 ここに従兄が眠るお墓なのか。 そして、そのお墓には先客が1名居ました。 座り込んで手を合わせているその男性は 私が母と車でお寺に着いた時 自転車で来てた男性でした。 母が「前の人が手を合わせているから このまま車に戻ろう」と言う。 「うん」と私も言い、引き返しました。 この時、初めて「自分の所のお墓なら そのままお墓の場所に入って すぐに手を合わせられるのにな」と 思いました。 今まで、普通に「お墓参り」に行って 順番待ちをした事がなかった私は この様な事があるのを 初めて知ったのです。 このまま後ろで待っていたらいいのでは ないか?とも思いましたが キャッシュコーナーや、切符売り場での 順番待ちのようにはいかないと 思いました。 これが共同墓地のルールなのだろうか? 母と車で待つ事15分後 叔母さん達もお寺に着きました。 叔母さんが「花を持ってきた」と言い 車を下りると、母が一言。 「先客の人がお花を差していたから この花は持ち帰った方がいいよ」と。 え?そうなの?先程の男性が 花を差していたの?良く見てたな。 「だって、私たちが行って花を差し替えたら 前の人、いい気分じゃないでしょ」って。 あ〜・・・そういう事か。 「自分の身内」だけのお墓じゃないからね。 そして、私たちは4人で手を合わせようと その「共同墓地」のお墓に歩くと 先程の男性が、まだ座り込んで下を向いて 両手を握りしめて、固くなにその場を 離れようとしない。 うわああ・・どうしよう。 もうかれこれ20分は居るよ。 よっぽど、お話したい事があるのか。 叔母さん達も「じゃあ、ちょっと車に 戻ろうか」と言う。 またか。まあ仕方ないか。 再び行こうとしたらその男性も 私たちの事に気づいたのか お墓の場を離れ、私たちとすれ違った。 母が「こんにちは」と言ったら 低めの声で挨拶を返したらしい。 きっと、私の従兄より後に亡くなった人が 居て、その人に手を合わせに来たのだろう。 従兄の眠るお墓。 知らない人達と一緒に眠るお墓。 それがこの私の目の前にある いわゆる「共同墓地」のお墓。 普通のお墓と同じで 中央にお線香を上げる場所がある。 両脇には、先程の男性が差した 花があった。まだ新しい花みたい。 お墓の石の所には、生前の時の名前が 彫られている。戒名はないみたい。 従兄の名前はまだ彫られていなかった。 普通にフルネームで、〇〇家とも書いてある。 まだ新しいお寺なのか?お墓に入っている人の 名前も数える位しか彫られていない。 私はお線香を上げ、従兄の事を思い 手を合わせた。 お供え物は置いてはいけないらしい。 ここが自分の所のお墓なら 好きな物を置くことが出来るのになあと思った。 「タバコやお酒」も従兄に置いて あげたかったが、それは無理なのだと知った。 私たちは手を合わせ、その場を去った。 私も、後ろに誰か並ぶかもしれないと 思ったので、ゆっくりしていられないと思った。 あ〜・・そう言えば、15〜6年前 飼ってた猫にゃんにゃんのお墓も 動物の共同墓地だったな。 リアル友達の犬やうさぎなども一緒で 「みんな同じお墓だね」と言ったな。 あの時、母と動物の共同墓地に 来た時も、順番待ちしてた! そうだそうだ。3番目だったの。 そして行き交う元・飼い主さんたちと 会釈し合ったっけ。 まさか、人間の共同墓地も 順番待ちがあるとは思わなかった。 共同墓地で、永代供養を頼んだ従兄は 戒名もなければ位牌もない。 また、骨については 布に包んでお墓に入れるワケじゃなく そのまま集めた骨が 専用の壺に入っていくらしい。 従兄が今の所、壺の中では 一番上になっているかと 思ったけど、先程の男性が居たので きっと、従兄の骨の上に重なっただろうね。 そして、どんどん壺の下に沈んで行って 最後には土に戻るのか。 永大供養は、お坊さんにお願いをしての 「49日」もないらしく 「一周忌」と言うのも特にしないらしい。 生きている人間側がしようとすれば 出来るのだろうけど。 今まで、自分のご先祖様のお墓があって そこに命日やお彼岸などは 手を合わせに行くものだと思っていた。 ジジタンが亡くなって、自分の所の お墓がある事で、私はそこに お墓参りが出来るのが当たり前と 思っていました。 個別にあるのが普通と思っていたのですが 時代の流れなのですかね。 お墓を持つかどうか。 誰が墓じまいをするのか?など だんだんリアルに考えるお年頃になると お墓を持たずに、「永代供養」もありと私も ちょっと思ったのですが・・。 いざ、生きてる人間が「手を合わせたい」と 思った時に、「共同墓地」は 色んな人と一緒だから 今までの私がしていた「お墓参り」とは 違うと思ってしまいました。 従兄は、もう骨になってしまったから そこに魂はないのだろうけど 従兄はあのお墓で 会った事も見た事もない人達と 一緒で、果たしてうまく やっていけるのか?などと思ってしまった。 まるで、生前、病院に入院してた時と同じで 個室じゃない病室にいる気分の延長じゃないかと。 あ!でも魂がそこにないから大丈夫かな? でもね、私、24歳の時、父の祖父に 「俺はまだ死んでねえ!!」とガン飛ばされて 「墓石重い!なんとかしろ」と夢の中で 訴えられた事があったのよ。 まあ、従兄は今の所、 なにも私に言ってこないけど。 自分が死んだらお墓を どうしてほしいか 残された人にちゃんと伝えないとね。 ・・と言っても!私の場合 弟と姪っ子しかいないか。 じゃあ迷惑かけられないから 散骨を考えた方がいいか! |