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呪いの人形


「人を呪えば、穴二つ」と言ったのは

誰なのだろう?呪いのパワーと言うのは

呪われた人も、呪った人も不幸になると言う

なんとも平等な世の中なのだろう。と思う。

そして、
そんな力があるのなら、別な方面に生かす事を

考えたほうが、よっぽど健康的だと思う。


何故、こんな事を書いているのかって?

だって、今、私の目の前に「わら人形」があるんですもの。

正しくは、私の隣を走る車のフロントですね。

「ああ、あれ見て見て」思わず私は

助手席にいる友人Rちゃんに、左窓を見るように言う。

「・・・なんか、怪しい人形がぶら下がってるわ・・」

友人Rちゃんは、目横目で私に訴える。

赤信号で止まった私と、隣の車。

今日は晴れた平日。天気があまりに良い。

「あれって、わら人形だよね〜!?」私は車の窓を閉めて言う。

話し声が聞こえたら、呪いをかけられるかもしれない。


思い起こせば、私は生のわら人形を目撃するのは

これで二回目である。

衝撃的な、私の初対面のわら人形は、

忘れもしない20歳の時である。

あるショッピングセンターの駐車場に、それはいた。

「ああ、あれはなんだ!?」好奇心一杯で

路上に浮かぶ物体を見に行った。すると、それは

釘がささっている、わら人形であった。

「ぎゃ〜!!怖い」私は、呪いが感化されたら困るので

その場から逃げた。

あ、あれがわら人形か!!今夜、夢にうなされそうである。

あれから9年。まさか・・また「わら人形」をお目にかかれるなんて

夢にも思っていなかった。夢にも出てこなくて良い。


私とRちゃんは、「あのわら人形、作ったからフロントに

飾っているんだよね。」とナイショ話をするかのように話す。

「あの人形があれば、ある意味トレードマークだから

危険だって回りにアピール出来るね!

頭いいんじゃない、あの人!」

だって、そう思わないだろうか?わざわざ「赤ちゃんが乗ってます」とか

「お先にどうぞ」って書いてあるプレートを張らなくても

「一を見て、百を知る」様な強力なインパクトである。

アッパレである!あ、感心している場合ではない。

私らは、わら人形作成の人が、どんな人か興味を持ってしまった。

怖いけど、見たい。見たいけど、怖い。

そんな心境は「スリル ショック サスペンス」である。

(・・何処かで聞いたことのあるタイトルである。)


おそるおそる私らは、隣の人を見た。

ノーマルな女性である。

ええ!!この人が!!歳は私らより少し下だろうか。

すると、友人Rちゃんが言う。

「あ・・みかりん、あれってわら人形じゃないわ。

綱人形みたいだけど・・」

え!?私は両目をガッチリ開けて見た。

・・・本当だ。わら人形より、ボリュームがある。

あの存在感。綱引きをする時の様な、綱で作成であろうか?

青信号になり、私はアクセルを踏んだ。


昼間に出合ったサスペンス物語である。

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