BACK

遺伝子



それは、私が20代前半の事である。

第二の人生を楽しみたい。と母が、

オバタリアン仲間を集め

趣味の時間を楽しむグループ活動をしていた。

オバタリアン仲間は、大正琴、着付け、ボランティア活動が中心であった。

カレンダーに行事を書き込んでは

毎日を充実をしていたようであった。

次は、何を始めるのか母は考えていたらしい。


そんなある日、母が私に言った。

「ね〜、フラダンスっていいと思わない?」

そう言うと、母はフラフラと右横に揺れ始めた。

どうやら、次の活動は「フラダンス」を検討中らしい。

私は、踊りならテクノでお立ち台か、最近

覚え始めたパラパラがいい。と思っていた。

すると、母の本心が出た。

「あの衣装を着てみたいと思わない?」


私は、言葉を失った・・そして怖い事にも気が付いた。


私の怪しい趣味である「衣装大好き」は、

実は、この母の遺伝子だったのである。

そして、私は間違いなく、この母の娘なのだ。

遺伝子とは、なんとも濃いものなのだろう・・・と思った。

BACK