歪んだ鏡 ナイショなんですけどね。私の知ってる其の店の全身鏡は、表と裏が違うらしいのです。 細身に映る鏡と、そのままの姿を描き出す二面性を持ったミラーが存在するらしいのです。 ・・・・って言うか、そりゃそうだよな。 スマートな印象に見せて商品売らなくちゃ、世の中の金、回んなくなるもんね。 そして、このミラーマジックって、至る所にありますよね。 だけど。私と晴○さんが遭遇した其のミラーは、最悪な自分を見せるものだったのです。 そう。それは歪んだ鏡だったのです。 お店のトイレに入り、女は必ず鏡で自分の姿を見ます。これはもう、本能でしょう。 そして、ハンカチを忘れようが忘れないだろうが、髪の毛を整えます。 嘘だと思うなら、今度　トイレの鏡で自分の隣になった女性を見てみてください。 必ず、右みて左みて自分を確認していますから。 さて。その日の私はトイレの個室から出てくると、鏡を見て　びっくりしたのです。 「ああ・・・私、こんなに目と目の間、狭かったかしら？顔が丸いような・・」 ショックでした。鏡とは自分の最悪の姿を映し出す事はないと聞いていただけに 「最悪の自分」を見た気分でした。まだスッピンの自分を見ているほうが救われるような そんな鏡だったのです。 私は、「きっと、髪型のせいだ」と思い、ダウンヘアーの頭を、アップにしてみました。 右みて左みて、ファンデーションを開け、合わせ鏡をしてみたけど 今ひとつな仕上がり。はあ。ガックリ肩の力を落としてみる。 今日は、最悪なコンディションなんだろうか。こんな表情で晴○さんに会っていたなんて 失礼だわ・・・。私はアイメイクが変なのだろうか？と目元を塗り替える・・。 晴○さんも個室から出てきて、鏡を見ると　すぐにヘアースタイルを変えている。 そして「ねえ。みかりん。この鏡、膨張しているよねえ？」と言う。 「あ！やっぱり。あ〜良かった。私だけが変なのかと思った〜！」 「ううん。だっていつもの自分じゃない自分が映っているもの。」 そうそう。変だ！と思うと、まずはヘアースタイルのせい？って思う。 どうやら、この現象は女性なら誰でも思うらしい。 そして、この鏡は真ん中当たりが凸型になっているらしいので 端の方へ行くと、平行に映る。なんなのじゃ〜！この鏡は〜！！ だけど、ここで再確認した事。 それは、女とは鏡がお友達である事。 「ここが変だ」と場所を、指摘できる鋭さを持っている事。 「マイナスポイント」を発見すると、カバーする為に 髪の毛を変えると言う事。 こうして自らの行動を振り返ってみると、 「いかに偽装するか？」が、モノを言う。 だから、私は偽装出来る化粧品が大好きなのです。 あれ？私の心の鏡の方が、歪んでいる？？？