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鼻血事件



鼻血と言うのは、子供時代にしか起こらない、

アクシデントだと思っていた。

思い起こせば、私が最後に鼻血を出したのは

忘れもしない22歳の冬である。

インフルエンザにかかり、鼻をかんでいた。

もう、鼻の頭が痛い。カサカサである。

そんな
花の20代前半に、悲劇が起こったのである。


その日の私はお風呂で、疲れを癒していた。

ああ、お風呂って、なんて安心するのだろう。

胸がジーンとしてくる瞬間が、好き♪

お風呂の熱気に埋もれながら、私は洗顔をしている。

すると、泡とは違う、赤い水滴が・・・

ポタポタと滴るこの赤い物は!!

私の鼻血である!お風呂の熱気で開いた毛穴。

鼻の穴の細胞まで、見事に開いたのである。

うををを〜!!私は声にならない叫びで

顔を上げる。鼻血が私の唇付近に流れてくる。

私は洗顔フォームと、流れ落ちる鼻血の

クリーミーな泡を肌で感じながら

「・・・い、いま、きっと私の顔はピンクに染まっている」

と、呟いてみる。

もう、はっきり言って、アホである。


上を向いているのは、いいが、

首が疲れてきた。洗顔フォームを洗い流したいが

下を向いたら、鼻血ブーである。

私は、タオルを手にして顔を拭く。

血まみれである。

ああああ〜!!私は上からも、下からも

出血して(←バカ) 鉄分が不足するではないか〜!!


SOSを求めたいが、私は素っ裸!


服も着ていない。せめてパンツくらい はいて

お風呂から出よう。(←当たり前)

必死の思いで、下着を取りに動くと

鼻血がボタボタと、落ちる。うう、上を向こう。


上を向いて下着を探すのも、ひどい。

毛穴が開いて、鼻血を出している私の姿は

もっとひどい。
私は悲劇だが、こうして振り返ってみると

単なる喜劇である。


翌日、会社で一緒にランチをしてたMさんに

この悲劇を話したら、笑われた。

私は「ボタッ、ボタッって落ちて最悪でしたよ!!」と言った。

Mさんに、つられて私も一緒に笑って、鼻をかんだら

またまた鼻血が出た。私は、またMさんに笑われた。

「あああ!!みかりんさんが、

売り場に戻れなくなった!って、上司に言って来ます!」

と、彼女は笑いながら私の横から消えた。

3分後、彼女が戻ってきて、何故か私の首の後ろを

たたき始めた。

「うをををを〜!!鼻血が〜〜」と叫ぶ私に

「今、上司が、こうしたら鼻血が止まるよ!と

教えてくれたんです!!」と言い、必死で私の首をたたくMさん。


「鼻血って、大人になると出さなくなりますよね?」

そう言われた。22才は大人じゃないのか・・・と思った。

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