・・・言えないのよ


10代半ばの女子と言うのは、思ったことを異性に伝えられない

恥じらいが伴う年齢ではないだろうか?


この場合、異性とは好きな人も含め、一般の男性を表す。

さらにこの年齢と言うのは、「恥らう行為」と言うのを

きちんと見極めているので、バカになりきれない一面が存在する。


私情で大変恐縮なのだが、私が14歳の頃は

31歳の今より、少なくとも恥じらいがあったと思う。


例えば、生まれて初めて男性に「デート」を誘われた時

私が真っ先にアタマに浮かんだ事は

「ええ!トイレに行きたい時、彼になんて言おう?」であった。

「菜の花を摘んでまいります」「化粧室へ」などと言う

洒落こけた代名詞などなかったあの頃。

「彼がトイレと言ったら、一緒に行ったら?」などと

アドバイスをもらい、さらに発展し「もし生理痛ひどくなったら

どうしよう」などと考えている女子だったのである。

今思えば 
映画「優駿」を観る予定があった、

淡き14歳のき思い出である。


まあ、こんな話を遠い目をして私は一晩中

語り合いたいワケではないのである。


14歳だった私に、異性の前で「トイレ」と言う言葉を発するのも

恥ずかしかったし、ましてや
「今日は生理なの♪」と言うのも

遠慮がちだったし、体育のプールで見学する時も

「生理」と男の先生に言えなくて

「女の事情です」とうつむいて言う、まだ青い女だったのである。

こうやって
サンプル例を上げていると

止まらなくなるのが私の悪い癖であろう。


異性の前で「鼻をかむ」のも見せられないと思っていたし、

「鼻をかむ」とは、同性の前でも披露できない

勇気のある行動だったので、私の風邪を引いた時の

駆け込み寺は「女子トイレ」であった。

左から2番目が私の個室である。

ここで気の済むまで、鼻水をかんでいたのが

私の青春である。


さらに
「ハラ下ってます」とも「生理痛とハラくだって

スペシャル トリプルDAY」なんて言う事もなく

日々淡々と「女の子」でいたい14歳だったのである。


そんな中学2年の放課後。

私に
予想外の悲劇が起こったのである。

それは
「尿検査」である。ポケットサイズの尿色の紙袋。

そして
「お弁当のしょうゆ入れですか?」と

言いたくなるような、あのチューブ。


この
漏れない2点セットが、前の席から手渡しで

回ってくるではないか。

あまり触れたくない物体。これは生まれて初めて

避妊用具「今度産む」に手を触れた感覚に似ている。

まだ使用していないのだから、どうって事ないのだが

未知なる存在を、面白げに眺めていられる、

鑑賞物として讃えられる瞬間である。


ふと、そんな時、私の
「尿チューブ」には赤いアタマがない事に

気が付いたのだ。

「・・・・キャ、キャップが・・・ない。」

当時の私の席は、一番後ろ。視力も1.0だったので

前の席に居る事はなく、
居眠りがモロにバレていた

スポットライトの場所である。


これは私の行いが良くないのだろうか。

この現実は、
私の居眠りへ対する

先生の反乱であろうか。

何故、キャップがないのだ。

先生は言う。「みんな、明日の朝、回収するから

ちゃんと 尿を採ってくるように。」



ちょっと、待て。私は漏れた尿をどうやって

学校に持ってくるのだ?私の不安は心臓をドキドキさせる。

すると男子生徒が

「センセ〜!俺の尿検査のキャップないっす」と言う。


ああ!仲間だ。私もないんだよ。私が胸をなでおろしていると

クラスメイトらは、一斉に笑う。

先生も「なんだ〜?お前のキャップないのか!」と笑い出す。

その辺に落ちているかもしれないから、みんなで席の周りを

探すよう指示をする先生。

「お〜い。みんな。一個余分な分、後ろの席の人達

持ってないか?」

すると私の隣の男子が「先生、俺の所にキャップ二つありますよ」と言う。

あ〜!!それを秘密で私にくれれば良かったのに!

「よし、じゃあみんな今日は これで終了!」


ちょっと待って!私もキャップないんですけど!

仕方ないので「先生・・・。みかりんのもない・・」と立ち上がって言った。

すると、またまた教室中は笑い出す。

何故じゃ〜!私が恥じをさらして

尿検査のアタマがないです〜!!と露出したのに。

勇気を持って笑われるのを、こらえて申し出たのに。

今の私は「見世物」的 気分ではないか。


すると先生は一言。

「みんな・・・。もう一個何処かにないか?」と言った。

前の席の女子が、「みかりん、後で保健室に一緒に行こうよ。」と

ささやいてくれた。

そうだ。。そうだった。初めから秘密にして

保健室に直行すれば、済む事だったのである。


ああ、アホだ。しかし、私は見世物になる快感と

見られる刺激を繰り返し、今

おバカ ホームページを書くまでに成長したのである。