同じ本が好きな人


私が仕事のランチタイムで、楽しみにしている事は

好きなケーキを買って食べる事と

従業員休憩室にドサッと置いてある、

マンガ本を読む事である。

こないだ発見したのは、

子供時代に持っていたが、なくしてしまった「めぞん一刻」である。

嬉しい事にワイド版になって全巻そろっていたのである。

何かの機会に「めぞん一刻」は読み返したいと思っていた。

買わなくても、休憩室にあったのは、なんとも良いタイミングなのだろう。


私は約20年ぶりに「めぞん一刻」を読み始めた。

聞けば私の周りの人も、すでに読んでいた。

その日の私は、いつものようにケーキを買い、

本の続きを読もうと思っていた。すると、マンガ本がない。

あれ?何処だろう?私は必死で探した。しかし、見つからない。

気がつくと、次の巻もない。まあ、いいか。内容はだいたい分かっているし。

そして私は飛ばして3巻を読み、明日になったら2巻が戻ってきている事を

祈っていた。しかし、次の日になっても2巻は戻っていない。

3巻もなくなっている。あああ〜。同じ所を読んでいる人がいるのね〜。

このままでは全巻、なくなってしまうかもしれない。

私の楽しみがなくなっていく・・・ああ、切ない。

そうだ!この本棚に伝言を書いておこう。

買わなくてもいから「めぞん一刻」が読みたい。会社の時間を忘れて

没頭したい世界。私のお昼時間の楽しみ。その気持ちを文字にしてみた。


「めぞん一刻ファンの方へ

お疲れ様です。実は私も同じ本を読んでいます。

五代くんのその後の行動が気になり、夜も眠れません。

私は2巻の半分まで制覇しました。響子さんの可愛さを

一緒に共感したいので、2巻〜3巻を私にも貸して頂けませんでしょうか?

匿名希望19歳 接客業」と書いた。

お〜ほほほ。これで私だとは分からないであろう。

私は
年齢をさば読みして、本棚に貼り付けた。(バカ?)


次の日、私の思いは届いた。2〜3巻が返却されていた。

「わ〜い」と喜んでいると、なんと!表紙の裏にメモ紙が!!

「匿名希望19歳 接客業さんへ

お疲れさまです。そして、大変お待たせして

すみませんでした。

めぞん一刻、面白いですよね。私は一の瀬オバさんのファンです。

ちなみに、私は、貴方の正体を知ってます。いつも、挨拶してくれて

ありがとうございます。

めぞん一刻ファンより」

ガ〜ン!!私の正体を知ってるなんて!!どうしてだろう?

歳をさば読みしたのもバレたか〜!!

私は、この返事をくれた人が、

どの売り場の誰なのか、分からない。

正体不明である。

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