重力のせい


人間は、地球上で生きている以上

重力には逆らえないのが

切ない運命らしい。


この重力・・・いくつまで無関係と思って過ごしてきただろう。

二十歳くらいの時は、何も気にならなった。

お肌の曲がり角は25歳と言われていたけど

そんなに気にならなかった。

何故なら、毎日みていると

微妙な変化には気づきにくいからである。

所が20代前半の自分の写真に遭遇して

今の自分をみたら、ショックだった。

今の自分はホラー映画かと思うほどである。

それは顔の輪郭である。


人間とは自覚をする事から始まる。

意識が変わらないと、行動に移せないのが

人間である。


私の切ない自覚は、心を苦しめるモノとなった。



私の顔の肉は、太ったのが原因だと思っていた。

生理前だと、顔がむくんでいるのだと思っていた。

睡眠不足だと、顔の輪郭が変なのだと思っていた。

そう。全て女性ホルモンのせいと

思って生きていた。。

だけど、これが元の原因ではないらしい。

元々は、地球にいるのが原因。

重力に逆らえないのが問題。



ハラの肉が減ったのに、何故顔の肉は

減らないのだ?

痩せたら顔も痩せるではないか。

痩せ方が足りないのだろうか?

しかし、これは重力の問題らしい。

重力で顔が たるんだ。

ただ、それだけの話。


とてもシンプルかつ、一言で済む言葉

「タルミ」


・・・ガーン。

私が悩んでいた顔の輪郭は

ダイエットで解決しない、顔のタルミだった。


人間は若い頃だと、ヒアルロン酸やコラーゲンが

沢山あって、重力に反抗できるらしい。

しかし、25歳を過ぎ、肌の水分が減量。

しかもストレスなどから肌はボロボロ。

私は20代後半で吹き出物に悩んだ。

これは立派なお肌の曲がり角だった。

そして30歳を過ぎ、あまり吹き出物に悩まなくなった。

だからあまりトラブルを感じなかったのか?

毎日、顔が下がっていっても

昔の写真なんぞを取り出したりしないから

気にならなかったのだと思う。

しかし・・・35歳で、免許書の最悪ショットを

目の辺りにしてから

「顔の輪郭が下がっている」と自覚し始めた。


昔の写真をみたいと言われ

まだ見せれそうな写真をピックアップした。

そして、年齢順に並べてみたら

自分が劣化している事に直面した。

顔がたるんでいる・・。

もちろん、人間は写真写りの悪いのは

排除する傾向があるので

イケテルつもりの写真しか残っていないが

それにしても年齢を重ねるとは切ない。

深いため息をつきながら

悩む。


最高級の化粧品を使い、顔の引き上げ美容液を使い

毎日正しいマッサージに洗顔。どうしてダメなのだ??

手間隙をかけて肌をいたわってきた方だと

思っていたけど、化粧品のランク下げたら

劣化はもっと早いって事??

マッサージをしていなかったら

もっと顔が下がっていたって事よねえ。



20代と比べてはいけない。

本当にそうだと思う。まず、このタルミで

がたがた言っているのが

「歳を取った証拠」とボスに言われた。

私は人生の先輩であるボスに聞いた。

「タルミがしわになるんだと勝手に思ってましたけど

ボス、人生生きていてどうでした?」と聞いた。


「んな事、気にした事ねえっちゃ〜!ボケ!」と言われた。

男の人は、そんなに気にならないらしい。



そんなある日。

バックルームでダイエット雑誌を見ていた。


はるな愛が「フェイスラインを鍛える為に

車で移動する時の時間には

フーセンを膨らましています」と言っている。

私はこれだ!と思った。

顔のマッサージも勿論だが

フーセンを膨らますのはいいと思った。


こうして100均でフーセンを買った。

これでフェイスラインを鍛えよう!

そう思っただけでもう、

スッキリした輪郭になった気分。


重力に逆らうのは

難しいかもしれないけど

少しでも希望が持てるなら

フーセンを膨らますよ。

何も悩まなかったあの当時の自分を

思い出してみながら。