お通夜と食事会


親戚の叔父さんが亡くなった。

家族葬との事だった。

私は母と葬儀会場に向かった。

20人のお葬式。

9割身内。だけどご近所さんも来るとの事で

私は受付をする事になった。



白い無異質な空間の場所に

受付用の場所があり、私はそこで待機。

「お客さん用」と「身内用」の香典返しを

チェックし、お客さんが来たら

名前を住所を書いてもらう。

こんな事をしていると、仕事の気分になってくる。

「どうも。〇▲■■さんのお葬式は

ここでいいのかな?」と高齢者の男性が来た。

「はい。こちらでございます。」

笑顔になってはいけないのに

職業病の私は思わず笑顔になってしまう。


私は葬儀屋には不向きな女だと思う。

しかも変に憑依体質な部分もあるので

きっと働いたら、変に霊感が強くなりそうだ。

「あのね、一つの袋に3人の名前書いてきたから」

・・・・え〜と。そうなると香典返しはどうしたらいいのか。

私はちょうど目の前に居た従兄に相談をした。

「この場合は、3つ香典返ししておけ」と指示が来た。

このケースがあと3件続く。

個別にしてもってこようよ!

また、「本人じゃない名前でのお悔みだけど

記入するのは、


代理人の名前でいいのか?」と言う問い合わせ。

お〜い・・これはどうしたらいいの?

いちいち従兄に相談し、指示に従う。

なんだか本当に仕事をしてる気分になるわ。

お通夜が始まるとの事だが

私はそのまま受付の場所に居座る。


黒の喪服で、静まり返った無機質な白い建物の中に居ると

なにか目に見えない物にでも会えそうな気がする。

だけど、今回はそのような事は全くないまま

お通夜が進んだ。

スタッフから「どうぞ、会場の方へ行ってください。

もし誰かいらっしゃったらお呼びしますので。」と言われ

私も会場に行った。

ご焼香を揚げる所に一緒に混ざった。

ジジタンが亡くなった時も

こんな感じだったな、と思った。

ステージに飾られた叔父さんの写真。

周りには綺麗な花が沢山ある。

死んだ人は、きっと自分のお通夜を

上から見ている。

だけど、今日の私には叔父さんの訴えも

なにも感じない。

ここまでは、この葬儀会場そのものの

無機質な冷たい印象の出来事になるかと

思った私。

所が、この後の食事会をする事になってから

状況は一変します。




食事の席に着きました。

1テーブル10名です。

2テーブルに分かれました。

私の隣には従兄と

従兄の娘さん二人。+20代女性1名(初対面)

私は従兄の娘さんが小学生の時に会って以来の

再会だったのですが

二人とも成人を過ぎていました。

私と「マイムマイム」を三人でふざけて

踊っていた事なんて

覚えてないだろうと思ったのに


「覚えてます!!」って言ってくれて嬉しかった。

子供の頃の面影もある二人だったけど

今はワインも飲めるようになってて

人間の成長って早いね〜。

だって今、普通に働いているから

対等に話が出来るんだもん。

私はテーブルに着くと

サービス精神旺盛なものですから

オードブルの物は小皿に取って

席を回るんですよ。

従兄の娘が「赤ワイン」飲みたいと言えば

「はい。赤ワイン入りました〜」と言って

お酒注ぎに行きますし。


こういう時、アンテナ高くなって

「〇▲さん、エビチリもっと食べます?」と

声を掛けます。

グラスは空いてないか、

汗をかいたグラスがあれば

拭き拭きするか?

あ、氷が入ってるやつないか。など。

え・・と、私は何をしてるのでしょう?

そんなお食事会ですが

面白い事を聞きましたよ!


「従兄の娘さん二人+20代女性一人」と

ヤングチームとのやり取りです。

従兄に「私もね、大黒摩季さんのライブに

行って来たよ。写真あるよ」と言ったら

「オレ、観に行ったの10年前だったからな。

その時、テレビの中継が来たよ」

「わあ。そうだったんだ。

私が行った時はインスタライブ用と

ユーチューブ用になってたよ」

インスタやユーチューブと言うのは

今時の20代には日常に浸透してるよね。


でも、大黒摩季さんは浸透してないよねえ?

そう思って聞いてみた。

「ねえ、Aちゃん(従妹の娘さん)たちって

大黒摩季さんは知ってる?」

「え?誰ですか?」

Aちゃんを始め、三人とも顔を見合わせる。

そこで20代女性が言った。

「も・・もしかして「ら・ら・ら」を歌ってる女性

ですか?」


「ピンポン!(←こう答えるのが昭和の私。)

そうそう!「ら・ら・ら」の人!

曲は知ってるんだね。」

「はい。昭和時代の歌とか流行ってますしね」

「あれってテレビのやらせじゃなく

リアルに流行っているんだね。
(←疑ってかかる昭和の私)

じゃあ、BOOWY分かる?」

20代女性3名、また顔を見合わる。

「ボーイって、なんですか?」

「ああああ〜〜。BOOWYは分からないか!

じゃあ、勿論氷室さんも布袋さんも分からないね?」

20代女性がまた言った。

「布袋さんって、♪べびべびべいび♪の歌の人

ですよね?」


「ピンポンピンポン♪大正解←」

代表曲って言うのだけは聴いた事あります」

「そうなんだ〜!良かった」

どうでしょう。今時の20代前半の

事情聴衆。(なんのこっちゃ)

我々が普通に聴いてた曲を

一応、知ってはいるが、

歌ってる人までは良く分からない感じ。

「曲としては分かるけど

人物は分からない」


これって、私で言う「ダンスミュージック」の

タイトルは分かるけど、

歌ってる人は分からないと

言うのと一緒だと思いました。


話しは反れるのだけど

こことは全く別なんだけど

ある人のブログで

「30代はポケベルを持った人が居ない」

書いてたのを見たことがあったのね。

それに対してコメントに

「そうそう。ポケベルって


今、40代以上の人じゃないと

持った事ないよ」
と書いてあったの。

それにもビックリしたけどね。


♪ポケベルが〜〜ならなくて〜♪って

あの曲も知らないのか。と思ったわ。

当たり前に20代は知らないか。

私がポケベル流行った頃って、19〜20歳で

弟が持ってた。高校生のイメージだったな。

後は、営業してる男性が持ってた印象。

当時、家なんてジーコロジーコロって


ダイヤル回す黒白電話だったから

ポケベル対応の「#」が出来なくてね。

黒白電話も恥ずかしいから

「#」のついたプッシュホンの電話を

家の為に買い替えたよ。1万円で。


令和の今は

もう固定電話もない家の方が多いってね。

それに今、「#」って言ったら

ポケベル用の「#」じゃなく


インスタやツイッター用の

「ハッシュタグ」扱いよね。



・・・と言う事は、もうその位

時代も変わったし

時間も流れたって事なのだ。

従兄の娘二人が成人して

対等にOLやってるんだからね。

叔父さんのお葬式で

時間の流れを感じ

そして、その位時間は流れても


気軽にBBAの私に

「お久しぶりです〜〜」って笑顔で

声を掛けてくれた二人。

48歳独女の私に

「いつまでも綺麗なままで居てくださいね」と

社交辞令まで言ってもらえたよ。


叔父さんの自慢の孫達だね。

叔父さん、どうか

孫ちゃんたちを見守ってくださいね。