猫の子コロちゃん


家の近所には「コロちゃん」と呼ばれている、

アメリカンショートヘアの猫ちゃんがいます。

トシは人間で言うと70代。メス。

とても人懐っこくて、私も飼っていた猫(にゃんにゃん)と

同様に、人のモノだけど自分のモノにしたいほど

可愛い猫ちゃんなのです。(にゃんにゃんも

元々は近所の猫だったが、もらった。)

コロちゃんは、家に来ても
必ず帰宅する為

家の猫にはなりませんが
(←もう取るな!)

毎日のように家に遊びに来てくれるのです。



約2か月前、家のリフォームをしてもらっていた頃

家がフルオープンになっていたせいもあり

コロちゃんは、ずっと家に遊びに来ていました。

そして、大工の叔父さんの事が大好きで

叔父さんの背中に飛びついたり

いつもそばにいたのです。

電気関係の工事の人達にも

コロちゃんは「今日も来たの?可愛いね」と

みんなに声を掛けられていました。

工事の人達は皆さん、男性の高齢者です。

2〜3人だけ30代らしいメンズは居ました。

コロちゃんは、熟女な猫で、

幅広い層の男性にモテます。


私も母も、コロちゃんが遊びに来ると

家に居れて、抱っこしたりナデナデしてました。

コロちゃんはそれだけなのでいいのです。

何もエサも与えておりません。

市販のかつおの缶づめ以外は

食べない猫らしいのです。

なので、私としてはかつおぶしなどを

あげたいのは山々でしたが食べないと聞き

エサは何一つ与えておりません。

何も与えないのに、コロちゃんは

毎日家に来てくれるのです。

愛情だけで家に来てくれるのです。


そんなリフォーム中のある日。

母が「夜中に家の中を走るような音がする」と

言い出しました。

「壁の方から聴こえる」と。

オカルトチックな私は
「心霊現象」と

言いました。


所が、大工の叔父さんが言うには

「きっと、
ねずみが入ってきたんだと思う。

一日中家、開けっ放しだし。」と。

このまま放っておくと、米やお菓子の

袋をかじられると。

親戚の叔母さんも「それ、ネズミだと思うよ。

私は着物かじられたもの」と言ったそう。

叔父さんは「ネズミがいなくなる缶」と言うのを

持っているらしく、一つ、もらいました。

その缶を開けると、人間には分からないけど

ネズミが嫌がる匂いが出るらしい。

叔父さんは言いました。

「コロちゃんが居るのに

ネズミ来るんだな。」
と。

今までにゃんにゃんが居た時は

この家はネコが住んでいると思って

出てこなかったのか。

そう言えば生前のにゃんにゃんは

ネズミを加えてきた話しを母から聞いたな。

「庭に、4匹ほどネズミが並べれあったよ」と。

さすがハンター。

私はその現場は目撃しなかったけど

ネズミを半殺しにして、くわえて

母に見せた事もあったのを思い出した。

それが本来の猫の姿なのか。

所が!今を生きるコロちゃんは、

老猫で、耳も遠いらしい。

視力も低下している(わりには家に来る)。

そして、コロちゃんは猫だけど

「にゃ〜」っと鳴けないのです。

鳴けないから、ネズミには

コロちゃんの存在は分からないって事?

猫の鳴き声がすると、ネズミは

寄ってこないらしい。

叔父さんは言いました。


「コロちゃん・・・ 


・・・ボッコレ・・・」


↑解説・・コロちゃん、壊れてる・・



うう・・なんか笑っては失礼だけど

確かにコロちゃんは猫だが

猫の役割を果たさない
マスコットなのね?

・・と言っても、コロちゃんは

家の猫じゃないし、ネズミ退治なんて

役割を持って生まれて来たんじゃないと思うよ。


コロちゃんは毎日

遊びに来てくれて、私に抱っこされる。

飽きると、隣に座ってゴロゴロ言う。

コロちゃんは目を細めて、時々私を

じっと見て、またゴロゴロ言う。

コロちゃんの視野に、

コロちゃんを可愛がってくれる人が

いるだけで、本当に

それだけでいいみたい。

コロちゃんは、
「今日のリフォーム

どこまで進んだの?」って

観に来てるみたいだね」


電気工事のおじさん達も言う。

「鼻水垂れてるよ。拭いてあげるよ」と

コロちゃんは鼻を拭いてもらったりもして

みんなに愛されている。

ねえコロちゃん、家にネズミが住んでいるかも

しれないの。コロちゃんは分かる?




