帰って来て!コロちゃん


私の斜め向かいの家にいる

猫コロちゃん。グレーのアメショー血統書付。

(もう・・ぜんぜんお高そうに見えないけど。)

すごく庶民的な、年寄のメス猫。

2〜3年前から仲良くなって

この1年は、家の中に居るようになった。

AM6:00に、家の網戸をバンバンと叩き

母に入れてもらうのが日課。

母もコロちゃんが来ると、

コロちゃんはおなかが緩いのと

年中、鼻水を垂らしているので

手足を拭くついでに

おしりも顔も丸洗いされる。

そして、コロちゃんは

いつもシャンプーしてもらって


いい匂いがしていた。

午前中は家に居る事も多く

冬はこたつで丸くなっていたコロちゃん。

だんだんトシを重ねるごとに

抱っこが嫌になったらしく、

私を前足でキックする。

でも、私の側で「ゴロゴロ」言うコロちゃんが

大好きなのだ。

5匹も猫が居る環境で暮らしているので

コロちゃんは一人になりたくなって

家に遊びに来るのかな?

そんな毎日がこれから先も

ずっと続くのだと思っていた。


そんな3月下旬の日。

「コロちゃんが帰ってこない事件」が発生。

コロちゃんの飼い主Oさんと

母が散歩しながらコロちゃんを

探していたけど見つからない。

私もコロちゃんの飼い主家族と会話をした。

「コロちゃん・・死に場所を探しに行ったのかも」

「違うよ!きっと、その辺にいるよ」

「そうだね。コロちゃん昔もそうやって

夜、家を出て1週間位帰ってこなかった事

あるんだよ」

「誰かにさらわれたとか?」

「まさか!だってあんな年寄の猫

欲しがる!?生まれたての可愛い猫なら

ともかく!!(笑)」

「歳、取ってても可愛いよ」



母は、お散歩仲間を巻き込んで

コロちゃんを探しながら散歩をした事も

私に言ってきた。

そして、コロちゃん行方不明から3日後

有力な情報が来た!


私の住む団地には、床屋さんがあるのだが

そこの床屋さんはアンテナが高くて

(団地内の人達の情報入手が早い)

「迷いネコを買っているSさん」宅に

紛れているかもしれない。

しかもそのSさん宅は、床屋の目の前の家。

Sさんにさっそく聞き込みに行ってくれたと言う。

Sさん宅には、今現在5匹の猫が居たそう。

でも、その中には、コロちゃんは居なかった。

だが、そこで有力な情報をゲット。



「同じく迷いネコを面倒みている(好きで)

Mさん宅にね、この2〜3日、

新顔の猫がご飯食べに来るんだって。」と。

おお!
その新顔とはコロちゃんの事では?

Mさんは家で本当に飼ってる猫は1匹で

迷いネコ用のご飯を、家の外に置いてて

そこにいつも来る黒猫が居るのだが

もう1匹、連れてきたとの事。

それ!コロちゃんじゃない?

どんな猫なのかは、詳しく聞けなかったけど

「Oさんと言う家の猫が迷子になったので


もし、新顔の猫が来たらOさんの

ケータイの電話番号をここに書いておくから

連絡ください」と話をしてきたとの事。


私はその話を聞いて

ほっとした。コロちゃんは保護されていた。

・・いや、保護ではないか。

ご飯だけ食べに現れるから

あとはどこか、人目に付かない所に

もう一匹の猫と居るのだろう。

これは母のお散歩仲間の話だけど

「コロちゃん、夜、家を出て

友達になってる猫に着いて行って

帰れなくなったんじゃない?」

なるほど。猫の集まりか。

そう言えば、ずんたんもそう言ってたな。

母は、コロちゃんの飼い主Oさんに

上記の件を伝え、ケータイに電話が来るのを

待つことになった。


そして、コロちゃんが居ると思われるMさん宅を

私も車でウロウロして←

「コロちゃん」と呼んでみたが(←怪しい)

なんの返事もなく。・・姿も見えない。。

今日で行方不明4日目。

まだ冬じゃないからいいけど

今日は雨が降っているのだ。

コロちゃん、濡れない所に居る?

ずっとお家に居たから、寒くて凍えているんじゃない?

コロちゃん、誰にもおしりも鼻水も

拭いてもらえないから、

汚れているんじゃない?

可愛そうだ。

そんな時、飼い主Oさんもコロちゃんを


探しに住宅内を歩いていたらしい。

お孫さんと「コロー!コロー!」と呼びながら。

Oさんは「もう、コロ、死んでしまって

カラスなどの餌食になっていたら

可愛そうだと思って、新聞紙を持って

探していたの」と言っていたそう。

ああ・・そう考えてしまうよね。

でも、きっとMさん宅に

コロちゃんはきっと顔を出すよ!!

私はそう思えると希望を捨てなかった。



その後、コロちゃんの確認の

連絡が来た。コロちゃん無事保護出来る!

私はそう思った。ところが!!

「家に来ているのは、三毛猫なので

Oさんの所のコロちゃんでは

ない」と言われたそう。

ええええ〜〜!!

ガックリ。

私も母も、母のお散歩仲間も

床屋さんも!飼い主Oさん家族も

みんなガッカリ。

・・・振出に戻った・・・

ただ一つ、「コロちゃんではなかった」と

言う事だけは分かった。



飼い主Oさんは言った。

「やっぱり、コロは死に場所を

探しに行ったんだと思う。

だってコロは、人間にしたら100歳だもの」

なんだか、そう言われると

私もそれなら仕方ないのかな・・と言う気に

なってきた。

飼い猫でも、亡くなると思ったら

姿を消すものなの?



私が最後にコロちゃんを見た時は

家のこたつで目を緑色に

光らせて、くつろいだコロちゃんだったよ。


コロちゃん行方不明の2日後に

家の後ろの方から

「ガオーガオー」と鳴き声が聞こえたんだけど

あれは、幻でもなんでもなくて

(飼い主Oさんも、その声が聞こえて

慌てて外に出てコロちゃんを探したと言う。)

思いっきり声を出したい時に

叫ぶみたいなの。

あの声はコロちゃんの

最期のお別れ

「ありがとう」の

叫び声だったのかもしれない。