BACK

OL D子の巻き


D子は、18歳のOLである。

学生時代を山で過ごしたD子は、

社会人になったら、ビルディングの並ぶ

都会で働いてみたい。と願っていた。

学生時代、D子は学校帰りに

チョコパフェを食べる事が出来た友人達を、

羨ましいと思っていたのだ。

D子が、学校帰りに出来た事と言えば、


畑に行き、スイカを盗む事くらいであった。


しかし、人生は思う通りに行かない。

就職先も、自然の多い場所に決定した。


D子は旅行会社のOLになったのである。

仕事は出来ないが、新人の持ち前の

一生懸命さで仕事をしていると、60代男性に

「あんた、気に入ったぞ。
うちの息子の

嫁になってくれんかのう。
息子が来週帰ってくるので

私と三人でデートしてくれんか?」と言われた。


18歳のD子は「結婚」と言う言葉に漠然としてしまった。

そして、D子の身長と体重を聞いてきた。

それを聞くと、60代男性は無意味な笑顔で

去っていった・・・


数日後、D子の前に、例の60代男性が現れた。

「あんた、すごく笑顔が素敵で、気さくなんだけど

私のうちは農家なんじゃ」と言う。

農家か。D子よ、この男性と仲良くしていたら

もう、スイカを盗まなくても良いではないか・・・


さらに男性の言葉は続く

「農家の嫁になるのには、
あんたの体重が

少なすぎなのじゃ・・・」


・・・ちょっと待て!D子はどうやら本格的に

お見合いらしい話が進んでいた事に気づいた。

そして、D子が断られていることも!


60代男性は、申し訳なさそうに

手土産をD子に渡した。


その手土産は、カステラであった。

D子は、休憩時間にみんなで分け合う事にした。

きちんと線引きで計り
、自分がもらったから。と

一番大きい1.8センチのカステラを食べた。

スイカもいいが、季節を問わぬカステラも

いいものである。


こうしてD子は、「都会に就職したらもっと

いい出会いが転がっていたかもしれない!」と言い

一口で、カステラを食べたのであった・・・


BACK