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友情



絵にも描けない程のキレイな空が

今、少しずつ色を変えていく。

朝日に映る、赤い海が好き・・・

水面(みなも)に輝く銀色の光が私を照らす。

まぶしくて思わず目を伏せてしまう。

なんて新鮮な朝なのだろう・・・

貴方の瞳に映る、私を包む光が

逆光であってもいいのだ。

何故なら、今、側に居るのは
腐れ縁の悪友だからだ。


F子は、生まれも育ちも海の女である。

この日のF子は、幼馴染の友人と朝まで飲んでいた。

こうして、友人の部屋の窓から

銀色の、サンサンとした日差しを浴びていると

学生時代の事を思い出す。


一緒に「どざえもん探し」をしながら花火をした事。

失恋した時、冬の海をみて落ち込んで風邪を

ひいて寝込んだ事。

子供の頃の将来の夢に、F子は
「人魚姫になりたい」

と書き、友人は
「サメになりたい」と書いた卒業アルバム。

馬鹿らしい事ばかりを思い出す。



友人は、泣きはらした目が重くて、起きれないらしい。

いいわ。今日も気が済むまで一緒にいるから。

F子は、失恋した友人に、昨夜から付き合わせられたのだった。

かれこれ20年の付き合いの仲だ。



赤い口紅がついたままの、吸い殻。

溜まった灰柄。飲み干した焼酎。

けだるい朝の中で、F子は二度寝しそうだ。

優しい日差しの中で、F子は思う。

「このアマ!!」と彼氏に言われ、ケンカ別れした友人よ・・

「アマ」とは、「海女」と書くのですね・・・と。

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