ハガキ投稿2


私は文章を書いていると楽しくなってくる体質のようだ。

その事に気づいたのは、最近だったのだが

一点に向かって集中しているのが好きなのかもしれない。

だた、その時間は1時間だけと言う事も分かってきた。

それ以上になると、集中力に欠けるらしい。

これは学生時代の勉強と似ている。

ハガキ書きをしていたあの頃の私。

数回自分の書いたハガキが新聞に載ると、面白くなって

次々とネタを書いていた。

今度は文章ではなくポエムに

路線を変えてみようと思った。



ネタ帳は、もちろん授業中に書いたルーズリーフの紙切れ。

どれもこれも恋愛一色。(今思うと相当暇だ。)

当時はこの手の内容しか思い浮かばなくて

どの作品(←と書くとカッコいい)にしようか悩んだりした。

誰に判定してもらうわけでもなく

自分で「これはいい!」と言うポエムを選ぶ。

この作業は個人的に楽しめる。


振られた思いをハガキに清書しようと

ハガキを探したら、ない。。

買わないとないのだ。

この時期は11月下旬。


もうすぐ今年も終わると言うタイミングだったので

来年用の年賀状があった。

しかも、真っ白のまだ何も書いていない状態。

このハガキに書けば良い!と思った。


年賀状だって立派なハガキである。

私は、赤いハガキに郵便先を書いた。

裏面に、思いっきり失恋した18歳の乙女心を

心の叫びを書き上げた。

ペンネームは相変わらず「LOVERS」にした。


失恋したくせに「LOVERS」はないだろう。

でもいいのだ。これでいいのだ。


私は年賀状を持って明日投函しようと思っていた。

明日から12月。私はまた上手く行けば2週間後に

このハガキが載る事を楽しみにしていた。


所が母が言った。

「年賀状の受付って15日からだけど

まさか今年も間違って

12月1日に出そうとしてないよね!?」

母は私が昨日もらった1枚の年賀状が

普通にお正月に着く物を書いていたと思ったらしい。

当然と言えば当然な発想だ。

私は自分のポエムが新聞に


載る事を前提としていたが、

もっと
常識的な事を前提に生きなければならなかった。

年賀状に、普通のハガキの内容を書いてしまったのだ。

このポエム行きのハガキは

立派な年賀状扱いを受けて

来年の1月に其の編集部の元へ届くのではないか。

しかも、このハガキは「お年玉付き」である。

当たったら何かもらえる。

この場合、私のポエムなど

流し台の
三角コーナのゴミに等しい次元になってしまう。

私は母の一言が聞けて良かった。

年賀状の表面にしっかりと赤ペンで


「郵便屋さんへ。これは年賀状ではないです。

今年中に届けてくださいね。」と書いた。



去年は、12月1日に年賀状をポストに入れて

郵便屋さんが止めててくれた。

(友人らに言ったら「届いてないから元旦に来るよ」と

 言ってくれたのである。)


今年は、12月1日にハガキ扱いの年賀状を

ポストに入れた。


私、ブラックリストに載っていたらどうしよう。

「またこの人〜!?」と思われていたらどうしよう。

でも、今回は「今年中に其の新聞に届いてほしい」

願いで胸が一杯であった。



あれから2週間経過。

私の失恋パワー丸出しのポエムが載っていた。

ペンネームは振られたくせに「LOVERS」である。

郵便屋さんは、ちゃんと年内中に届けてくれた。

もし、没になっていたら私は

「郵便屋さん、配達してくれなかった〜」と思っただろう。

この事を配慮してくれたのか

郵便屋さんも、其の投稿コーナーの方も

届いた証拠とばかりに

トップバッターに私のポエムを載せてくれていた。


(・・・と、私が勝手に解釈した。)

ありがとう〜〜!!私は新聞に向かって言った。


・・・もしかしたら、郵便屋さん

新聞の其のコーナー、チェックしてくれたりして。

「ちゃんと届けてくださいね」と書いたから。

でも、そこまで郵便屋さんは暇ではないか。

でも、この件に携わってくれた方々の思いやりが

ひしひしと私に伝わってきたのである。

私はそのお礼に、
年賀状は毎年必ず15日に

出す事を心に決めたのであった。