モデルごっこ〜その1〜


「では、モデルのみなさん、まず
全身とアップの写真を撮ります。

こちらにご移動をお願いいたします」その言葉に反応し、

待ってました!!とばかりに率先して歩き出したのは私である。

「まず、
変身前の写真です」そう言われ、いつもの自分でカメラに向かう。

白く熱いライトを左右から浴び、スタジオ並みの作りの撮影場に驚く。

女は常にカメラ目線KEEPである。


化粧品研修会参加者の中から、

「変身させましょう!」と言う事で始まった
「モデルごっこ」。


「どんなイメージになりたいですか?」の問いかけに

私は
「髪型も服装も10年一昔なので、路線を変えたいです。

カジュアル系のパンツルックに」と答えた。

このインタビューも
ビデオに撮影されていた。

「娘と一緒に出かけられるよな感じ」

と答えた50代女性もいれば、

「ちょっとエレガンスな貴婦人風に」と言う40代女性もいる。

このイメージを元に、ヘアースタイル。メイク。

そしてファッションをプロデュースしてもらう。

私達モデル役は、
各グループから与えられた指名である。(なんちゃって^^)


ヘアメイク担当は、同じ研修参加者たち。

「カジュアル路線」の言葉をヒントに服を選んできてもらう。

色のバランスも、みんなで考えて小物にバックを持たせるか?

サングラスをかけさせるか?

そんな相談が始まる頃、私達モデル役は

「パフォーマンスの準備をしますので」とステージに向かっていた。


そう。「変身前」の写真とビデオを撮り終えた後は、

「ウォーキングの練習」
なのです。

スポットライトが当たります。左からステージに上がり、

中央ではなく、この丸を目安に左側で

ポーズを決めてください。その後は、

ステージをグルリと一周回って、
戻ったらポーズ。

中央には寄らないでください


バックのスクリーンには「変身前の画像」で映ってますので。」


その様な説明を聞き、
実際にウォーキングをさせられる。

私の出番は6番目。最後だから、


みんなのしていた事を良く見ればいいのだ。

なんとなく、ポーズを考えて「どれにしようかな」と

ワクワクしているのは、私だけだった。

「ああ。ステージに立つなんて。学生時代の
文化祭以来だわ。」

ステージを歩きながら思う。

そして、2度目のポーズを決めたら、

私は左側のステージの裏に消える。

そう。偶数の数の人は左。奇数の数の人は右に集まっておく。

そして、最後に二組ずつ向かい合って出てきて、

顔が近づいたら、そのまま

正面を向き、歩き出す。6人一列に並ぶようにステージに立つ。

「では、ヘアメイクの準備に化粧室へ向かってください」

そう言われ、私達は変身前のスタイルでメイクルームに向かう。

あのドアの向こうに、違う私に変身させてくれる道具が待っている。



BACK