親切な男性


私が無事に名古屋の地下鉄に乗り

出口を探して、壁に描かれた地図を見る。

「富士第2ホテル」と言う方向に出るには

どこの出口なのか?を見てました。

所が、地図の見方が分からない私には

良く分かりません。

「富士第2ホテル」と書いてある所だけ

みよう!と思ったその時

私の隣に居た二人組が言いました。

「この地図、逆に書いてあるね」と。

ほお。逆なのか。逆と言うか

私達が進みたい方向に向かってないだけ。

逆から見たら、右も左も分からない私。

とりあえず、グーグルマップがあるから

なんとかなるだろう!と信じたい私。

ここの表示の地図だけが「逆」と言う

それだけが私の頭にインプットされました。

所が、実はこの「逆」と言う言葉は

私がこれから訪れる出来事の

真実を全て表す事になるのです。



私は、無事に名古屋に着き

目印になるデニーズで一人ランチをしました。

本当なら、きしめんとか、味噌煮込みを

食べるべきですが、これから私は

14:00まで、会場入りをしないといけないので

他の名古屋名物の店を物色するゆとりは

ないのです。


仙台にもないデニーズ。

初めて入りました。

周りは、名古屋の人達ばかりらしく

言葉のイントネーションが違います。

私は、
なまっていると思われるのが嫌で

「はい、いいえ」しか言いません!←(誰に?)

私がテーブルに座ると、隣にはサラリーマン4組

ナナメ向かいにもサラリーマンが二人組。

みんな、名古屋弁で仕事の延長の話をしてる模様。

私は、ハンバーグセットを頼む。

どこに行っても、頼むものって同じ。

なんか、食べたことないモノより安心する。

そして、ハンバーグは美味しかった。


ただ、選べるサラダは、ホウレンソウとベーコンに

したんだけど、
味がちょっと薄いかも??

これは私は東北人だからでしょうか?

とりあえず、ランチをしながら

スマホを見て、いつも見るサイトやインスタをチェック。

どこに来ても、見てるサイトは同じ。そんなもんだ。

ランチを食べ終え、支払をする。

いよいよこれから

試験会場(前入りで練習をする)に行く!

そんな名古屋の気温34°の9月。

R君やてっちゃん、母には無事に

名古屋に着いたと連絡したのに・・

これから先、

私は目的地に辿り着けなくなります。



地図が見れない私は

デニーズから出て、
スマホの画面が

上になってる方へ歩けば

目的地に到着すると思ったのです。


(本当は、コンパスのマークを触って

自分が歩く方向に合わせられる

と後から知りました。)

現在地から目的地を入れて、いざ

歩く私。歩くと「青い丸」が動きます。

ところが、自分が歩いている方向が

正しいか分からなくなります。

なにしろ、私はトイレから出て来たら

右と左、どっちに行ったら元の位置か

分からなくなる女。


来た道と帰り道も、風景が違うので

分からなくなる女。


道が気になって、コンビニに入り

若い女性に「ここに行きたいんですけど

方向合ってますか」と聞いた。

すると「反対方向みたいですよ。

ここにお菓子屋の店があるので


逆に行くといいですよ」と言われる。

え?逆?私が歩いた方向に青い丸の点が

出てきたからいいと思ったんだけど?

ありがとうございます。私は言われた通り

逆に歩いてみた。

自分が頭の中で思い描いていたのと

違う景色が見える。(どんな景色だ?)

スマホの画面の下の方に向かって歩いてる。

本当にそのお菓子屋の看板は


見えてくるのか?

行けども行けども不安になる。


この大きな道路を歩けば

間違いない!
だってみんなそう言ってたし

きっと大丈夫。

おっと、今度は右に曲がるのか。

私は大きな通りからちょっと曲がった。

近道らしい。所がこれがまた
だった!と

後から気付きます。


行けども行けども、目的地らしいモノが

見えてこない。

だけど、道なりに歩く様に「青い丸の点」は動く。

この時、名古屋は34℃。

私は日傘を差したかったけど

荷物も重い上に、スマホ片手に

日傘どころではない。

途中、道が合ってるかどうか不安になる。

工事中の男性に声を掛けた。

「え?そこどこ?分からないなあ。

暫く行くとコンビニあるから

そこで聞いて!