そして、母は相変わらず

「夜中、壁から音がする。

何か走って行く音がする」と言う。

叔父さんからもらった「ネズミ取り」の缶も

役に立たず(ネズミがその缶に入るらしい)

本当にネズミなのかな?

母が夜中寝ていて、

物音に気付いて電気を付けると

動きが止まると言うので、やっぱり

ネズミだと言う。

私は仏壇置いてある部屋に寝てる母が

ジジタンから何かメッセージでも

送りつけられているのか?と思っていた。



あれから一週間が経ち、コロちゃんは

必ず来てくれる。

工事の叔父さんと、電気屋さん達の

お茶のみ時間に混ざって

コロちゃんは今日も人気者。

私は休みだった事もあり、

朝から出かけていた。

夕方、帰宅すると母が

「今日は
ゆなが学校帰り来てくれたよ」と

言った。

宿題をした後、ジグソーパズルをして

母と遊んだらしい。

私はそのままリビングに行くと

テーブルの上に、何か置いてあるのを見た。

なんだ?これは?

ゆなの忘れ物かな?

シッポのフサフサした飾りが着いてる鍵でも

忘れて行ったのかな?と


思って、見て見たら

なんと!

テーブルの上にあったのは

正真正銘のネズミだった!

うわあああ!出たー!出たー!


ビックリした。

ダラーンと横になって、動かないの!

一瞬、「これは、おもちゃ?」と錯覚した。

「ちょっとちょっと、マミー!!!」

私は母を呼んだ。

こんなに堂々と、テーブルの上に

「そうです。私が犯人です」と

言いたげに、出てきた。


しかも、動かない。

触りたくもないけど、

ちょっとテーブルを動かしてみた。

やっぱり動かない。死んだか?

母は「うわあああ!ネズミ!

やっぱりネズミだったんだ」と言った。

とりあえず、このネズミは動かないから

もう寿命なんだろうと。

それで燃えるごみ袋の中に入れ、

外に置いた。

母の言う事は正しかった。

やっぱり壁の物音の正体は

ネズミだった。

私は、どんな時も

「オカルト、怪奇現象」と

言いたがる女なのだと

改めて実感した。



さて。ネズミが1匹居るって事は

もっと居るって言うでしょ?

これから先もまた壁から

物音するかもしれないよね?

もう居ないといいなあ。

「ネズミ退治」の缶には

入らなかったのは何故?

コロちゃんも鳴かないから、ネズミは

猫の存在の事は気づかなかったよね?

・・・と思ったけど

もしかしてコロちゃんが

毎日遊びに来ていたのを

ネズミは見えていて、

「にゃ〜」と言う声がしなくても

コロちゃんが居るのを知ったから

「降参しました」とばかりに

表に出てきたのだろうか?


そうだとしたら

コロちゃんは、立派な猫だ。

ちゃんとした
猫の役目を果たして

家を守ってくれた!


コロちゃんはボッコレじゃなかった。

コロちゃんはマスコットじゃなかった。

コロちゃん有難う。



次の日、工事の叔父さんと母は

そのネズミがやったであろう

「家にあった封を開けてない

ハッピーターンのお菓子の

袋が壊されていた」と言う話しをしてきた。

私も見せてもらったが、

袋に、かじって丸く出来た穴があった。

うわ〜・・・本当にかじるんだね。

これはもうゴミ箱行きだ。

全然ハッピーターンじゃないわ。

こうやって叔母さんは

ネズミに着物をかじられて

ダメにされたのかと思った。




あれ以来、家の壁から

物音もしなくなった。

どうやらあのネズミ一匹だったようです。

コロちゃんのお蔭で、

ハッピーターン一袋だけの

被害で済みました。

相変わらずコロちゃんは

遊びに来てくれます。

リフォームが終わって、

工事の叔父さん達が来なくなっても

家に来てくれます。

コロちゃん、本当にどうもありがとう。

コロちゃんは愛情だけで

満足してくれる動物。

コロちゃんは、可愛い可愛い

猫の子なのです。