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取れたボタン



今日は休みである。誰とも会う予定もない。

ああ、こんな日だからこそ、やれる事がある。

取り合えず、アイロン掛けをしよう。

私は会社用の白いブラウスを手に取る。お気に入りの、

ヒラヒラのリボン付きのブラウスである。

きちんとアイロンかけるわよ!

すると、左の袖口のボタンがとれていたのである。

ああ、これはこれは・・ 裁縫セットの活躍時と感じる。

これが全ての「事の始まり」である。


私はアイロンを掛け終え、針に糸を通そうとしたら

糸が針に付いていた。ああ、余計な手間が省けた。

私はボタンも裁縫セットにあったので、今日は

なかなかツイテル♪と思っている。

にゃんにゃんとファンヒーターにあたりながら

ボタンを付けている。

「これで よし!」とブラウスをみると

私の付けたボタンが見当たらない。

良く見たら、
ブラウスが裏返しである。

なんでじゃ〜!!せっかく付けたのに!!

針を見たら、糸が付いていない。

ああ、糸を通さないといけなのね。

しかし、私のテンションが低いせいか?

糸がなかなか通らない。

袖口のボタンを取り外す事から、始めよう。

にゃんにゃんは、大きなアクビをしている。

ああ、ハサミは何処!?ハサミが見つからない。

引き出しを荒らしていると、友人から借りた

「ホストクラブ男性が語る本」が!!

ああ、そうだ。これ、チラッとしか読んでなかったの!


私は「ホストクラブ男性論」に心を奪われ

そうそう、こう言う言葉かけられたら

女はイチコロなのよね〜。そうか、説教をする男性は

要注意なのか!なるほど、携帯電話の沈黙の間の置き方ね。

ああ!さすがプロ!!そうかそうか。と納得しながら

現実を忘れる。にゃんにゃんもお眠りタイムである。


正味1時間半の、本の世界から帰ってきて、

再びボタン取り付けにかかる。

なんとか気分をリフレッシュ!やっと表側に付けたわよ。

やっぱり、人間って寄り道が面白いのよね〜。

と思い長いアイロン掛けが終わる。


しかし、そのブラウスが実は

もう反対側のボタンも取れていた事に

気づくのは、次の日の朝であった。

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