おばあちゃん


一緒に住んでいなかったけど、私を可愛がってくれたおばあちゃんは

今から10年位前に他界した。

母方の祖母で、土に塗れて畑仕事をするのが好きで

また裁縫も得意なおばあちゃんだった。

ふっくらした顔をしていて、スローリーに歩く姿が今も

目に焼きついている。

病気になって、日に日に痩せてしまったけど

私が思い出すのは、ふっくらしていたあのおばあちゃんだった。


今年も命日が近づいてきた。お墓参りに行こう。

そんな前日に、従妹のかおりちゃんから電話が来た。

12〜3年福岡に住んでいるかおりちゃん。

かおりちゃんは実家に戻ってくるか、福岡にそのまま居た方が

いいのか悩んでいた。

そして私に「おばあちゃんのお墓参りに、

私ずっと行っていないの。」と言う。

私は「遠いから仕方ないね。

私がかおりちゃんの分まで行ってくるよ!

私らのおばあちゃんだから、大丈夫だよ!」と言った。

かおりちゃんはさらに言う。「死んだ母が、夢に出てきて


おばあちゃんのお墓参り!お墓参り!って言うの〜〜!!」

・・・それってメッセージなのかな?


かおりちゃんは、おばあちゃんのお葬式の時

二人目を妊娠していて来れなかった。

暫くしてから飛行機飛ばして、おばあちゃんのお墓に行った。

それっきりお墓参りをしていないと言う。

大丈夫だよ、かおりちゃん。おばあちゃんが

かおりちゃんがお墓参りに来れないの分かっているよ。

私達を見守っていてくれているから

大丈夫だよ。


次の日、私は一人遠出がイヤなので

母と一緒にお墓参りに出かけた。

行く途中、道路が工事されていて

通行止めになっていた。

「これはお墓参り日よりではないと言う事か?

引き返せと言う意味?」

でも!せっかくガソリン代かけて来たのだし

なんと言っても今日は私、

かおりちゃんの分まで一緒に

お墓参りに来たのだから引き返せないのだ。

すたびれてなくなったスーパーの駐車場

車を止め、歩きながらお墓参りに向かった。

歩くとキツイ坂道をブーツで登り

見知らぬ小学生に笑顔で挨拶された。

感心である。

母に買ってもらったホット紅茶をカイロ代わりにして

15分くらい歩いただろうか。

やっと辿りついたお墓。

「おばあちゃん、来たよ〜〜〜」


線香と花を用意して、お墓の前に立つ。

ずっと前から思っていたのだけど

お墓の横に、あの世に行った名前の書いているの

(なんて言うのだろう?

歴代の亡くなった人の名前)あるでしょ。

その前に、
左側におばあちゃんが居て、

右側にじいさんが居るような

気が毎回していた。


おばあちゃんは、ふっくらしていた頃の顔をしていて

なんだか知らないけど、青のカッポウギを着ている感じがする。

笑顔で微笑んでいる感じはないのだが

「あ〜。。。来たんだねえ」と遠い目をして私らを

見ているような感じがした。


おばあちゃんは、じいさまとは

あまり仲が良くなかったけど

何故かワンセットでそこに居るような気がした。

でも、私が霊感があって視えているのではなく

なんとなく、そう思うと言う感覚的なもの。

そして「おばあちゃん、かおりちゃんが大変なの。

どうかかおりちゃんの一番いい方向へ宜しくお願いします」と

お願いしてきた。

そして、「じゃあ、また!」と私がなんとなくそこに

居るような二人に手を振る。

母とそのままお墓を遠ざかると、

いつも振り返ってみてしまう。

私らがいなくなるのを、そのまま見守るかのように。

墓石が並ぶこの場所で、おばあちゃんのお墓だけ

煙が立っている。


そして、お墓を去る頃には

そんな感覚もなくなり、帰宅しながら母と会話を

楽しんでいた。


「かおりちゃん?お墓参りに行ってきたよ。

ちゃんと かおりちゃんの事お願いしてきたからね。」

私が電話でそう言うと、かおりちゃんは

お墓参りに一度しか行っていない話をし始めた。

二人目のお子さんが生まれて、おばあちゃんのお墓に

行った時の事を話してくれた。

「おばあちゃん、あのお墓にいるよね。

左側に立ってない!?」

・・・・私は一瞬鳥肌が立った。

左側だよね??私は見えないけど。左側よね?

霊感のあるかおりちゃんはさらに言う。


「やせ細って亡くなった頃の顔じゃなく

ふっくらして元気だった頃の顔で、立っているよね!」

・・・私もそう感じていたよ。

かおりちゃんは、「ああ!おばあちゃんが居る!

あの時 視えて私 大泣きしたもの〜〜!!」

そうか。かおりちゃんが言うなら本当だ。

かおりちゃんの手先が器用で

裁縫が得意なのは、おばあちゃんから

教えてもらったからだと言う。

そういえば私、かおりちゃんが帰省した時

手作りのビーズの指輪を作ってもらったな。

あと、ブレスレッドも。

同じおばあちゃんの孫で、私ら良かったね。


私は、右側にじいが居るような気がしたのだが

かおりちゃんは「おばあちゃんしか視えなかった」と言う。

じいさまは一緒じゃないのか。

でも、おばあちゃんが大好きだったかおりちゃん。

私はちょっと使命を果たした気分になった。


私は母に、お墓参りの時に

おばあちゃんらがいる感じがしたのだが

かおりちゃんも同じ事を言っていたと

話した。

すると母は笑顔で一言。


「あら?今頃気づいたの?

亡くなった時から、おばあちゃんあのお墓に

ずっといるでしょ!視えなくてもいるでしょ。


会いに行っているでしょ。」