被害者なのだ


私が悲劇にあった事を話すと、人は

ゲラゲラと笑う。何故だ?

喜劇に聞こえてしまうのは

私が言うからなのか?


今回もまたそんな悲劇が私に起きた。

まさか私がこんな目に遭うなんて。

その出来事は昼間に起きてビックリした。

そんなの、高校生や若い女子だけが

狙われると思っていた。

まさか新聞に載っている出来事が

私の身に起こるなんて。

私、古本屋で盗撮されたのです。

はい。スカートの中を。


事の始まりは

平和な平日のお昼過ぎだった。

その日の私は膝が見える、

フレアースカートを履いていた。

本のタイトルをしっかり見るため

作ったばかりのメガネを掛けていた。

今日はなにかいい本に

出会えるかな?

ワクワクしていた。



向かう先は105円のコーナー。

一人で居る男性がいた。

メガネを掛けて良く見たら

カッコよかった。20代だな。

黒の服を着ていた。

エクセルの本を発見。

これはいいかも!と私はその本を

手に取って中をパラパラと見ていた。

ふと、その時

私の左足の裏側に

何か触れた。


なんだ?誰かぶつかった?

私の後ろに居る人が

しゃがんでいたので

下に並んでいる本を取ろうとして

ぶつかったんだと思った。

すると次の瞬間カシャと音がした。

は?今のなに?

私はそのしゃがんだ男が

私が振り向いている事に

気づかず


「ちゃんと撮れてない!ちくしょう!」と

私に聞こえる小言を言って

私と背中合わせになり

グルリと左の方向へ歩いていった。

私は「撮られた!」と分かり

そのまま後ろを着いていった。

大声を出そうか?

しかし、その時スカートの中の写真を

撮った男が、必ずこの男性と言う

証拠がない。



私は始めての「予告なしの撮影会」に

ビックリしてしまった。

なに?これ。

もしかしてチカンに遭ったりする気分って

こんな感じなの?


亜鉛を飲み込んだような

ズーンと重い気分。

こっちは悪くないのに

悪い事をしている気分。


そう!罪悪感があるのだ。

なんて変な気分なのだ。

この気分は20代の時に

トイレを覗かれて以来だ。

私は、変な緊張感を味わい

この男は女の敵だと思い

ガン飛ばして後ろから

睨んでさしあげた。



私しかそこの場所にいなかった。

最初に目に入ったカッコいい男性は

黒い服を着ていて、すでに

別な場所へ動いていた。

この盗撮男はいつのまに現れたのか。

今、私が追いかけているのは

★40代半ば位

★165〜170センチ


★脂ぎったオヤジ寄り

★白のシャツに黒のズボンと言う

サラリーマン風のいでたち。

(クールビジネス)


★パッと見は何処にでもいるような人種だが

暗いオーラを背負っている。(←女の第六巻)

★キャバクラで遊ぶより

出会い系や風俗が大好きそう。(←霊視?)


時間は13時35分!

この時間に仕事をサボっているのか?

お昼休みなのか。

それとも何もする事がないのか。


いそいそと歩いていた盗撮男。

出口に着くとこの男は

私に気づいていた。

その証拠に男は振り返って


私と目が合った。

私は1.0が見えるメガネで

ハッキリ顔を見てやった。

四角い顔に四角の黒メガネ。

細い一重に浅黒い肌。

あ〜・・なんだかそういう写真

撮って喜んでそうな顔だ。

私は、この男が外に出た後、

従業員に大声で


「あの男の人、スカートの中を

ケータイで盗撮したんですよ!」と


男の人に声を掛けた。

すると、その従業員は


「ええ〜〜!」とビックリして

駆けつけてくれた。


女性スタッフの人も来てくれて

「大丈夫でしたか?」と声をかけてくれた。

出口で私らが外を見ていると

その男性は白の車で

急いで逃げていった。

かなり飛ばしていた。

1.0見える私のメガネでも

車のナンバーまでは見えなかった。

この盗撮男が居なくなった事で

一気にラクになった。

変な緊張感が解けて行った。

だけど、足が震える。

私はエクセルの本を105円で買って

その場を去った。



なんとも言うイヤな気分。

私は彼に即電話をした。

「こんなローカル地帯でそんな事

する人居るんだな。」と言われた。

母親に言ったら


ゲラゲラ笑われた。

「うそ〜〜。そんな事あるの?」と言われた。


職場の人達にも言った。

仲良しSさんは第一声に一言。


「みかりんさん、また変な虫ついたの?」

(↑このセリフ出た!)


普通盗撮に遭う時って

満員電車とか、エスカレーターの下とか

駅の階段って言う話が多いよね?

なんでそういう場所じゃない圏外で

盗撮に遭うのねえ?と。

「だいたい、足に触れる位

電話を当ててきたんだから

相当成功率の高い男なんだと思うよ」とも。

なるほど。

だから、あ〜ゆ〜中古の本屋で


しかも真昼間からシャッターチャンスを

狙っているワケね!


これから新聞の県内版に

盗撮で逮捕されるのを楽しみにチェックするわ。

・・・・と言っても私 

警察に通報してないけど。

(してもどうにもならない)

そうやって写真を撮っているのだから

いつか捕まるでしょうね。

あの時ね

撮影された時は「写ってねえ」と言われた後

証拠を消されたら

私が嘘言っているみたいでしょ。

絶対にこの男だと言う証拠が

なかったら私も変な女だと思われる。

それより逆切れされる方が怖いわ。

そんな事を話したら

Sさんがまた一言。


「みかりんさん、それは逆発想で

私に魅力があるからなのね!と思わないと


ダメダメ!貴方ね、もう40歳近くなって

盗撮に遭うなんてある意味スゴイよ!」

Hさんも言う。

「そうだよ。まず好みじゃないと撮らないから。

ブスとかババアだったら

そんな事したくないでしょ」

・・・とても複雑な気分である。


そこで素直に喜んだら

ますます私がアホのようではないか。


しかし!私は

「盗撮に遭う=甘く見られる女」と言う

図式がどこかにあった。


チカンをする男とは

こいつだったら絶対に黙っているだろう、と

舐めてみられると聞いた事があった。

今回の件は

私が無抵抗に思われたのだろうか?と

思ったが

よくよく考えてみると


この気の強そうな私

「こいつは黙っている」なんて思われる事

あるわけない。


金もらったら黙っててやる!

そんな感じではないか。


なので、私はたまたま

こういう事に出くわして

それをネタにHPを書く女なのである。