一本道


その道路は、地元の人間しかしらないような道である。

自動車学校以来、ご無沙汰の
S字クランクが体験できる。

場合によっては、逆S字クランクの
テクを必要とする。

若葉マークには
技術を要する道路である。


今にもクマが出そうである。

細いその道路には、
ヒキガエルが存在している。

車に引かれて、干からびてしまった蛙が

ひっくり返っている。
これこそヒキガエルである。


ふと、対向車を発見!

「ここが一番広いから、止まっていた方がいいよ」とI子が言う。

譲り合いをするこの地元人間らは

なんて人間が出来ているのだろう。

お互いにクラクションを鳴らして通り過ぎた。


「たまに友達とすれ違うんだけど、無視されるんだよね」

なんで?使用する住民が限られている、この一本道で。

「どうせ、ここの道を使う人は
分かりきってる!って思うから。

あと、
自分の道!ってしか思ってないからでしょうね。」

そうか。そんなものだろうか。

I子ちゃんを送りに向かう、「近道だよ」と言われた、その道は

一度入り込んだら、ミステリーゾーンである。

私は帰り道のコースは、表通りを走ろうと思う。


またまた対抗車を発見。「あ。パッシングしてる。」

「お先にどうぞ」って事だね。

行け!って事だが、擦らずに通り抜けるだろうか?

そしてここでも新たな発見!

大きい車の方が、譲ってもらえる。

そう言えば、先ほどの車は私の愛車より

ボリュームがあるので私が譲ったのだ。

こんな所で力関係を知るのか!?

しかし、この一本道。

どこまで続くのか。

時には自分の道。時には譲り合いの道。

人生は一本の道。


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