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猫の思い



我輩はにゃんにゃんである。5.5キロのデブ猫である。

ご存知のように我輩は、勝手気ままである。



それは、いつもと変わらない「縄張りパトロール」であった。

我輩は、散歩が好きである。人間様には見えない地上。

歩いている靴や、動いてるタイヤを見ている視界など、

世の中とは、なんとも大きい物ばかりなのだろう。

我輩は、「ふふん♪ふふん♪」と「猫踏んじゃった」

歌いながら、脂肪の多い腹を揺らしてご機嫌である。

すると、向こうから我輩の「縄張り」を争っている、

3丁目の猫「ボンソワール」が!

ボンソワールは、我輩より年上で、この付近のである。

前から思っていたが、苦手な猫である。

「ふぎゃ〜!!」と毛を逆立て、目を見開く!

いつも我輩が追われる。我輩が必死で逃げると

必ず我輩の飼い主みかりんが助けてくれる。

みかりんは、いつでも我輩の味方である。

そして「にゃんにゃん、大丈夫だった?」と優しい声をかけてくれるのだ。

ボンソワールだって、飼い主に可愛がられているはずだろう。

我輩は、ボンソワールが

優雅な暮らしをしている猫である事を知っていた。

自分が一番じゃないと気の済まない性格の所が

きっと飼い主に似ているのだろう。と直感で感じていた。


そんなある日、パトロールをしていたら

悲しそうに、自分の家の中を覗いていたボンソワールを

目撃してしまった。ゴージャスなボンソワールの家には

猫が二匹いた。飼い主にとってボンソワールは「一番可愛い猫」ではなかったらしい。

哀愁漂う背中のボンソワールを見て、我輩が何故いつも攻撃されるのか分かった。

我輩が、飼い主に可愛がられているからである。

我輩が困っていると、みかりんがいつも現れる。みかりんの友達らにも

可愛がってもらっているのだ。ボンソワールは、それも知っていた。


かけがえのない存在でいたい。それは誰もが望む事である。

しかし、「自分が愛される価値がない」とか「好かれるはずがない。」と思うと

心安らぐ場所が欲しくなる。それが人間様なら仕事に打ち込む事だったり

趣味の世界だったりするだろう。そこで自分の存在をアピールすることで

生きがいに変わる事もあるだろう。生きる励みになる事もあるだろう。

自分に自信が付く事だってあるだろう。


ボンソワールは、それが「縄張り」だったのだ。

3丁目付近、完全支配だったのだ。

所が、愛情に満たされている我輩の登場で、

自分の居場所がなくなると思ったのだろう。

自分の居場所がなくなる不安が、我輩を攻撃したのである。

「攻撃こそ、最大の防衛」である。

それくらいボンソワールは「縄張りが全て」なのだ。

それは、満たされない甘えの裏返しなのではないか?


ボンソワールよ、ヒゲが下を向いているぞ。我輩はボンソワールが哀れになってしまった。

我輩は、「いつも苦手な猫!」と見ていたボンソワールに

優しい声をかけたくなった。

知らない所で傷つけて、ごめん。と。

ボンソワールの縄張りの広さのアピールは、

もしかしたら我輩の飼い主みかりんが

ホームページを作るのが楽しい。遊びにきてくれて嬉しい。と思っているのと

同じ位の喜びなのかもしれない。

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