BACK

あの頃


もう、10年一昔の話だから、時効だと思って書くけど・・

踊っていた頃、こんな私でも雑誌の取材の話が来たんです。

当時一緒に踊っていた仲間の2、3人で

「取材してみない?」と声を掛けられた。DISCOの黒服お兄さんに。

その時は目立とう精神一杯で、即OK!

VIP ROOMを用意しておくから可愛い格好で着てね^^

と無料券をもらって・・・

これって「ハマッてる」と言うか、「そのスタイルがキマッてます!」って

認められた気分じゃないですか。私は、もう嬉しくて。



週末のDISCO。「拝みの写真」と言う事で、ある雑誌取材の人と

話をする事になった。(この雑誌は、HEVEN'S DOORではない)

所がVIP ROOMで一緒の彼女らは、「踊りたいから」と言ってお立ち台に

戻ってしまった。私は踊りつかれたので話をしてみた。

そこで聞かれた事は「年齢」と「学生か?OLか?」

から始まって、・・・「今日現在の男関係」

「ナンパされて、やってしまった事って、ありますか?」と言った内容・・

(今から思うと、この手の話題って、若いから聞かれたんだよね。)

「踊りに来てる目的」やら「見られるって、面白いものなの?」と言う質問。

「見られてキレイになって、
私を振った男達を見返してやりたいから。」と

私は言った。そして、
DISCOは誰も私に冷たくしないから好き♪

「そんな格好して、意外と真面目なんですね」と言われた。



当時はテレビや、雑誌で社会現象となったジュリ テク。

尻軽女のイメージが付きまとうのは、第三者の視点であって

私らは、そんなつもりはなかった。でも、自分らの求めていたものが

相手に上手く伝えられないのは、ボディコン スタイルがネックなのか?

いいお姉さんになるには、私は何かが足りない。

それは男を見る目かもしれない。教養も勿論だが、無防備過ぎたと思う。

そんな10代、少女と大人の狭間で揺れ動いていたもの・・

ボディコンと、タバコと、テクノと男性観。

男なんて、みんな同じなんでしょう!?今から思うと

かなり屈折した考え。視界の狭さ。

外見に出ている姿と、中身のギャップ。

ヒールの高さの分だけの背伸び。素顔は化粧の濃さで隠す。

振られる度、濃い色のルージュが映える様になる。

そんな自分でいるのが嫌だけど、何処か快楽が潜んでいる。

こんな自分でいるからこそ、お立ち台が、すごく楽しい。

でも、ふと気が付いたら私はOL。


勿論、踊りはプライベートだけど、会社側に雑誌の件がバレたら

まずい。ましてや
親にバレたら、最悪!

私は、
何処までが自分の領域で、何処からが社会人としての顔か

考えなくてはいけなかった。

私は接客業・・・まずいかも・・。だって、会社って厳しい所なんだもん。

なんで私の様なキャラが、そんな厳しい所で勤まっているのか不思議。


私は、雑誌のカメラマンだった人の名刺をもらっていたので

仕事の休み時間に電話した。「拝みの写真を撮らせてくれ。って

言う話だったので大丈夫だよ」とは言われたものの、

顔まで映っていたら、まずい!その雑誌会社では

「良くあるんですよ。やっぱり載せないで下さい・・って言う電話が」と

私に話をしてくれた。親切だった。
安心したけど、後味が良くない。

雑誌の人にもそうだけど、DISCOのお兄さんに迷惑かけたなあ。

合わせる顔、ないなあ。と思っていたが

「この日に踊りに行こう〜」と誘われれば、また通うDISCO。


私がこの時、嬉しかったのは迷惑をかけたのに

DISCOのお兄さんが「気にしないで、遊びにきてね。」と言ってくれて

三ヶ月間のVIP ROOMパスのカードをくれた事だった。

私は、
お兄さんの心の広さが有難かった。

お兄さんのハンコがついている、青色にゴールドの

K&Qのシンボルが書いてある、そのカードは

今でも大切に持ってます。

ふと、今見ると、あの頃の自分を思い出して

恥ずかしくなるけど、私の居場所だった空間が

懐かしくなって、泣きたくなる日もあるのです^^


思い起こせば、10代に感じた複雑な心境。

遊び人に見られたい反面、真面目な人と思われたい。

目立ちたいのに、目立つと自分が困る。

そんな「さかさま」な自分の心を見つめながら

踊り明かして、仲間と大人たちに幸せな時間を

与えてもらった気がする。

心(胸)の隙間を、埋めてもらったんだなあ。


等身大のヒール
が似合うと思う、今の私でも

仙台キング & クイーンが、大好きです。

なくなってしまったけど、私の心の中には

いつまでも、ミラーボールが光ってます。

10代の想いを輝かせながら・・

BACK