餃子屋さん


私の働くショッピングセンター内には

時々、色んなよそから来た人がお店を開く。

パワーストーンや、老眼鏡が大安売りとか。

(↑怪しいから見るだけ。

あまり相性合う石もない。)

他には、古本屋さんの大量な本。

ブラっと立ち寄ると昭和初期の本もある。

(中古の本屋さんは、かび臭くて

その本に刻まれ情報の古さと

当時の思い入れを思いっきり吸収している

本の紙の厚さで、具合が悪くなる私。)

時には「流れモノ」のシリーズ。

ここにあるバッグなんて本当に本物?と

思ってしまう。


時に漬物屋さん。

↑食べれないのでスルー。

滅多にないけど、北海道物産展。

↑チーズケーキ買ってみたが

藤崎に来るのと違かった。

たまたま今回は餃子屋さん。

↑今日の話題はここ!



私が職場の通路を歩いていると

餃子屋さんがあった。

小さな四角いスペースに

スポットライトを浴びた男性が居た。

正面には青い旗が3枚並んでいた。

男性は40〜50代。

サングラス風の大きなメガネをしていた。

華奢な体で、健康面大丈夫?と

思えてしまうスタイル。

「お疲れ様です」と私が挨拶をして

通り過ぎようとすると、

その男性は、私の事を見て

もじもじとしながら

背を見せたかと思ったら

「お疲れ様です。はいこれ」と

私に餃子を差し出してくれた。



「わああ!美味しそう!

いいんですか?ありがとうございます」

私はそう言って、早速その

餃子を食べた。

男性の作る餃子は、

ラーメン屋で見かける餃子の

2倍のボリュームだった。

タレなしでも濃厚なモノと

特性のタレを付けて食べるモノがあるらしい。

今回私がもらったのは


タレありの方だった。

「美味しいですね〜」

「そうでしょ。そうでしょ。

ビールが欲しくなるでしょ!」

「そうですね」←ビールは私は飲まないが

話だけ合わせた。



話をすると、男性は栃木県から

わざわざ来たとの事。

「明日までここに居ますが

思った以上に売れないんですよ」と

本当の事を言い出してきた。

「そうですか。売れないですか。

でも、どこも地域特色ってあると

思うんですよ。

ここはちょっと話かけたり

大量の買い物した人に

一言二言声を掛けると

ついでに買ってくれると思いますよ」

餃子をモグモグ食べながら私は言った。

「そう。地域特色あるよね〜。

ここは確かに優しい人多いね。

こないだはT市と言う場所に行ったんだ。

そこは子供が積極的だったよ」

「あははは!なんですか〜

その子供が積極的って!」

男性は青白い顔をしていて

どこか哀愁が漂っていた。

聞けば、年齢は51歳だと言う。

まあ、ビックリ。


「同世代位かと思いました〜」と

言う私。

男性はもうすぐ上がる時間だと言う。

私は、棚卸なので夜中まで

居ると言った。


そして通路を歩いていたら

ご近所売り場のAさんに声を

掛けられた。

「あの餃子屋さん、大変そうよね」

「あ!Aさんもそう思いました?」

「だって一昨日から来ているけど

あまりお客さん買っていかないよね?」

そうなのです。

私ら従業員の場所から

餃子屋さんがバッチリ見えて

客入りが今一つなのです。

試食でもらった餃子、

あんなに美味しいのに残念だと

言い合う。

「私、もう今日はこれで帰るんだけど

餃子1パック買ってくるわ。」

親切なAさんが言う。

「みかりんさんも、良かったら

買ってあげて〜〜!」

「そうですね。でもちょっと

高いですよね」

10個入り1,000円は

あのボリュームなら安いかも

しれないけど、一気に食べないと

ダメかと思うと日持ちしない。

「冷凍もあるってよ」

「あ、そうなんですか。」


PM20:00を回った。

餃子屋さんの男性も

スポットライトを落として

帰る準備をしていた。

あれからもお客さんは

あまり見かけない。

私は今日、夜中までいるし

焼いてある餃子なら

みんなで仕事終わったら

食べれると思って

買いに行った。

男性は「ありがとう」と力のない


笑顔で私に頭を下げた。

「お礼にタレなしの方の

餃子もどうぞ」と渡された。

冷凍の方の餃子でも

食べるだけの方でもいいので

1パック欲しいと言った。

「じゃあ、冷凍の方をお勧め

します」と言って冷凍の餃子を買った。

私が餃子を買っていたら

買い物に来たおじいちゃんと孫も

興味を持って見ていた。

やっぱり、誰か買っていると

お客さんって寄って来るよね。

「栃木県から来たんですって。

餃子美味しいですよ」と

そのおじいちゃんに声をかけた。

すると、おじいちゃんは

「そう!遠い所来てくれたの?

じゃあ、2パック買って行こうかな」と

市販の餃子を孫と一緒に食べながら

買って行ってくれた。


私もそろそろ棚卸始まるから・・

じゃあまた餃子売りに来てくださいねと

言ってその場を離れた。



そして、もう帰る準備をしていた

ご近所Aさんとすれ違ったので

「私も買いましたよ〜」と言った。

すると、Aさんは

「ありがとう。これであの男性も

このお店の人達は優しいなと

思ってくれるといいね。

せっかく遠くから来てくれて

いるのに、イヤな印象しかなかったら

私らだってイヤだもんね。」と言った。

「そうですよね。せっかく


美味しいのだから餃子の良さを

もっとみんなに知って欲しいですよね」

私も言った。


そして、私は職場に戻って

みんなで棚卸スタート!と言う時

ビックリする事が起きた。

「あの〜・・・すみません・・」と

外から声がする。

お客さんかな?と思ったら

なんと!餃子屋の男性!

「今日、夜中まで仕事するって

聞いたから・・あのこの餃子

みなさんでどうぞ。


焼き過ぎちゃって。。」と言って

2パックもらってしまった。

ええええ!いいんですか?

嬉しい!

「また次回もここに来てくださいね!」と

私が言ったら

男性は力のない笑顔で

「はい。また是非」と言った。

思わぬ差し入れでビックリ。

棚卸後、餃子をみんなで

分け合って小皿に居れた。


そしてそれをみたボスが

私に一言。

「みかりんさん、餃子もらえるんだったら


1000円だして冷凍買うんじゃなかったって

言うの無しね!」