クローズしたカラオケ屋


カラオケブームと言われていたのは

いつの事だろう。

昼間1時間1,000円で歌えるだけでも

「安い!」と思えた20代前半。

その後、ドリンク付いて1時間お一人400円と

言われた時には、ビックリした。

私が20代の頃は、毎週のように

誰かと会ってランチかディナー。

その後は、決まってカラオケコースと言う感じだった。

カラオケが苦手な人とは、食事だけだったけど

8割が私と遊ぶ人は、カラオケだったのだ。



この当時って、TKファミリー全盛期で!

もう女子はみんな朋ちゃんとか、HITOMI、

グローブを歌っていたよね。

この頃は新曲にも着いて行けたし

流行りの曲は押さえていた。みんなそうだった。

「DA YO NE」を、職場のMさんに先に

歌われた時は(私はしっかり歌詞を把握してなかった)

「やられた〜〜!!」と思ったもんね。(笑)

それに付いていけたその当時の上司も

スゴイ!と思った。

でも、それもみんな20代だったからね。

その後、流行った
東北弁の「だっちゃね」

ダサかった。でも、負けずと覚えた。←



カラオケは「ダム」を選べば

採点も出来る!!

そして、私らが通っていたカラオケ屋は

「最高得点が91点以上出たら

ゴリラのぬいぐるみをプレゼント」だった。

さらに、其のカラオケ屋の決まりで

91点以上100点までのランキングを

店内に表示していた。

ポラロイド写真で、そのぬいぐるみを持った人と

名前、歌ったカラオケのタイトルが書かれて

店内に貼られると言うもの。


私も毎週、誰か彼かとカラオケに行っていたもんだから

毎回、採点に挑戦していた。

連続で91点以上出た場合は、

その部屋で歌った、最高得点の人のみと

言う条件になったりもしたの。

だから歌が上手い人と行くと、

ゴリラをもらえる確率が下がる。

そんな私も最高で94点出しました。

フロントに連絡をするの。

そして、帰りに「自分の名前、

歌った曲のタイトルと、点数」を用紙に記入して

フロントに持って行く。


ゴリラのぬいぐるみを持って、写真を撮ってもらう。

そして、その写真は、カラオケ屋の出入り口に

ランキングの写真が

約1ヶ月飾ってある。。

94点だと、真ん中よりちょっと下。

次回、このカラオケ屋に来ると、自分の写真を

チェックできる。

しかも今みたいに、スマホでガシャ!じゃないのだ。

修正も出来ない「チェキ」って言うカメラ(?)

出来上がった写真の下の方に文字が書けるの。

そこに名前と、歌ったタイトルが書かれる。

私も一人で撮ってもらったり、友達と一緒に


撮ってもらったりしたなあ。

ゴリラのぬいぐるみが、自宅の玄関前に

6つ並んだ時は「カラオケ屋、通ってるな〜」と

しみじみと思った。

だけど、どう頑張っても、94点の壁は越えられない。


今思うと、20年以上前だから

このカラオケの審査も甘かったんだよね〜。

だって、今のDAMの審査って辛口だもんね。

やっぱり時代なのかしら?



それで、話は戻るんだけど

このカラオケ屋にね

毎回毎回通っているうちに(ディスコより通った)

ランキング発表のコーナーを観るワケですよ。

そして、自分がどこに居たか見つけるでしょ。

前は友達や、ご近所売り場の人に

「みかりん、また載ってたね」と声を掛けてもらえて

嬉しいような、恥ずかしいような。

そんな気分だった時もあったけど

ショックな事もあったよ。


それは、何回かランキングに写真が載った時

私のワンショットの写真なんだけど

顔に思いっきり黒のボールペンで

ブツブツとされていたの。

このブツブツと言うのは、まるで

「真夜中2時に、藁人形に釘をさしている」感じの

ブツブツよ。その写真を見た時はショック受けたね。

いや〜、私がカラオケ上手だから?って

聴いた事ないでしょ!?

そうじゃないの、

私自身がムカつく女に見えたんでしょ!

まあ別にいいけど。

そんな事にめげずにまた

ランキングに載ったの。

それでまた同じことされた。

誰か分からないけど、「気に入られてない」のだけは

良く分かったね〜。

あと、どうせするなら、100点になったら

やったら?とも思った。


ただ、この時、私も二十歳そこそこだったので

ボールペンでガチャガチャする・・って事は

学生ではなく、社会人かな?と思ったの。

なんて言うんでしょう、

持ち歩いてるのがシャーペンだったら

ここまで黒くならないし、ボールペンを持って歩くのは

社会人だろうな・・と。ただ、誰がやったかと言うのは

分からない。


まあ、今となってはそんな事をして

何かスカッとしたんですか?としか思わないし。

当時もショックは確かに受けたけど

落ち込んで泣くとか、仕事に行けないレベルではない。

むしろ、もっと点数出してやる!と燃えたしね。

(今の感覚なら、点数出しても写真撮影←

断ったな。)

なんか、
若いってある意味、

勢いとエネルギーあるよね。



さて。そんなカラオケ屋も

私は2000年を過ぎた頃から

まるで新曲が分からなくなった。

最近の歌を歌うと言うより

懐メロを歌う事が多くなった。

カラオケも月1のペースから

3か月に1度とか。

さらにカラオケの点数の機械も

昔と違って、かなりグレードが高く

審査も厳しいモノに変わっていた。


私もこれで歌ってみたのだが

点数が出るのではなく、

歌が下手なら、すぐに伴奏が切られると言うモノ。

1番歌えたらいいかな〜・・と思って挑戦したら

サビに行く前にブチッと切られたもんね。

この時のショックは、「顔にブツブツ」された時より

もっとショックだった!!これは

まるで「社会的評価」そんな感じですよ。

「はい、ダメです」と言われてるみたい。

この時は、さすがに「遊び」と分かっていても

「うわ〜・・仕事みたい」と思ったもん。

あの〜・・・私、昔(こう言うのが切ない)

これでも94点出した事あるんですぅ。


時代なんでしょうか。

いや、私が上手くないんだよ。

でも、てっちゃんとR君は

最後まで歌い切るまで頑張って

完全に歌い切ったけどね。

そして・・その後は

誰かと会うと、だいたいカラオケと言う事も

だんだん少なくなり。。

「最後にカラオケしたのって

いつだっけ?」と言う感じにもなった。

さらにコロナ禍になり

カラオケが出来ない。

そして、先日、20代の頃から通っていた

其のカラオケ屋の前を車で通ったら

さら地になっていた・・・。

えええ!!あのカラオケ屋がなくなってる。

もう、建物もすっかり消え、

「テナント募集中」の表示が・・。




20年以上楽しませてくれた

あのカラオケ屋が無くなった。

色んな思い出があった。

イヤな思いもしたけど

80%が楽しく、いい思い出ばかりだったよ。


其のカラオケ屋のスタッフも

ずっと変わらない人たちばかりで

知り合いも働いてた事があった。

色々サービスしてもらって

リクエストにも答えてくれて

嬉しかったな。



今日もまた、其のカラオケ屋の前を

車で通って見ました。

車が行き交う風景の中に

「ポッカリ空いてる」と言う印象。

コロナ禍だから

人も入らなくなったのかな。

ブームは確かに去ってはいたけど

あのカラオケ屋には

自分の好きな時代を反映した曲が詰まっていた、

思い出の空間だったのです。