コンビニなら確実だよ」と言われ

ひたすら歩く。

う〜ん・・こんなに歩いてるけど

ちゃんと試験会場に着くのか?

20分歩いた。本来ならもう

目的地に着く時間。

でも、なんだか道が違うかもしれない!と

この時、改めて感じた。

私は、またスマホを見ると

「青い丸の点」も消えて、

もう大きな道路に出そうだった。


なにこれ!どこを案内していたのよ!?

ここは一体どこ?私は誰?


どうしよう!これは、迷子って言うやつだ!!

迷子になってしまった。

48歳にして迷子。

どうしよ〜〜〜!!


見知らぬ都会の街で

一人ぼっち。しかも私は

迷子の迷子の子猫ちゃん。←死ね!


・・と、その時!

左側の商店街のシャッターを開けて

外に出てきた50代くらいの男性が

目の前に居る。どこかに行くようだ。

私は、思わず「あの、お忙しい所

すみません。実はここに行きたいんですが

道、間違ってますか?」と聞いた。

スーツ姿のその男性は

私のスマホを見て

「あのね、これは・・・え〜と。

反対方向に来てるよ」と言った。

ガガーン!!また反対方向に来たか!

しかも男性が言うには

「ここから戻ると30分はかかるよ。

タクシーで言った方がいいよ」

えええ〜〜!どうしよう。

「実は試験がありまして、前入りで

その場所に行くのですが

もう時間が間に合わないかもです」と私。

すると、男性が


「じゃあ、タクシーを呼んであげるから

着いてきて!」と言う。

え?こんな近くに

タクシー乗り場あるんですか?

「ないよ。でもね、ここで俺

いつも捕まえるから」と言う。

その男性と一緒に歩く私。

男性は、元々名古屋の人ではなく

大阪から仕事の都合で

今、名古屋にいるとの事。

「どこから来たの?九州?」

「いいえ。九州でなく東北です。

仙台です」と私が言う。


何故、最初に「九州」と言われたのか?

これは実は昔から、他の県の人に

「宮城県の人達って、九州の人達と

話し方のイントネーションが似てる」と

言われた事があった。

なので、その男性も私の事を

九州から来たと思ったらしい。

「仙台か〜。遠いね。試験なの?」

「はい。実は私が働く業界の資格試験で

名古屋に来たんです。」


と言った。


ちょっと歩くと、大きな道路に出た。

大きな4車線が、上りと下りの方向にある。

なにこの道路〜〜!

全部合わせて8車線じゃないか〜。

こんな道、私、車で怖くて走れない。

男性は、慣れたように手を挙げ

タクシーを止めようとする。

「いつも、ここでこうやってタクシーを

拾っているんだ。すぐに捕まるよ」と言う。

見ていると、タクシーって結構な頻度で

走っているもんだね。

進行方向のタクシーは2台、スルーされた。

ああ・・ダメか。

私も、男性と一緒になって

「ヒッチハイク風」に右手を上げてみた。

すると、正面から向かってくるタクシーが

私と男性をすでにチェックしていたらしく

右折して私の前に止まってくれた。

わああ!助かった!

男性は「じゃあ、ここから先はタクシーで

行ってね。何かあったらここに電話して」と

ケータイ番号の書かれたメモ紙をもらった。

「はい!ありがとうございます。

本当に本当にありがとうございます。

この恩は忘れません」と言い

会場に向かった。

この大きな4車線を走ってもらい

私が逆に進んだ方向を訂正される道なり。

なんて早くて快適なのだろう。

本当に着いた先は、私の思う方向と

真逆の所にあった。

私は、14時に入る所を

30分、早く入れて助かった。

あの時の親切な男性、Hさん。

本当にありがとう。

Hさんに、いい事が沢山来ますように!と

オカルトパワーを送った。