踊る男性


踊り疲れて、席に戻る。タバコに火をつけてフロアをみている。

席に座っていると、観客みたいな存在になれる。

フロアを眺めている人と言う感覚になれる。

踊っている人達は、「踊りを見せている」気分の人もいる。

そして、何故か、座っている私達の方を向いている人がいる。

客席感覚に陥っている私らに、

全身でアピールをするような男性・・。

「見てください!」と思うのは、

一昔前の私(&当時の女の人)だけではなかったのか。

いいよ〜。見てあげるから。そんな気分で男性に視線を向ける。

カジュアル路線で、赤のトレーナーに、ベージュのズボン。

メガネをかけている。若くもみえるし、アダルト層にも見える。

年齢不詳に見える・・。20代〜40代だろうか。

私は、タバコ一本吸い終わるまで見ていた。

すると、踊りをアピールしている男性の訴えとは

不特定多数の視線ではなく、

鏡に映る、自分の踊る姿であった事が判明。

鏡をみて踊っている人が、男性の周りにも数人いた。

ああ。ナルシスト。(その気分は分らないでもないが。)


フロアの中心が、メインに見える日もあれば

踊りが上手い人に視線が行く日もある。

今日は、鏡の前から離れない男性の存在が目に入る。

もう、自分の世界なんだろうなあ。

・・・なんだか、目に見えない壁がある・・。



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